右島学新監督の下、新体制でスタートしているヤマハ。6日から浜松市営球場サブラウンドで練習を行っているという情報を入手し、早速グランドに行ってみました。
池本昌弘マネージャーによると、新人を除いた全選手が練習に参加しているとの
こと。この日(10日)からブラジルに帰省していたフェリペ・ナテルも合流しました。(ナテルは、新年初の練習にかかわらず、グランドを元気よくランニングしていました!)
この日は、アップのあと、キャッチボール、ダッシュ、その後は投手、野手に分かれて練習を行いました。
練習の合間、僕は右島学新監督に今年の目標を伺うことができました。「もちろん都市対抗です。これは毎年、変わることがありません。ただ、都市対抗にたどり着くまでのプロセスが違うだけですね」。
プロセスが違う…? 昨年までのヤマハといえば、一挙に大量得点を奪う強力打線がウリ。大量得点を献上しても、終盤に5点や3点を奪って逆転勝ちという、見ている側としてもスリルのある野球が魅力でした。しかし、右島監督によると、「今年は投手を中心に守りから入っていき、打線が打てないときでも勝てるように。今年は、昨年とは少し違う野球を考えています」とのこと。いくら、打線が良くても、社会人球界の一流投手が相手だったり、データの少ない初対戦の投手だったりすると、そうは打てるものではありません。例えば、昨年の日本選手権3回戦のJX-ENEOS戦。広岡剛が好投を見せるも、打線がJX-ENEOSの倉又啓輔をとらきれず、0対1で敗戦。こういう試合をいかにモノにできるのか。それが、都市対抗、日本選手権で上位進出できるのかのカギになると思います。
ということは、昨年とはスタメンメンバーが入れ替わるのか? まだ実戦練習を行っていないので何ともいえないと前置きした上で、右島監督はこんなことを言っていました。「もちろん、その可能性はあります。今は横一線。まずチームとしてやりたい野球があって、そこに当てはまる選手を入れていきます」。走攻守、三拍子がそろった長谷川雄一(近畿大)など新人選手も含め、果たしてどんな選手が起用されるでしょうか。3月6日からのオープン戦が楽しみです!
その右島新体制の中で重要な役割を担うのが、石井隆之新投手コーチです。昨年は若手投手が打ち込まれ、広岡や古岡基紀らベテランに頼らざるを得なかった現状がありました。
石井氏と言えば、河合楽器、ヤマハの左腕エースとして長年活躍。ドラフト候補としても名前が挙がり、巧みな投球術で強打者を抑える姿は僕の脳裏にも強く残っています。石井コーチは「現役を離れて4年になり、メンバーも半分くらい変わってきています。今は選手とコミュニケーションを取っている段階ですが、やはり若手に出てきてもらわないとね」。なかでも石井投手が最も期待を寄せるのが3年目の戸狩聡希。この日のダッシュでは、他の選手をダントツに引き離して駆け抜ける姿が印象に残りました。常葉学園菊川時代から脚力の素晴らしさが光っていましたが、社会人のレベルでもトップクラスでしょう。持って生まれた身体能力が抜群。今年、プロ解禁となる戸狩を石井投手コーチが同じ左腕としてどう育成していくのか。すごく興味があります。
「今年のヤマハは明らかに一味違う」。今回、右島監督、石井投手コーチに話を伺って、僕はそんな印象を頂きました。
<写真上/10日からチームに合流したフェリペ・ナテル>
<写真下/スピード感に溢れる走りを見せる戸狩聡希。後方は町田友潤>