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2011年12月

2011年12月24日 (土)

2011年の「MVP」を発表!

 2011年は残りわずかとなりました。今年も年末恒例も「栗山司のスカウティングブログMVP」を発表したいと思います。今年はおなじみのHさんと静岡野球を振り返りつつ、MVPを選出してみました!

栗山司のスカウティングブログMVP

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浦野博司(浜松工→愛知学院大)

栗山 今年はちょっと難しかったです。県内のチームで目立った成績を残したのは、小学生、中学生のみでした。なので、僕は、愛知学院大を神宮大会準優勝に導いた浦野博司(浜松工出身)を選びたいです。
Hさん 浦野には浜松工時代にも話を聞いたことがあったとか。
栗山 その頃から140キロは計測していたのですが、穏やかというか、おっとりとした印象で、ここまでの選手になるとは想像もしてませんでした。今の浦野は高校時代から体つきはそれほど変わっていませんが、フォームの躍動感が抜群です。今年はエースとして、春は6勝無敗。秋は神宮大会では自己最速151キロをマークしましたから。しかも、速いだけでなく、制球力と投手術が高校時代より格段にアップしていると思いますよ。
Hさん 神宮大会で好投は見せてくれましたが、出番が少なかったのが少し心配です。社会人では1年目からバリバリ投げて、プロ入りを目指してほしいですね。
栗山 そうですね。セガサミーに行く予定とのことですので、最初からアピールして2年後のプロ入りを目指して欲しいです。

おなじみのHさんが選ぶMVP

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野村亮介(静清)

Hさん 私は選ぶとしたら、野村亮介(静清)ですかね。センバツでは2回戦敗退ながら、日大三打線を相手に9回3失点の熱投。低めにコントロールされる140キロ台の速球に魅了されたファンやスカウトも多かった。
栗山 あれだけ身長があって、あの制球力はすばらしかったですね。でも、昨秋に三振を取りまくったフォークがセンバツから夏にかけて少なかったのは残念でした。ただ、インタビューをした際、本人に聞いたところでは、今年はフォークの調子が悪かったので、スライダーを多投していたそうです。社会人にいって、フォークの精度が上がればまた投げたいと。
Hさん 187cmから投げ下ろすフォークは今後必ず武器になると思いますよ。今年でもプロ志望届を出していれば、指名があったでしょうね。来年は三菱重工横浜に入社しますが、3年後にぜひ1位指名を受けるような投手になってほしいです。

栗山 冒頭でも言った通り、今年は、県内の高校、大学、社会人が全国大会で振るいませんでした。ただ、裾野シニアが日本リトルシニア野球大会で優勝、浜松南リトルは世界大会準優勝と次世代の選手たちの活躍が目覚ましかった! この選手たちが高校生になる頃、静岡野球のレベルはさらに進化すると思いますよ。
Hさん 進学する時に県内に残ってくれればいいんですけどねぇ…。
栗山 そこが問題です。でも、来年の高校1年生は近年にないぐらい逸材揃いになりそうですよ。
Hさん ボジョレーヌーボーみたいに毎年、10年に一度の出来とか言ってますね(笑)。でも、楽しみです!
栗山 また、ヤマハは広岡剛と松尾知之という10年間主力だった選手たちが退部しました。こちらも、新戦力に注目したいところです。

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2011年12月19日 (月)

注目スラッガー・中澤彰太を追う!

 先週の土曜日は、今夏8年ぶりの甲子園出場を果たした静岡高の練習にお邪魔してきました。

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 なんといっても静岡高は県下屈指の名門。僕は午後1時30分の練習開始に合わせ、緊張しながら学校に入りました。すると、すでにネット裏は「静高ファン」や練習見学の中学生で賑やか。みなさん、顔見知りのようで、「静高の昔話」「今年の静高」「将来の静高」について、熱く語り合っていました。選手たちも、ここまで見守られたら、さぞ気が抜けないだろうなと思いました。

 この日の静岡高のグランドは暖かく、直射日光に当たっていると、暑さを感じるほど。僕も、着用していた上着を脱ぎました。こんな気候だったら、冬のトレーニングだけでなく、ボールを使った練習も思う存分できるでしょう。実際、この日はバッティング練習を行っていました。
 栗林俊輔監督によると、静岡高のオフシーズンの使い方は独特です。例えば、この日のようにバッティングを行う日は1日中、バットを使ってバッティング練習。ある日は、守備だけを1日練習。また、ある日は1日トレーニング。つまり、1日にあれもこれもではなく、集中的に練習をこなしているとのことでした。

1112182 バッティング練習で目立っていたのは、栗林監督が「こういう選手がプロにいくんじゃないかと思うほどの身体能力の高さ」と評する中澤彰太(174cm74kg、右投左打)です。今夏はクリーンナップを任され、甲子園出場に貢献。軸がブレない、きれいな打撃フォームから外野の間を抜く長打力が魅力です。さらに、走っては50メートル5秒9の俊足、投げても140キロ近くを投げ込む強肩もあります。

 最初に中澤を見て驚いたのは下半身の充実ぶり。腰から太腿にかけて、太くて逞しく、ユニフォームがパンパンではち切れんばかりでした。今までスタンドから見ていた印象とはかなり違いました。

 その強靭な下半身から鋭いスイングでボールをとらえ、強打者が揃う静岡高打線の中でも、一人、打球が違います。ライナー性の打球が低い弾道でグングンと外野へ。緩いボールに対しても、体を開かず、自分のミートポイントで駒のように回転して打ち返します。しかも、しっかりと振り切ったフォロースルーが美しく、力強さもあります。

 この冬、中澤がバッティングで取り組んでいるのは左手の使い方。左手の押し込みを強化することで、打者の手元で微妙に変化する球に対応するのが狙いだそうです。栗林監督は「右投左打の場合、どうしても左手が課題になっています。そこをどう克服できるのか。この冬が終わったとき、中澤がどこまで進化するのか楽しみですね。本塁打を量産する可能性もありますよ」。

 現段階では、来年の静岡県ナンバーワンスラッガーにもっとも近い存在の中澤。来春以降は、相手のマークも厳しくなるはずです。ここで、いかに結果を残すことができるのか。栗林監督から中澤の潜在能力の高さを耳にし、この日の練習を見ていると、相手云々ではなく、とてつもないレベルの選手に成長してくれそうな、そんな予感がします。

<写真上/選手に細かい指示を出す栗林俊輔監督(静岡高)>
<写真下/走攻守の三拍子がそろう逸材、中澤彰太(静岡高)> 

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2011年12月14日 (水)

加藤翔(静清)が早稲田大へ

 ここ数日、高校3年生の進路決定のニュースがスポーツ新聞に掲載されています。今年の夏を沸かせた選手たちの新たなステージが見えてきたことに、すごく嬉しい気持ちです!

1112141 なかでも、僕が期待するのは、早稲田大社会科学部に合格した加藤翔(静清)。捕手センスと人間性の高さは関係者の誰も認める選手。光岡孝副部長にも、「もし、加藤との出会いがなかったら、野村(亮介)もあそこまで成長することはなかった」と言わしめるほど。野球だけでなく、生活面でも野村をリードしていました。

 早稲田大に進学する1年生の中、当面のライバルとなりそうなのが道端俊輔(智辯和歌山)。5季連続甲子園出場し、今夏は高校日本代表に選出された逸材です。強肩強打の道端に対し、加藤はリーダーシップやヘッドワークといった自分の持ち味を生かし、上級生になったときには正捕手を獲得して欲しいと思います。

<写真/大学進学後も期待される加藤翔(写真右)>

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2011年12月11日 (日)

寺嶋(創価大)の母校・浜松学院を訪問

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 今日は、浜松学院(元興誠)にお邪魔してきました。浜松学院といえば、先日のブログで紹介した創価大・寺嶋寛大の母校です。

 寺嶋を3年間、指導した村松俊明監督によると、高校入学当時は、現在よりも体重が多く、動きのキレも今一つ。とてもキャッチャーを任せられる体型と動きでは無く、バッティングを生かすためにファーストを守らせていたそうです。それが、体が引き締まっていくうちに、動きにもシャープさが出てくるように。「あるとき体育の授業で、寺嶋の走っている姿を見て、あんなに速かったかなと驚いてしまったんです。それも上半身裸で走るような子でしたから余計に目立ってね」。そのエピソードを聞き、思わず僕は笑ってしまったほど。動物的な高い身体能力を持つ寺嶋の走る姿が目に浮かんできたのです。村松監督は、もう一度、寺嶋をキャッチャーに戻すことを決断。そこから徐々に注目を集める存在になったのです。

1112112jpg 「高校時代もプロ12球団のスカウトが見てくれました。“ワンクッション挟んだ方が”ということで創価大に進みましたが、まさか大学日本一を狙うチームで1年生から出してもらえるとは思っていませんでしたよ」と、嬉しそうに話してくれたのが印象的でした。

 実は寺嶋、ことあるごとに高校時代の恩師に連絡しているそうです。「“最近、やっと野球の厳しさを感じます”って言うんですよ。高校時代、あんなに我の強かった寺嶋が…。例えば、スローイングで暴投しても、捕れなかった相手が悪いだっていうくらいの子でしたから。大人になりましたよね」。村松監督は、実際に会っていなくても、電話口の声で寺嶋の置かれている大変さを理解し、今でも励ましのエールを送っているそうです。

 そんな寺嶋を追う逸材キャッチャーが浜松学院の1年生にいるとか。「とにかく肩が抜群ですから」と村松監督が教えてくれた選手。こちらも楽しみです!

<写真上/浜松学院のグランド風景。この日は1年生のみの練習>
<写真下/明治神宮大会ベスト進出に貢献した寺嶋寛大(創価大)> 

 

 

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2011年12月 4日 (日)

明治神宮大会で見た静岡出身選手たち③

 神宮大会レポートの最終回です。寺嶋寛大(創価大)、浦野博司(愛知学院大)以外でベンチ入りを果たしていたのは以下の6選手です。

★東北福祉大/岩崎啓介(飛龍)
★創価大/久保亮輔(三島)、岡崎眞世人(常葉学園菊川)
★愛知学院大/萩原大起(常葉学園菊川)、泉地泰助(常葉学園菊川)、梅田恵介(静岡市立)

このうち、愛知学院大の泉地は初戦の佛教大戦で代打出場し、安打を放ちました。同じく愛知学院大の萩原は準決勝、決勝でブルペンで肩を作っている姿を見ました。もし、決勝戦で9回に愛知学院大が追いつき、延長戦に入った場合は登板機会があったと思われるだけに残念でした。

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<写真/上段左・岩崎啓介(東北福祉大)、上段右・岡崎眞世人(創価大)、下段左・萩原大起(愛知学院大)、下段右・泉地泰助(愛知学院大)>

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2011年12月 1日 (木)

明治神宮大会で見た静岡出身選手たち②~浦野博司(愛知学院大)編

 今年の神宮大会、大学の部で準優勝に輝いた愛知学院大。初戦で佛教大を下すと、2回戦では東都の覇者・亜細亜大を撃破。準決勝では創価大と対戦し、特別ルール(タイブレーク)の末、サヨナラ勝ちをもぎ取ります。決勝戦では明治大に敗れたものの、今大会、もっとも躍進を見せたチームといってもいいでしょう。その愛知学院大のエースが浜松工出身の浦野博司(178cm70kg、右投右打)です。

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 今大会はすべての試合でリリーフ登板した浦野。エースが後ろにいることで、先発陣は「いけるところまでいこう」という、精神面に余裕ができていたと思います。それが、各投手の好投につながったのではないでしょうか。

 準決勝では延長10回に登板。特別ルールで一死満塁からの投球でした。先頭の1番打者には142キロの低めのストレートで三振を奪いますが、続く2番打者のセカンド内野安打の間に1点を失います。それでも、亜細亜大戦でマークした自己最速の151キロには及ばないものの、140キロ台中盤から後半を連発。細い下半身のどこからあのスピードができるのか不思議でしたが、一塁側のベンチ上で見ると、体のバネと躍動感が半端ではありません。僕は思わず「和製ペドロ・マルティネス」と呼びたくなったほどです。

 翌日の決勝戦では2点ビハインドの9回に登板。3人を難なく抑えました。ただ、前日よりは投球フォームの勢いが少し欠けていた印象。球速的にも伸びてこなかったです。個人的には決勝戦では大学生活最後の試合ということで先発を期待していました。ところが、先発は3年生の永岡靖人(177cm75kg、右投右打)に譲り、試合中でもブルペンに顔を出さず、「もしかしてどこか故障しているのか」と心配してしまいました。それだけに最後に出てきて一安心。大学でドラフト候補になるまで成長した大学生活の最終登板を目に焼き付けることができ、神宮球場まで行った甲斐がありました。

★浦野博司(愛知学院大)の過去の記事はこちら→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2010/04/post-1e5c.html

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