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2012年7月

2012年7月30日 (月)

無類の野球小僧・室内椋耶(富士学苑)を訪ねて

 少し前の話になりますが、7月15日に山梨県の小瀬球場に行ってきました。『野球小僧8月号』の「ドラフト候補&有望選手リスト」に掲載された富士学苑・室内椋耶を見たかったからです。
 室内は富士シニア(清水飯田中)出身の2年生。昨夏も1年生ながらベンチ入りを果たし、今春は4番打者として活躍を見せました。

 時期は遡り、昨夏の静岡県大会でのことです。僕は室内と島田球場でバッタリと遭遇しました。聞けば、「静清の野村亮介さん(現三菱重工横浜)のピッチングを見たくて来ました」とのこと。驚いたのは次の言葉。「休日は1日だけなんです」。
 厳しい練習の合間の束の間のオフ。体を休めたり、友達と遊びたくなったりするのが普通の高校生でしょう。
 しかし、室内は違います。野球が好きでたまらない。ドラフト候補と呼ばれるピッチャーの球を見てみたい。そんな衝動にかられて、一人で山梨から島田まで来てしまったようでした。
 島田球場は球場外からブルペンで投げる姿を見ることができます。そこの網にへばりつきながら野村の一挙手一投足に目を凝らしていたのが印象的でした。そんな野球小僧だから、僕は気になってたまりませんでした。

 この日の相手は強豪の甲府城西。室内はどんな活躍を見せてくれるのか楽しみでした。ところが、球場につき、バックスクリーンにあるスタメンの表示を見ると、「室内」の名前がありません。背番号は「10」をつけていましたが、ベンチからスタートでした。
 富士学苑は序盤に3点のリードを奪いましたが、中盤に投手陣が崩れて逆転負け。3回戦で敗退しました。

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 試合後、室内は「春の大会が終わってから、バッティングの調子が悪くて。でも、投げる方でいけそうだったので、今回はリリーフとしてスタンバイしていました。プレーする姿を見せられなくて、すみませんでした」と、涙を浮かべながら話してくれました。

 富士学苑はこの大会のベンチ入り20人中、2年生4人、1年生4人と若いチームでした。特に、スタメンに名を連ねた1年生の清水雄哉柏木隆秀はセンスがあり、リリーフで登板した2年生の長身左腕・渡邊佑樹も注目です。秋は関東大会に出場できるチャンスが十分にあるでしょう。室内もライバルと切磋琢磨し、来春、センバツで躍動する姿を見たいです。(編集部・栗山)

※過去の室内椋耶(富士学苑)の記事はこちら→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2011/07/vs-9155.html

<写真/試合終了後の富士学苑ナイン。秋のリベンジに期待> 

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2012年7月29日 (日)

中学軟式の県大会で見た注目選手!

 高校野球の静岡県大会は常葉学園橘の優勝で幕を閉じましたが、中学軟式の県大会は27日に開幕し、28日に2回戦が行われました。地区大会を勝ち抜いてきた32校が東海大会を目指し(県大会決勝戦進出2チームが出場)熱戦を繰り広げています。

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 開幕日の27日に、僕は高校野球関係者が注目する与進中の花澤俊太を見たく、浜岡球場に足を運びました。
 この日の花澤は、長泉中相手に5回2死まで無安打に抑える快投。7回で10三振を奪いました。低めに伸びるストレートに加え、ブレーキのきいたカーブが有効。しかも、コントロールが良いところが花澤の特徴です。試合は0対0のまま延長戦へ。ここで花澤は、サヨナラのピンチを迎えますが、動じることなく、自分の投球を貫いていました。厳しい場面になればなるほど、いいボールを投げ込む、その精神的な強さも印象的でした。
 与進中はキャッチャーの高井榛二も目につきました。大柄で雰囲気は抜群。座ったまま二塁送球するなど、地肩の強さが衝撃的でした。

 花澤と壮絶な投げ合いを見せたのが長泉中の2年生右腕、大嶋翼です。体全体を使ったバランスのいいフォームに惹かれました。延長の末、惜しくも敗れましたが、ストレートにキレがあります。来年の県中学野球界の注目投手になりそうです。

 28日に清水庵原球場に行ったHさんからも連絡がありました。「常葉学園橘中vs三島南中の試合、常葉学園橘中は小野寺拓海が先発だったんですが、180センチを超える長身から剛速球を投げ込んでいてすごかったですよ。6回1死まで完全で、7回1安打完封でしたが、外野にすらなかなか飛びませんでした。来年も常葉学園橘高にはすごいルーキーが入りそうです。小野寺のボールは軟式ながらズドンと来るストレートでしたが、キレで光っていたのが光が丘中の吉田一稀。低めに伸びるストレートが来るんですよ。この日は変化球が抜ける場面が目立ち、4回に3連続四球を出して降板、残念ながら試合にも負けてしまいました。身長は大体178センチぐらいと控え部員の子に教えてもらいましたが、高校に入る頃には180センチぐらいになってるのではないでしょうか。昨年のエース・高良将貴は静岡高に入りましたが、この吉田がどこに進学するのかにも注目したいです」。

<写真/上から花澤俊太(与進中)、大嶋翼(長泉中)、小野寺拓海(常葉学園橘中)、吉田一稀(光が丘中)>

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2012年7月27日 (金)

常葉学園橘が2年ぶり3度目の甲子園出場!

Tachibana

★7月27日 全国高校野球選手権静岡大会決勝戦 愛鷹球場 晴

 チーム
静岡商 0 0 0 1 0 0 0 2 0 3
常葉学園橘 0 0 0 1 0 0 3 0 × 4

 愛鷹球場で行われた静岡県大会決勝は常葉学園橘が静岡商を下し、2年ぶり3度目の甲子園出場を決めました。

 常葉学園橘・宮崎悟、静岡商・中本聖エリヤの両エースの先発で始まったこの試合。両投手とも疲れが見え隠れし、好調とは言い難い状態で、序盤から得点圏に走者が進みます。4回に静岡商は1点を先制。しかし、直後の4回裏、常葉学園橘は1死満塁から松坂将輝のレフト前タイムリーで1点を奪い同点に。
 1-1のまま迎えた7回、常葉学園橘は城戸健太朗のタイムリーで勝ち越すと、さらに増田恭也がタイムリーを放ち、中本をマウンドから引きずり降ろします。さらに佐々木貴士のタイムリーでこの回3点を加え、試合は決まったかに見えました。しかし、8回、静岡商は1死満塁のチャンスを作ると、野極琢斗のタイムリー、相手のミスで2点を奪い1点差に。なおも1死満塁という場面でしたが、ここは宮崎ー城戸のバッテリーが一枚上手。スクイズを外して2死とすると、川岸蓉平を空振り三振に仕留め、リードを守りきりました。9回にも宮崎がマウンドに立ち、2死一塁でこの日3安打を放っていた今本茂雄を打席に迎えましたが、打ち取ってゲームセット。常葉学園橘が勝利を収めました。

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 常葉学園橘の宮崎と城戸は2年前の夏に甲子園のグランドに立っています。しかし、チームは初戦敗退となり、2人にとっても悔しい思い出のはず。今夏は2人が主力となってチームを引っ張って勝ち得た甲子園です。悔いの残らぬよう、力を出し切ってほしいですね。そして、できれば庄司隼人がいた2009年の3回戦進出を超える結果を残してほしいところです。
 また、1年生ながら1番を打ち、この大会32打数11安打(なんと打率.344!)と大爆発した木村聡司の甲子園デビューも大注目。秋、そして来年につながるような経験をたくさん積んできてほしいです。

Seisho

 敗れた静岡商ですが、試合後の中本はいい表情をしていました。鳴り物入りで入学し、チームの中心選手であり続けた3年間。野球の実力だけでなく、気持ちの強さも抜きん出ていました。接する人を惹きつける気持ちのいい好青年は、チームメイト、そして監督からも信頼され、「エリヤで負けたら仕方がない」と今夏もマウンドを託されました。甲子園に行くことはできませんでしたが、その背中から学んだことを、同じく入学時から注目を集める1年生右腕・國松歩が受け継いでいってくれると思います。中本の次のステージでの活躍にも期待したいですね。(編集部H)

<写真/上>甲子園での活躍にも期待したい木村聡司(常葉学園橘)
<写真/下>健闘を称えたい静岡商。準決勝で骨折した相原将輝も伝令としてマウンド、ネクストバッターズサークルに走りチームを勇気づけた

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2012年7月26日 (木)

庄司隼人(広島)をナゴヤ球場でチェック!

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 今日はナゴヤ球場で行われたウエスタンの広島vs中日を観戦してきました。最高気温35度という予報が出ていたため、観客数は普段より少なめ。昨日の愛鷹球場も暑かったですが、ナゴヤ球場の暑さは別格でした…。

 そんな中、行われた試合は広島が6対1で昨日に引き続き勝利を収めました。昨日の試合でタイムリー三塁打を打つなど活躍した庄司隼人はこの日、4打数1安打。4打席目までは四球、レフトフライ、セカンドゴロ、セカンドフライという結果でしたが、5打席目には初球を打って左中間を破る二塁打。得点には結びつきませんでしたが、積極的な庄司の良さが出た二塁打でした。

 今年は1軍キャンプメンバーに選ばれ、幸先のいいスタートを切った庄司ですが、2軍に降格してくると今度は2軍でも絶不調に。一時期は出場機会もぐっと減ってしまいました。しかし、6月上旬に再びスタメン出場するようになってからは、毎試合確実に1本は安打を記録するようになり、ここ最近は上向き気味です。
 庄司と同じく1軍キャンプスタートだった同期の堂林翔太はご存知の通り、1軍に定着し、オールスターにも出場。差がついた形になった庄司が今、どんな様子なのか気になっていましたが、変わらずハツラツとしたプレーを見せていました。今日、特に印象に残ったのは守備でのフットワークの良さとグラブさばき。センスというよりは、ノックを受け続けて身に付けた努力のプレーだと思います。送球の乱れもなく、守備は見る度に上手くなっていますね。
 負けん気の強い庄司だけに、堂林の活躍を刺激に、後半戦はさらなる活躍を見せて、秋には1軍でその姿を見られれば嬉しいです。

 その庄司の母校・常葉学園橘は、明日、静岡商と甲子園の切符を争います。庄司に憧れて入学した宮崎悟、城戸健太朗たちがどんなプレーを見せるのか、こちらも見逃せません!(編集部H)

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2012年7月25日 (水)

夏の甲子園予選 聖隷クリストファーvs常葉学園橘

★7月25日 全国高校野球選手権静岡大会準決勝 愛鷹球場 晴

チーム



聖隷 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
常葉橘 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

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 聖隷クリストファーの本格派右腕・鈴木翔太(183cm69kg、右投右打)が延長14回の末、敗退しました。

1207251 昨秋から、連投だと球威が落ちる傾向があっただけに、序盤の投球に注目していました。しかし、そんな心配も何のその、いつも通りのしなやかな腕の振りから低めに伸びる速球。さらに、静岡打線を苦しめたフォークを巧みに操り、走者を出しても得点を与えませんでした。
 さすがに回を重ねるごとに、少し腕が下がり気味に。それでも、気持ちを前面に出し、延長に入ってからは気力だけで投げている感じに見受けられました。
 引き分け再試合も頭をちらつき始めた延長14回裏、二死二、三塁。常葉学園橘の青島勢奈(174cm71cm、右投右打)の打球が三遊間に飛び、ショートのグラブを弾いて転がると、二塁ランナーは一気にホームへ。170球を超える球数を投げた鈴木翔は泣き崩れ、その後、他の選手に抱えられながら球場を去りました。

 まだまだ伸びる要素をたくさん持っている逸材です。この夏から秋にかけて、ストレートがどこまで力強くなるのか。球速がどこまでアップするのか。少しの期間、体を休め、もう一度力を貯めて、秋季大会に望んで欲しいです。今度、照準を合わせるのは涼しくなる10月。この涙を糧に、地元開催となる東海大会で、今度はセンバツ出場を決めてほしいと思います。

<写真上/延長14回を激闘を終えた両チーム。健闘を讃えあう>
<写真下/敗れたものの、今夏の県大会を沸かせた鈴木翔太(聖隷クリストファー)>

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2012年7月23日 (月)

『静岡高校野球2012』、残り僅かとなりました!

 いよいよ静岡もベスト8が出揃いました。本命視されていた静岡は昨日の4回戦で聖隷クリストファーに敗退。もうどこが優勝してもおかしくありません。静岡はやはり水野匡貴の故障が大きかったですね。

<愛鷹球場>
★聖隷クリストファー×浜松工
★常葉学園菊川×静清

<島田球場>
★静岡市立×常葉学園橘
★静岡商×市立沼津

 準々決勝に進出した8チームは『静岡高校野球2012』でも注目していて、「2012年必見プレーヤー100」で各チーム2選手ずつ紹介しています。できるだけ多くの学校から選手を紹介するというコンセプトで作ったページなので、1校から紹介している選手は最大で静岡の3選手。2選手紹介しているチームもそう多くはなく、24校でした。
 ベスト8校から紹介した選手は、聖隷クリストファーから鈴木翔太鈴木大輝、浜松工から朝倉陽輔長谷川稜也、静岡市立から白鳥晶識勝見京介、常葉学園橘から宮崎悟・高橋遥人、静岡商から中本聖エリヤ・有賀純、市立沼津から小林弘郁内野大暉、常葉学園菊川から岩本喜照川村優太、静清から望月建吾石川智樹の各選手。ぜひベスト8以降も注目してほしい選手たちです。

 また、「スーパー1年生を探せ!」で紹介している木村聡司(常葉学園橘)、國松歩(静岡商)もそれぞれ活躍しています。

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 「復活に期す夏」で特集した韮山と東海大翔洋は残念ながら敗退してしまいましたが、「あの日、上がれなかったマウンドへ。~最も早くスポットライトを浴びた右腕の軌跡」でインタビューした岩本喜照(常葉学園菊川)は着々と「上がれなかったマウンド」へ歩みを進めています。1年時から注目を集めた岩本が、最後の夏にどんな投球を見せるのか、これもまた目が離せないところです。

 『静岡高校野球2012』は静岡県内の谷島屋書店、戸田書店、焼津谷島屋、アマノ、東京の書泉グランデ、インターネットではamazonにて発売中です。在庫限りとなっていますので、お求めの方はお早目にどうぞ!

 今日はちょっと宣伝をさせてもらいました。泣いても笑っても夏の頂点に立つのは1校のみ。球児たちには悔いのない夏を過ごしてもらいたいです。

「静岡高校野球2012」の目次はこちら!→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2012/06/2012-46a7.html

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2012年7月22日 (日)

夏の甲子園予選 伊東商vs常葉学園橘

★7月22日 全国高校野球選手権静岡大会4回戦 島田球場 曇

 チーム
常葉学園橘 0 0 2 0 3 0 0 0 0 5
伊東商 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

1207221 今日は菊川球場でリトルシニア静岡県夏季大会を観戦後、島田球場へ。第2試合に間に合い、この夏、2度目の竹安大知(182cm69kg、右投右打)の投球を見ることができました。

 竹安は初回を3者凡退に抑える順調な立ち上がり。2回戦の静岡市商戦の時よりも、球が伸びているなという印象を受けました。特に、低めギリギリのコースに決まる球が良かったです。
 しかし、3回、城戸健太朗(177cm75kg、右投左打)に2点タイムリーを浴びると、5回にも道場嵩慈(176cm78kg、右投右打)、増田恭也(179cm78kg、右投右打)のタイムリーで3失点。5回までに5点を奪われ、このままズルズルいってしまうのかなと思いますが、6回から見事に立ち直ります。走者を出しながらも無失点に。気持ちの切り替えができることが、竹安のアピールポイントの一つになるでしょう。
 結局、伊東商は常葉学園橘のエース・宮崎悟のテンポの早い投球の前に得点を奪うことができず。快腕・竹安の最初で最後の静岡の夏が幕を閉じました。

1207222 印象的だったのは、試合後、竹安が笑顔で整列していたこと。すべてをやり切った感が出ていました。今大会は投げれば投げるほど、状態が上がってきた印象。春先の故障から、見事に仕上げてきた点も評価されるでしょう。今後、どのような進路を選ぶのか、注目していきたいと思います。

 今年の伊東商は竹安だけでなく、野手陣の頑張りも光りました。増井裕哉監督の下、鍛え抜かれた高い守備力。間違いなく、ベスト16進出の原動力になったと思います。(編集部・栗山)

<写真上/今大会、4試合全てに投げた竹安大知(伊東商)>
<写真下/試合終了後、爽やかな笑顔を見せてくれた(写真右)>

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2012年7月19日 (木)

各地方から発信される高校野球雑誌を紹介!

 各県で県大会が進行中です。今日は岩手県大会で花巻東の大谷翔平がなんと160キロを計測したとか。静岡にも近いうちに150キロ投手は登場すると思いますが、160キロとはとんでもない数字ですね。

 僕は今夏、自費出版で静岡県の高校野球をテーマにした「静岡高校野球2012」を出版しましたが、全国各地にこういったご当地高校野球本というものはあって、僕も一昨年ぐらいから各地の本を取り寄せて研究していました。誌面作りから装丁など様々な面で先人の知恵は参考になりました。今回は、お勧めしたい各県の高校野球本をご紹介します。

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Okinawa

Standard

 まずは『岡山県高校野球本2012』。この本は『静岡高校野球2012』と正反対のスタンスです。スター、ヒーローを作らず、丁寧に岡山県内の50校を取材しています。練習風景や、戦力の紹介など写真がふんだんに使われていて、岡山県の高校野球ファンは一冊手元に置いておきたい内容。練習内容なども掲載されているので、プレーヤーや指導者にも参考になると思います。

 『Baseball Okinawa』は隔月で出ている沖縄県の野球雑誌。最近まではなんと月刊でしたが、隔月になり、さらに内容が濃くなりました。連続写真のコーナーや監督のロングインタビューなども充実。夏ではないのですが、オフシーズンに行われる沖縄の高校野球部による陸上記録会のページが僕は大好きです。身体能力の高い選手がゴロゴロいて、僕が沖縄に住んでいたら、間違いなくこの結果を参考に選手を見に行くと思います。

 『Standard』は野球だけでなく、岩手のスポーツ全般を扱う雑誌。高校野球が盛り上がる夏などは高校野球の大特集があります。最新号の7・8月号は、今年の岩手は大谷だけじゃない! ということがビンビン伝わってくる内容でした。この雑誌は特に誌面がかっこいいです。

 他にも、僕と同じく自費出版の『北の球児たち』(北海道)、大会後に発売される『群馬の高校野球』(群馬)、お馴染みのベースボールマガジン社が出す『週刊ベースボール増刊 第94回全国高校野球選手権 新潟大会展望号』(新潟)など様々な地域から出ていて、その内容も個性があります。僕も各雑誌を読みこんで、来年の本の参考にしたいと思います(出せればですが)。(編集部・栗山)

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2012年7月18日 (水)

夏の甲子園予選 韮山vs磐田東

★7月16日 全国高校野球選手権静岡大会2回戦 愛鷹球場 晴

 チーム
磐田東 0 0 0 2 0 1 0 0 0 3
韮山 0 0 0 2 3 0 0 0 × 5

 昨年の準決勝と同じカードが、早くも2回戦で実現しました。まず先発投手の発表に驚きました。磐田東はプロ注目ながら左ヒジに不安を抱えていた森口壽樹(183cm99kg、左投左打)。一方の韮山はエース・杉山将一(175cm74kg、右投右打)ではなく2年生左腕の佐野優介(175cm60kg、左投左打)。僕は絶対に杉山の先発でくると思っていたのですが、磐田東の山内克之監督は百戦錬磨の名将。スターティングメンバーに偵察メンバーを使ってきたのには唸りました。

1207161 試合が動いたのは4回でした。磐田東の5番・稲垣司(178cm77kg、右投右打)がレフトスタンドに豪快な一発を放ち、2点を先制します。しかし、その裏、韮山は一死二、三塁から田中雅大(176cm70kg、右投右打)が2ランスクイズを決め、すかさにず同点に。さらに、5回には無死二、三塁から、尾崎資樹(178cm80kg、右投右打)が得意の右打ちで三塁打を放ち2点を勝ち越し。さらに犠牲フライで1点を加えます。このリードを5回からマウンドに上がった杉山が守り切り、韮山が昨年のリベンジを果たしました。

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 この試合、僕がもっとも注目したのは4番手で登板した磐田東の1年生投手、鈴木博志(180cm75kg、右投右打)です。山内監督が掛川西監督時代に指導した廣岡剛(元ヤマハ)以上の素材というだけに、大いに期待していました。
 投球練習で一球投げた瞬間、フォームに変なクセがなく、本格派らしい本格派だなと感じました。しかも、球質が重く、打者の手元での伸びもあります。目測ですが、ストレートの球速は130キロ台中盤は出ていたと思います。韮山の上位打線に対して、ストレートで押し込めていたのには驚きました。リリースがブレないので、制球も安定。大崩れも少ないピッチャーだと見ます。
 6回から9回まで投げて3回2安打無失点の好投。ランナーを出してからのクイックなど、まだまだ課題はあります。しかし、彼の持っている投球センスの良さには代え難いもの。そのまま順調に伸びて欲しいなと思わせる、いいピッチャーと出会えることができました。(編集部・栗山)

<写真上/見事、昨年の借りを返した韮山ナイン>
<写真下/秋以降の成長が楽しみな鈴木博志(磐田東)

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2012年7月17日 (火)

夏の甲子園予選 静岡商vs御殿場西

★7月15日 全国高校野球選手権静岡大会2回戦 清水庵原球場 晴

 チーム



静岡商 1 2 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 3 8
御殿場西 0 0 0 0 0 3 0 2 0 0 0 0 0 0 5

 3連休は天候が心配されたものの、無事に全日程を消化。21日土曜日からは残る32校が夏の覇者を目指して戦っていくことになります。現時点で残っているのは東部10校(参加校38)、中部11校(参加校36)、西部11校(参加校45)になっていますが、昨夏は東部8校、中部9校、西部15校だったことを考えると、今年は各地区が均衡を保っていますね。ここから先、どこの地区が勝ち残っていくのかということにも注目しています。

1207151 15日にはシード校が登場。中でも注目されていたのが、静岡商vs御殿場西の一戦です。静岡商は県屈指の人気校だけあって、開門前からチケット売り場には長蛇の列ができました。

 試合は静岡商が初回に1点を先制すると、2回に2点、4回、5回にも1点ずつを入れるなど、前半は5ー0と優位に試合を進めました。序盤、不安定さを見せた静岡商の先発・中本聖エリヤ(3年・172cm71kg/右投右打)も立ち直り、このまま静岡商がリードを守り切るかと思われた矢先の6回、マウンドに中本が戻ってきません。治療中のアナウンスがあり、しばらくすると戻ってきましたが、足を気にしている様子が感じられました。中本の異変を御殿場西は見逃さずに攻めたて、この回一挙3点を奪い中本をマウンドから下ろすと、8回には白瀧康二(3年・172cm70kg、右投右打)からも2点を挙げついに同点とします。そのまま試合は延長戦に突入し、延長再試合も見えてきた14回に静岡商は3点を奪い勝ち越しに成功。長い戦いに終止符を打ちました。

1207152_2 敗退した御殿場西ですが、中でも目立ったのが3番を打っていた平山修(3年、172cm66kg、右投左打)。逆方向への安打が目を引く選手です。6回には無死二、三塁から左中間を破るタイムリー三塁打。8回にもレフト前へ安打を放ち、同点につながるおぜん立てをしました。ただ静岡商も長年守備に定評のあるチームらしく、外野手がレフト方向に寄って即席平山シフトを形成。普通ならファウルで終わるかという打球をこのシフトでアウトに仕留めたのはさすがでした。
 また、4番を打つ岩間勇平(169cm89kg、右投右打)や、あわや本塁打の大ファウルを放った土屋拓也(178cm76kg、右投右打)は2年生。この日登板した佐藤圭生(175cm73kg、左投左打)など1年生にも多く有望な選手がいると聞きます。久々の甲子園に向けて、秋は鈴木久監督がどんな新チームを作り上げるのか楽しみにしています。(編集部・栗山)

<写真上/内野席は満員となり、接戦に大いに盛り上がった>
<写真下/50m6秒3の快速と鋭いスイングで魅了した平山修(御殿場西)>

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2012年7月14日 (土)

夏の甲子園予選 吉原vs三島

★7月14日 全国高校野球選手権静岡大会1回戦 裾野球場 曇

 チーム
吉原 0 0 0 0 0 0 0 0 3 3
三島 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

 天候が心配された裾野球場ですが、30分ほど開始時間を遅らせることでどうにかグランドの状態を整えることができました。試合前には雨が強くなることもあったものの、試合が始まると、傘をさすほどの雨は振りませんでした。

Furukori_2

 この日、注目を集めたのは、勝者が静岡高と対戦することになる吉原vs三島の一戦。ともに好投手を擁するチームで、1回戦にはもったいないカードでした。
 吉原のマウンドに立ったのは、大型アンダースロー・古郡聖士(3年・187cm85kg、右投右打)。これほどの身長を持つアンダースローは日本球界を見渡しても、めったにいるものではありません。長い腕からリリースされるボールは、打者にとっては未知の球筋でしょう。えぐいほどの横の角度で、右のアンダースローの球筋は見やすいはずの左打者がびっくりしたようにインコースに手を出してしまう姿が印象的です。もちろん、右打者にとっては背中から来るボール。外角に決まると、ものすごい距離感です。

 試合はこの古郡と三島の2年生エース・柴崎哲治(178cm78kg、右投右打)の投げ合いで0-0のまま8回まで進みました。しかし、9回に吉原は2死二塁から代打・渡邉崇介(2年・164cm57kg、右投右打)のタイムリーで1点を先制すると、さらに古郡のタイムリー内野安打などでこの回3点を奪取。その裏を古郡が締め、吉原が勝利を収めました。
 
 古郡は完封したことになりますが、3人で終わった回は2イニングのみ。6安打4四死球にエラーも絡み、再三得点圏まで進まれるも、粘りと我慢の投球でした。制球はいいとは言えませんが、四死球を恐れずに静岡にも攻めの投球を展開してほしいところ。この球筋は各地の強豪と練習試合を重ねてきた静岡の強力打線でも見たことがないはずです。中澤彰太や小野慶典が古郡を捉えられるのか、それとも吉原が大金星をつかむのか、見逃せない次戦です。

Shibazaki 初戦敗退となった三島は、1・2年生中心という若いチームらしさがよくも悪くも目立ちました。
 ただ、柴崎は立ち上がりは制球に不安を感じたものの、2回は3者凡退。切り替えの早さに成長を感じました。尻上がりに調子を上げましたが、9回には2死をとったところで、気が緩んだのか、疲れが出てきたのか、抑えきれなかったのは残念。
 その後を受けた梁瀬知(2年・178cm70kg、左投左打)にはしっかり締めてほしかったのですが、テークバックの大きい独特のフォームからボールが暴れ、ストライクもなかなか取れませんでした。先日、対談企画で梁瀬をしなやかなサウスポーと紹介したのですが、打撃からはしなやかさをまだ感じましたが、投球フォームにはかなり力が入ってました…。梁瀬を見るのは4回目ぐらいですが、どんどん変則的なフォームになってきた印象です。いい時には、ストライクゾーンに適当にボールがバラけていくのだと思います。昨秋、初めて見た時にはインパクトがあった選手なので、秋以降も注視していきます。(編集部H)

裾野球場のその他の試合の結果は以下のとおりです。

掛川工 3×2 富岳館
浜北西 6×0 田方農

<写真上/静岡打線との対戦が楽しみな古郡聖士(吉原)>
<写真下/空振りのとれるストレートが魅力の柴崎哲治(三島)>

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2012年7月13日 (金)

小島宏祐(東海理化)に会ってきました!

 2010年夏、大会ナンバーワン左腕としてプロも注目した大型左腕。前年に秋季東海大会で2回戦進出した東海大翔洋の小島宏祐(181cm78kg、左投左打)は4回戦で優勝候補の常葉学園菊川と対戦します。接戦を繰り広げるも、終盤につかまり惜しくも敗戦。130キロ後半を投げ込む大型左腕だけに、その進路に注目が集まりました。小島が選んだのは社会人の東海理化。東海地区屈指の左腕・川脇輝生を筆頭に、好投手が多く在籍するチームから、3年後のプロ入りを目指すことになりました。
 あれから1年半。現在の小島が気になって、東海理化のグランドにお邪魔しました。

――この1年半を振り返ってどうですか?1207122
「技術より野球の基本、自分に何が必要かということを見つめ直しました。一塁へのベースカバーひとつとっても一から学んだという感じです」
――高校と社会人でレベルの差を感じた。
「はい。特に自分は中学時代まで軟式で、そこまで細かいことをやっていなかったので苦労しました」
――小島投手といえば、腕を目いっぱい振り、豪快に投げ下ろすフォーム。そのフォームについて、何か変化はありましたか?
「高校時代、抑えられてはいたんですが、実は納得いかないこともすごく多くて。特に、3年夏の1、2回戦は最悪でしたね。フォームが崩れることも多かったです」
――今年で2年目となりますが、理想とするフォームを確立しつつありますか?
「今は試行錯誤している最中です。1年目は走り込みをやったり、ご飯をたくさん食べたり。今振り返ると、自分のフォームを作り直さなければいけないということから逃げていたんだと思います。それが2年目になり、納得のいく球がいかなくても、投げこまなければいけない現実に直面した。きつかったです」
――まだまだ納得できていない。
「はい。でも、今が最悪だと思って、自信を持っていきたい。フォームが確立できれば、いけると思います」
――小島投手にとって理想の投手とは?
「自分はそんなに球の速いピッチャーではないので、見た目よりもいい球がくるピッチャーを目指しています」1207121
――今後の目標を教えてください。
「まずは、来年、チームの役に立てるような投手になることです。マイナス思考はダメなので、近い目標を立てています」
――その先のプロは?
「プロにはいきたいですが、第一はいい球を投げること。技術、メンタル面、すべてにおいてレベルアップしていきたいと思います。頑張ります」

 高校時代よりも、体重が5キロアップしたという小島。近くで見ると、下半身がしっかりしてきたなという印象を受けました。あとは、土台から作り直しているというフォームがどのように進化するのか。来年はいよいよドラフトイヤー。公式戦で投げてどんどんアピールしてもらいたいです。このブログでもさらに動向を追っていきたいと思います。(編集部・栗山)

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2012年7月12日 (木)

都市対抗、静岡関連選手で注目は?

 明日(13日)から第83回都市対抗野球大会が始まります。静岡県からヤマハが9年連続36回目の出場。今年は予選で苦しんだだけに、本大会では思う存分に暴れて欲しいです。この都市対抗には、ヤマハ以外にも静岡県関連選手が多く出場します。顔ぶれは以下です。

★日立市・日立製作所/横井貴行(日大国際関係学部出身)
★さいたま市・日本通運/加茂勇作(掛川西出身)
★千葉市・JFE東日本/長谷川裕介(常葉学園菊川出身)
★東京都・セガサミー/浦野博司(浜松工出身)、赤堀大智(掛川西出身)
★川崎市・東芝/門西明彦(富士宮農出身)
★名古屋市・東邦ガス/後藤亮介(富士宮北出身)
★名古屋市・王子製紙/川口盛外(静岡出身)、高橋朋己(加藤学園出身)
★名古屋市・ジェイプロジェクト/村松康平(焼津水産出身)
★名古屋市・JR東海/鈴木宏明(島田出身)、花嶋修平(磐田東出身)
★東広島市・伯和ビクトリーズ/内山孝起(掛川工出身)
★大津市・Honda熊本/照屋吐夢(浜松大出身)
=補強選手

1207121

 なかでも、注目は、セガサミーの浦野(178cm70kg、右投右打)です。ルーキーながら、東京2次予選では4試合に先発し、防御率1.63と抜群の安定感を見せました。第3代表決定戦では強豪・東京ガスを相手に完封勝利。ドラフト候補の大山暁史を差し置き、すでにエース格として投げています。東京ドームでも浦野本来の躍動感のあるフォームからイキのいいボールを投げ込み、ぜひ若獅子賞を狙ってもらいたいです!

<写真/浜松工、愛知学院大を経て入社した浦野博司(セガサミー)>

※東京スポニチ大会の浦野の記事はこちら→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2012/03/post-df2f.html

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2012年7月11日 (水)

オープン戦 東海理化vsHonda鈴鹿

★7月11日 オープン戦 東海理化グランド 曇時々雨   

   チーム
Honda鈴鹿 0 0 0 0 0 0 2 0 0 2
東海理化 0 0 0 1 0 0 5 1 × 7

 今日は東海理化とHonda鈴鹿のオープン戦を見てきました。両チームとも今年は都市対抗出場を逃しただけに、すでに目標は秋の日本選手権に向かっています。

201107111_3

 東海理化はスタメンに静岡県出身選手が3人、名を連ねました。鈴木裕也(浜松商出身)、小川翔平(常葉学園菊川出身)、山田竜(常葉学園菊川出身)です。各選手、それぞれ1安打の活躍。なかでも、目を引いたのは高卒6年目となる小川です。
 小川は2打席目にエラーで出塁すると、二盗、三塁を立て続けに決め、次打者の犠飛で本塁に生還。さらに、第4打席には満塁のチャンスから右中間へ豪快に打ち返す走者一掃の三塁打を放ちました。

201107112

 一方、Honda鈴鹿は3番手でルーキーの岡本亮が登板しました。「いい腕のしなりを持つピッチャーだな」と思い、あとから調べると、ヤマハから2009年にドラフト6位で西武に入団した岡本洋介の弟だったのです。左の写真を見ると、どことなくフォームが似ているのが分かると思います。
 ところが、この日の岡本は2イニングを投げて5失点と乱調。急に雨が強くなり、不運な面もありましたが、ストライクを取るに四苦八苦。ランナーを貯めて、甘いボールを痛打される厳しい投球でした。
 大阪産業大時代には最速145キロを誇り、プロからも注目された右腕。兄同様、本格派らしい流れるようなフォームは見応えがあります。この秋、ブレイクすることを期待しています。(編集部・栗山)

※この日は登板がなかったですが、試合後、東海大翔洋出身の東海理化・小島宏祐にインタビューすることができました。後日アップします!

<写真上/常葉学園菊川出身の6年目・小川翔平(東海理化)>
<写真下/兄弟プロ選手を目指して欲しい岡本亮(Honda鈴鹿)>

■Honda鈴鹿

■東海理化

1番 左翼 平手
2番 二塁 澤田
3番 中堅 早川
4番 一塁 庄司
5番 DH 中野
6番 右翼 藤原
7番 三塁 大西
8番 捕手 新田
9番 遊撃 渡邊
1番 三塁 鈴木
2番 中堅 小川
3番 二塁 井貝
4番 DH 吉川
5番 遊撃 小澤
6番 一塁 山田
7番 左翼 田中
8番 捕手 芳川
9番 右翼
投手:八木-濱矢-岡本-守屋

投手:平塚-山本-佐藤-村井

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2012年7月10日 (火)

夏の甲子園予選 浜松江之島vs庵原

★7月8日 全国高校野球選手権静岡大会1回戦 清水庵原球場 曇時々雨   

 チーム
浜松江之島 0 1 0 1 0 0 0 0 0 2
庵原 0 2 0 0 0 0 1 0 × 3

 8日は清水庵原球場に行ってきました。時折強い雨が降りつつも、中断になることはありませんでした。3試合とも接戦で締まった試合となりましたが、一番盛り上がっていたのは、第3試合の浜松江之島vs庵原。庵原は現在の校名で戦う最後の夏だけに、スタンドは一球ごとに大歓声が上がりました。

 試合は浜松江之島が2回に1点を先制するも、直後の2回裏に庵原が久保田一輝(3年・177cm77kg、右投左打)のタイムリー三塁打などで2点を奪い逆転。しかし、浜松江之島も4回に追いつき、2-2のまま試合は後半戦に突入します。7回、庵原は田邊順平(3年・176cm65kg、右投右打)のセンターへの犠飛で勝ち越しに成功。そのまま勝利を決めました。

Img_0876_2 浜松江之島の荒木大智(3年・176cm66kg、左投左打)を見るのは初めてでしたが、こんな投手をどうして見逃してたのかなと思うほど、いいボールを投げる投手でした。制球は少し荒れ気味で、ストライクを取りにいったところを痛打される場面がありましたが、ボール自体の質の良さを感じました。市立沼津の小林弘郁に似た雰囲気でしたね。敗退してしまいましたが、今後、どのような進路を選ぶのか注目していきたい存在です。
 また、1番を打つ福井漱哉(177cm70kg、右投右打)は1年生。足もあり、この日は4打数2安打でした。秋以降の活躍に期待したいです。

その他の清水庵原球場の結果

静岡大成 3×0 磐田北
小山 3×2 川根

 私の好きな川根は初戦敗退と残念な結果に終わりました。ただ、エースの小平倫敬は「悔しさをバネに大学でも頑張りたい」と言っていたので、今後の活躍を期待しつつ、見守っていきたいと思います。もう夏は終わったような気持ちになりましたが、気持ちを切り替えて、今週末は東部に飛ぼうかと思っています。(編集部H)

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2012年7月 9日 (月)

夏の甲子園予選 三島北vs沼津商

★7月8日 全国高校野球選手権静岡大会1回戦 愛鷹球場 曇時々雨   

 チーム
沼津商 1 0 0 0 0 0 0 1 0 2
三島北 0 0 0 1 0 0 0 0 2 3

 三島北が劇的なサヨナラ勝ちで2回戦に駒を進めました。

1207081

 この試合、注目は沼津商のエース・廣瀬和也(183cm75kg、右投左打)です。廣瀬を見るのは春の大会以来、2度目。そのときの記事はこちらです。→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2012/04/post-b103.html
 130キロ台中盤をマークする本格派サイドで、腕は横からリリースされますが、手首は立ってリリースされるイメージ。下半身が柔らかく、ボールを前で離し、18.44メートルが凄く狭く感じる投手です。夏の大会で再度、チェックするのが楽しみでした。

 立ち上がりから廣瀬は全開でした。持ち味のテンポの良さで、あっさりと打者を追い込み、最後は伸びのあるストレートで空振り。序盤の3回だけで5三振を奪いました。
 キャッチャーからボールを受け取ると、すぐにモーション。テンポが良すぎるくらい良かったです。それだけに、焦っているとみるや、キャッチャーの大井淑稀(176cm75kg、右投右打)が、緩いボールで返球するなど、工夫も見られました。この大井は、そういった投手への気遣いに加え、二塁への送球も強いボールを投げます。

1207082 ところが、廣瀬は4回、二死から3連打を浴び、1点を失います。どうしても力むと、上半身の力に頼ったフォームになるため、打者のタイミングが合いやすくなります。それでも、その後は、ランナーを出しながらも得点を与えません。廣瀬のクイックはメチャクチャ速いため、走者も盗塁といった足を絡めた攻撃を簡単に仕掛けられなかったと思います。

 迎えた9回裏、先頭打者に三塁打を浴び、次打者の犠飛で同点に。さらに、二死から満塁のピンチを作り、4番打者に死球を与えて、サヨナラとなりました。

 サヨナラ負けの瞬間、マウンド上でうな垂れた廣瀬。春に話を聞いたときには、「大学や社会人で野球を続けるのかまだ分かりません」と言っていましたが、ぜひこの悔しさを上のレベルで晴らして欲しいです。
 強豪大学のセレクションでも、きっと目につく存在だと思います。それだけのフォームの良さと、ボールのキレ。また、ノビシロも十分に秘めています。
 僕の描く廣瀬の将来像は中日で活躍する鈴木義弘。140キロを超すストレートとクセ球を武器にリリーフとして君臨するサイドスローです。(編集部・栗山)

<写真上/初戦敗退も大型サイドスローとして将来に期待したい廣瀬和也(沼津商)>
<写真下/廣瀬をうまくコントロールした大井淑稀(沼津商)。打撃でのパワーもあり>

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2012年7月 7日 (土)

夏の甲子園予選 島田樟誠vs静岡南

★7月7日 全国高校野球選手権静岡大会1回戦 島田球場 晴   

チーム
静岡南 0 0 0 0 4 0 0 0 0 4
島田樟誠 0 0 3 0 4 2 1 0 × 10

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 いよいよ、全国高校野球選手権静岡大会が開幕しました! 天気が危ぶまれていましたが、無事に全球場で開始式、開幕カードが行われました。

 中部の開幕カードはともに今春県大会に出場している島田樟誠と静岡南が激突。静岡南は静岡市立商との合併を控え、現在の校名で出る最後の大会となります。
 試合は3回に島田樟誠が渡邊瑞基(2年・168cm51kg、右投右打)のタイムリー、高木裕太のタイムリー二塁打で3点を先制すると、5回に静岡南は2死満塁から澤田将太(3年・166cm68kg、右投右打)の走者一掃タイムリー二塁打で4点を奪い逆転。しかし、直後の5回裏に島田樟誠は大町悟史(2年・157cm52kg、右投左打)のタイムリー二塁打などで4点を奪いさらに逆転すると、その後も得点を加えダメ押し。10対4で勝利を決めました。

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 12安打10得点を奪った島田樟誠の強力打線の4番に座るのが捕手の高木裕太(3年・177cm72kg、右投右打)。パワフルな引っ張りが魅力で、この日は5打数4安打。チャンスにも強く、3打点をあげました。捕手としても、逆球が目立ち、調子がいいとは言えなかった先発の平尾光二(3年・173cm70kg、右投右打)を粘り強くリードし、被安打10、4四球ながら5回に失った4点のみの、9回4失点にまとめました。
 注目の大友伸久(3年・170cm68kg、右投右打)は1番ショートで出場し、5打数1安打でした。この日は2、3番が当たっていましたが、これから先、勝ち進むには、大友の出塁が必須。塁に出られれば、バッテリーにプレッシャーをかけられるだけに、次戦ではさらなる活躍を期待したいところです。ただ、この日、打撃は目立ちませんでしたが、守備は光っていました。一歩目の早さ、捕ってから投げるまでの速さ、どれをとってもスピーディー。深い場所からでも刺せる肩も持ち合わせています。

 静岡南で気になったのは、1年生ながら正捕手を務めていた成澤祐亮(166cm71kg、右投右打)。小柄ですが、今日は打撃も4打数3安打と当たっていました。低めの変化球をすくいあげてセンター前に運ぶなど、器用さも見えたので、秋以降注目していきたい選手です。(編集部H)

<写真上/中部開始式で選手宣誓を行った静岡市立・木村拓斗>
<写真下/打撃もリードも魅せた高木裕太(島田樟誠)>

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2012年7月 6日 (金)

開幕間近! 静岡を制するのはどこだ?!~栗山×H緊急対談その2

 いよいよ静岡県大会が明日開幕します。昨日に引き続き、知り合いのHさんと栗山の開幕直前対談をお届けします。(その1はこちら→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2012/07/post-e405.html

Okeda

Koura

Kinoshita

 聖隷クリストファーの話に戻りますけど、あのチームは打線もいいですね。波に乗っていければ、面白いです。鈴木寛也、亀山裕輝は1年夏から出ている選手ですが、加えて、鈴木大輝、桶田悠斗もいい。
栗山 桶田はここにきて好調で、4番を打つ可能性もある。もともと勝負強さがあるだけに、桶田がラッキーボーイ的な存在になれば、一気にいく可能性もあると思います。
 鈴木翔を甲子園で見たいっていうのもありますね。やっぱり、甲子園は選手を一気に成長させてくれますし。
栗山 その下の浜松工のブロックも強豪がそろっています。日大三島は今村拓、佐伯勇斗の2年生投手に加え、1年生の小澤拓馬も控える。小澤は中学時代に大舞台を経験しているだけに、ピッチングに貫禄と落ち着きがありますよ。
 このブロックには菊川南陵もいますよ。
栗山 はい。大田圭利伊について7月10日発売の『野球小僧8月号』でも1ページで紹介しました。とにかく、悔いの残らないように、思い切ったスイングを見せて欲しいです。Hさんの好きな浜松工の朝倉はどうですか?
 朝倉をはじめとして、浜松工は打線がいい。春は高良一貴が特によかったですね。後は投手陣の頑張り次第。
栗山 対抗の静岡商のブロックはどうですか? 飛龍がいますよね。
 御殿場西も実力派ですよね。鈴木久監督は自ら投手のキャッチボール相手を務めたり、見ててビックリしますよ。でも選手たちをよくまとめてるし、雰囲気がいい。
栗山 春は東部で優勝しましたね。静岡商は大注目のスーパー1年生・國松歩がどんな使われ方をするのか気になります。このブロックにはHさんの大好きな川根がいますけど、どうですか?
H 川根は小山が初戦ですけど、左腕対決なんです。できれば2つ勝って、静岡商打線に小平倫敬がどんな投球するのか見たいんですけど。
栗山 ただのファンじゃないですか(笑)
 それが基本です(笑)。 その下の市立沼津のブロックは、とにかく市立沼津の初戦が注目ですね。島田樟成vs静岡南の勝者が相手ですが、この中部の開幕カードは本当に楽しみ。
栗山 島田樟誠はダークホースだと思います。流しのブルペンキャッチャーこと安倍昌彦さんが春季大会で観戦した時にも評価していたんですよ。Hさん、まだ礒道覚広見てないですよね? ぜひ、今夏見てください。
 じゃあ、開幕戦は中部を見に行こうかな。春準優勝の静清も楽しみです。安定感のある米田篤人が1番を背負うみたいですが、望月建吾も故障が癒えた。剛球が見たいですね。
栗山 静清のブロックは浜松学院も気になるんですよね。木下球、どうでしょうね。
 私は元板橋区民なので、彼は同郷の好で勝手に応援してますけど、「これぞ木下球!」って投球は見たことないんですよね。スピードで格下には押せるんだけど、今夏は強いチーム相手に好投するところが見たいです。
栗山 伊東商の竹安大知が静岡に戻ってきた時、「なんで木下球みたいなビッグネームが静岡にいるんだ?!」ってビックリしたらしいですからね(笑)。持っているポテンシャルは高いと思います。
 板橋区といえば帝京なんですが、甲子園で静岡の高校vs帝京が見たいなぁ。
栗山 東海大翔洋中出身の渡邉隆太郎は帝京のエースで4番。当時の東海大翔洋中の監督だった弓桁監督は、東海大翔洋を率いてますし、師弟対決が実現したら面白いですけどね。静岡と関係なくなってきたので、これでお開きにしましょうか。

<写真/上から桶田悠斗(聖隷クリストファー)、高良一貴(浜松工)、木下球(浜松学院)>

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2012年7月 5日 (木)

開幕間近! 静岡を制するのはどこだ?!~栗山×H緊急対談その1

 いよいよ静岡県大会の開幕が近付いてきました。昨年は県内の注目選手について知り合いのHさんと対談しましたが、今年は「静岡高校野球2012」で注目選手について書いたので、組み合わせを見ながら色々と話すことにしました。さすがに、話が尽きず、とっちらかった内容になってしまいました。

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栗山 組み合わせを見てどうですか? 僕は常葉学園菊川が比較的恵まれたのかなと思いました。エースの岩本喜照も調子が上がってきているようですし、昨夏悔しい思いをした分、今年に懸ける思いは強い。
 でも、浜松市立や静岡学園は侮れませんね。浜松市立のエース・和久田友輝は安定感があって試合が作れる。打者にもいい選手が揃ってますしね。掛川西や東海大翔洋のブロックはすごいですね。観戦する側としては熱いんですが、やる方は大変でしょう。
栗山 東海大翔洋のブロック、伊東商vs伊東とか浜名vs科学技術とか1回戦じゃもったいないって組み合わせ多いですね。科学技術の増田友輔はクセのある左腕なので面白いですよ。
 常葉学園橘は2年の高橋遥人がエースなんですかね? この間、練習試合を見に行ったら、昨秋とはずいぶん打線も守備位置も入れ替わってるかんじでした。個々の力はあるだけに、優勝候補だっておかしくないですよね。とにかく、木村聡司のデビューが楽しみだなぁ。動物的なセンスがあって、グランドでもぱっと目立つ華のある選手。
栗山 2年前に1年生の4番として注目を集めた城戸健太朗や、甲子園のマウンドを踏んだ宮崎悟も最後の夏ですね。
 東海大翔洋は弓桁義雄監督の采配にも注目したいですね。あと、アクション(笑)。あの情熱は、選手にも感染していますね。
栗山 渡部孝之のスピードにも注目したいです。掛川西のブロックは、昨秋準Vの富士市立、昨夏準Vの磐田東、昨夏ベスト4の韮山が揃いました。掛川西の佐藤光監督も「厳しいところに入った」というほどです。順当にいくと韮山と磐田東が2回戦で当たってしまうんですよね…。これは昨夏の準決勝の組み合わせ。昨年は磐田東が勝利しましたが、韮山は昨年のメンバーがかなり残っています。昨秋から調子を崩していた杉山将一も復調傾向にあるので、今年はリベンジを果たすかもしれません。
 尾崎資樹のライトへの本塁打も、森口壽樹の強烈な引っ張った本塁打もどっちも捨てがたい…。尾崎は走塁も見ごたえあるし…。
栗山 その尾崎ですが、6月の練習試合では以前とは少しフォームが変わっていたのが気になりましたね。大本命となる静岡ですが、聖隷クリストファーと同じブロックに入りました。聖隷クリストファーの鈴木翔太vs静岡打線は楽しみです。鈴木洋佑監督は、すでに「どうやって静高に勝つかイメージできている」って言ってましたからね。鈴木翔が万全な状態で臨めば面白い試合になると思いますよ。
 いやいや、静岡はまず三島vs吉原の勝者と当たりますけど、三島もいい選手いますよ。柴崎哲治は本格派だし、梁瀬智はしなやかなサウスポーで打撃もいいし。梁瀬は練習試合で東邦を相手に好投したそうですよ。東邦打線は、静岡の名だたるチームから大量得点を奪っていますから、梁瀬が抑えたっていうのは評価できると思います。
栗山 吉原は古郡聖士っていう大型アンダースローがいますしね。彼は本当に静岡じゃ唯一無二の存在だから、静岡打線を苦しめるかもしれない。
 なんたって、今年はどのチームも「打倒・静高」で来ますからね。静岡にとっても相当厳しい戦いになるとは思いますよ。
栗山 ただ、先日、静岡の栗林俊輔監督とお話する機会があったのですが、「故障している選手も大会までに万全になる」と言っていました。2年生投手の水野匡貴が骨折したというのは心配ですが、やはり全国で勝負できるチームということになると静岡しか見当たらないかもしれません。

 長くなりすぎたので、続きは明日掲載します!

<写真/高橋遥人(常葉学園橘)、尾崎資樹(韮山)、古郡聖士(吉原)>

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2012年7月 4日 (水)

練習試合 二俣vs佐久間

★7月1日 練習試合 二俣グランド 雨   

チーム
佐久間 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1
二俣 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

1207012

 夏の大会前、最後の取材は、二俣と佐久間の練習試合です。佐久間の先発は、好投手としてすでに各大学野球関係者も注目しているという藤山知明(178cm75kg、右投右打)。昨秋から今春にかけて急成長し、スピードは125キロから最速135キロに。投手経験が浅く、それが逆にノビシロの大きさとして期待が高まっています。
 この日は、5イニングを投げました。6安打を浴びながらも無失点。フォーム全体に粗さはあるものの、腕を目いっぱい振り回してきます。もっているエンジンの大きさは確か。試合後、藤山本人に夏の大会の目標を尋ねると、「3回戦で静清と対戦したいです」とのこと。強豪相手に、持っている能力すべてを出し切って、上のレベルに挑戦してほしいです。

 二俣は昨秋、部員が7人と少なく、他の部活から選手を借りて試合に望んでいましたが、この春、1年生11人が入部。その中で、淵上順監督がイチオシするのが、この日、「3番サード」で出場した山本真史(175cm65kg、右投右打)。3安打を放ったシャープな打撃に加え、送りバントや守備での落ち着いたプレーぶりにセンスの良さを感じました。秋以降も追いかけたくなる選手でした。(編集部・栗山)

<写真/秘境に現れた怪腕・藤山知明(佐久間)>

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2012年7月 1日 (日)

ブログをリニューアルしました!

 みなさん、お気づきかと思いますが、本日より、「栗山司のスカウティングブログ」改め、「静岡野球スカウティングレポート」として、ブログをリニューアルすることになりました。

 先月、『静岡高校野球2012』を出版したところ、僕の想像を遥かに超えた反響をいただきました。この場を借りて、お礼と感謝を申し上げるとともに、あらためて、静岡の高校野球に対する人気の高さを感じることができました。

 これを機に、自分一人のブログではなく、雑誌『静岡高校野球』のオフィシャルブログとして、さらに静岡の野球を掘り下げていければと考えました。中学野球から社会人野球、そして軟式野球まで。幅広く、静岡の野球を取り上げていきます。基本のスタイルは今までのブログと変わりませんが、新しい企画も現在思案中です。

 今後とも、よろしくお願いします。

                         『静岡高校野球』編集部
                                    栗山

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