名門の巻き返し②静岡商編
前回の掛川西に続き、今回は静岡商です。静岡商は1954年にセンバツ優勝、1954年と1968年には夏の甲子園準優勝に輝き、静岡県の野球ファンならずとも名門として知れ渡っています。OBにも、新浦壽夫(元巨人他)、藤波行雄(元中日)、大石大二郎(元近鉄)など錚々たる名前が並びます。今回は静岡商の監督を務める見城喜哉氏に、静岡商のあり方、そして今年にチームについて話を伺いました。
★静商、再建への道
見城喜哉氏が静岡商の監督にして今年で11年目。「私がここにきたときは、一塁と三塁の高さが40センチも違うのです。驚きました。最初に野球の指導云々よりも、そういったグランドの設備から整えていく状況でした」。また当時は静岡商といえど、好選手が集まることがなかった。長年、甲子園から遠ざかっていたことに加え、商業高ということで大学進学を目指す選手から、どうしても敬遠されていたのです。
そこで見城監督は関東方面などに積極的に選手を出し、徐々に進学実績を作っていきます。すると選手も集まりだし、2006年には大野健介(早稲田大)らを擁し、32年ぶりに夏の甲子園出場しました。
★静商イコール機動力
2006年の甲子園、静岡商は初戦(対八幡商)で大会タイ記録となる1試合9犠打をマーク。バントと足を絡めた「静商野球」を全国に印象付けました。見城氏は、静岡商らしいとされる機動力を多用した野球をあえて意識しているのだろうか。そのことが、僕は以前から気になっていました。
「“静商(せいしょう)だから、あえて機動力を使う野球をやるのですか?”とよく聞かれますが、私は元々2番打者。ディフェンスを第一に、機動力を使う攻撃が好きなのです。それが、うまく静商という学校とマッチした。だから、静商だからと意識することはありませんね。それに古いOBの方が考える静商の機動力と私の機動力は少し違うのかもしれませんよ」
いくらチームの伝統である機動力にこだわっても、試合に勝たなければ意味が無い。ただ、静岡商らしい野球で喜ぶオールドファンも多いのも事実。見城氏は、そこのバランスをうまくつけているように感じました。
★昨秋は1点に泣く
昨秋は、よもやの中部大会敗退。県大会出場を逃しました。その要因を訪ねると「夏までは3年生が中心で、チームとして遅れたのが大きな要因でしょうね。敗れた2試合は1点差ゲーム。この1点の差を選手がどう考えるのか。この冬のテーマにしています」
特に、ライバル・静岡高との3回戦では8回終了時点で3対8でリード。ところが9回に一挙7点を失い、大逆転負け。そこからチームの歯車が狂っていきました。
この1点の差とは果たして…。見城氏は、野球以外の部分が大切だと強調します。「例えば、落ちているゴミを拾う、授業にまじめに取り組みなど、そういった1つ1つの積み重ねが、1点につながるのではないか。選手にはそういった話をしています」。
★今夏は爆発の予感!
そんな今年のチームの中で見城氏がオススメしてくれたのは捕手の中村太星(182cm70kg、右投右打)。「私が見てきた11年の中で、ナンバーワンのキャッチャーだと思いますよ。広角に長打が打て、肩も強い。リード面もいいです。静岡県内でもトップクラスではないでしょうか」。昨秋の中部大会、島田工戦での僕のノートを見返すと、中村の欄には「右方向へパンチ力あり」とのメモ。体格が良かったと記憶していました。(中村はこの日のロングティーで木製バットにもかかわらず、100メートル近い打球をライナーで飛ばしていました)。
「中村だけでなく、選手の能力は高いですよ。今はマグマのようにじっくりと力をため込み、夏に一気に爆発させます。2006年に甲子園出場したときとチーム状態は近い」と最後に自信たっぷりに話してくれた見城氏。エースの中本聖エリアも、この冬に急成長中で、球速は130キロ台後半に伸びているとか。対戦するチームにとって、不気味な存在になりそうな今年の静岡商。虎視眈眈と私学に割って入り、5年ぶりの甲子園を狙っています。
<写真上/静岡商のグランド裏に立っている球魂之碑>
<写真下/大型捕手として期待の中村太星(左側)>
※第1回の掛川西編はこちら→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2010/12/post-4994.html
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コメント
外野手の松浦選手は吉田中学の出身。お父さんは榛原高校で華麗な球捌きを見せてくれたショーとで、同級生でした。
六合駅まで毎日送り迎えしているとのコト。高校球児の親御さんも大変ですねえ。そのありがたみに感謝しながら、静商ガンバってほしいモノです。
投稿: えーちゃん | 2011年1月19日 (水) 20時39分