名門の巻き返し①掛川西編
昨今、静岡県の高校野球は私学優勢の時代です。2004年以降、甲子園に出場しているのは11チーム中、私学が9チームも占めます。来春のセンバツも私学の静清が出場するのは確実。この流れは、今後も続いていくことが予想されます。一方で、公立の名門はどう立ち向かうのでしょうか。今回から不定期ながら、公立の名門チームにスポットを当てていきたいと思います。第1回は掛川西。前述の2004年以降に甲子園出場している公立チームの一つです。
* * *
掛川城が見下ろすグランドを訪れると、掛川西の選手たちは、内野の各ポジ
ションに着き、ボールを使っての練習を行っていました。「このオフはボールを使って感覚を鈍らせることなく、体力強化をやりたいと思いまして」と佐藤光監督。「守備ドリル1」と名付けられたこの練習は、自分の守備位置に関係なく、投手を含めたすべてのポジションでノックを受けます。約20分でポジションを移動。例えば、セカンドの選手でも、マウンドに立ち、休む暇なくノックを浴びます。「普段と違うポジションで体の動きを学んで欲しいのと、下半身の強化にもつながると思います」とのこと。ちなみに、佐藤監督が編み出した「守備ドリル」は1~3まであり、様々なパターンが用意されています。
佐藤監督は、今年の4月から名門の指揮をとっています。この秋は西部大会準々決勝で掛川工に敗退。県大会では初戦で常葉学園菊川と対戦し、2対7で敗れました。「これが実力ですが、掛川工に負けたところで流れが悪い方へ向かったような気がします」と話してくれて佐藤監督は、さらに現在のチームついてこう分析してくれました。
「監督になって特に感じることですが、掛西に入るだけで満足してしまう子が多いのではないかと思うようになりまして…」。確かに、地元では「掛西ブランド」というものが存在し、甲子園も狙えて進学率もいい。周囲も掛川西の生徒には一目置き、子供たちにとっては憧れ的な学校でもあります。「いかにして戦う集団に意識改革してくのかがこのオフの大きな課題です」。そのために選手個々と、じっくりと話をする機会を作り、監督と選手がコミュニケーションを取りやすい雰囲気を作っています。
そんな佐藤監督が「持っている能力は江塚諭(現早稲田大)以上。ボールを乗せて運ぶ技術は一級品」と期待を寄せるのが主砲の山内崇弘(173cm68kg、右投左打)です。浜松南シニア時代は、高崎健太、柴田祐貴(ともに常葉学園菊川)とクリーンナップを打った選手。今夏は股関節の故障でベンチ入りしていませんが、秋は主に3番打者としてチームを引っ張りました。
午後の練習で近い距離からピッチャーが投げるバッティング練習を見せてもらったのですが、テークバックで懐が深く、トップがきっちりできているという印象を受けました。打つだけでなく、50メートルを6秒0で走るという脚力も魅力。高校通算7本塁打ながら、来春にブレイクの期待も。早く実戦でのプレーを見たいなと感じさせる選手でした。
掛川西が他の進学校と違うのは、野球でも県内トップクラスが宿命づけられていることです。その伝統を守っていくのは容易いことではありません。守っていくというよりも、新しい歴史を作るには攻めることも必要なのかもしれません。「私が慶應大時代、当時無敵だった法政大、明治大と戦って優勝することができた成功体験を、この子達にも味わせてあげたいんです」と熱く語ってくれた佐藤監督。今後、どのように新たな「掛西野球」を作り上げていくのか。過去の「掛西野球」にとらわれず、佐藤監督流のチーム作りに期待です!
<写真上/掛川西のネット裏には甲子園出場を記念した盾が掲げられている>
<写真中/今年4月から名門の指揮をとる佐藤光監督(掛川西)>
<写真下/俊足強打として注目の山内崇弘(掛川西)>
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