静岡を巣立つ高校球児~小林弘郁編・上
好評連載中(のはず!)の「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。(第1回中澤彰太編、第2回藤山知明編、第3回大友伸久編)
第4回は、今夏、市立沼津のベスト8の原動力となった左腕・小林弘郁(市立沼津3年)。1年秋から背番号1を背負い、キレのあるストレートで観客を魅了しました。卒業後は愛知東邦大に進学する小林のインタビューを2回にわたってお届けします。
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静岡を巣立つ高校球児~小林弘郁編・上
★野球人生の始まりが投手人生の始まり
小林弘郁は完全な左利きだった。字を書くことも、食事をする時も全て左を使う。だから、小学4年で野球を始めた時も、当然のように「少年野球の監督に、左だからピッチャーをやってみたらと言われて」ピッチャーとなった。それ以来、ずっとマウンドの上に立っている。「ピッチャーが楽しくて、他のポジションにはあまり興味もなかったです。ピッチャーは、責任を背負わされているという緊張感が、逆に楽しいですね。目立つところも好きです。僕、目立ちたがり屋なんで」。
裾野西中では県大会に2度出場したが、2度とも初戦敗退。そして、高校進学時に、市立沼津に誘われた。当時の市立沼津の監督はOBの水口清治氏だった。「水口監督と僕の中学の同級生の親が、同じ時に市立沼津で野球をやっていて、その方に市立沼津はいいぞと勧められて決めました」。地元では人気の高い高校で、小林の高校野球が始まった。
★2年夏の悔しさ
市立沼津に入学した当初、小林は裾野にある自宅から電車で通っていた。しかし、同学年の投手である後藤魁や今村亮が10キロ以上の道のりを自転車通学していることを知り、小林も12キロを自転車で通うことにしたという。
そんな地道なトレーニングも功を奏したのか、小林は1年夏からベンチに入った。そして、1年秋からはエースとして、小林の活躍が始まる。2年春には東部大会優勝に貢献。着々と実力をつけて挑んだ2年夏に、2回戦で飛龍に敗退した。それは、高校時代で一番印象に残っている試合だと言う。
小林は先発して、7回1失点で降板した。ベンチからチームの勝利を祈ったが、延長12回に飛龍が勝ち越し、そのまま逃げ切った。「最後まで投げたかったっていうのもありました。でも、相手のチームが強いチームなので、石川(数馬)さんにスイッチした方が確実に点を取られないなと。もう少し投げたかったんですけど」。思い出したのか、今でも、悔しさをにじませる。けれど、チームのことを考えられるようになったことも大きな成長だった。「高校に入った時には一人で投げる、自分が抑えればいいって気持ちだったんです。でも、自分一人で野球をやっているんじゃなく、全員でやっているので周りにちゃんと声をかけることが大事だって気付かされましたね」。一つ上の先輩たちと試合を重ねて、学んだことは多かった。
★努力で武器にしたインコース
小林の投球を見た時に、一番印象に残るのは、右打者の内角低めに突き刺さるクロスファイヤーだろう。しかし、意外にも小林がその武器を手にしたのは、2年の夏頃だった。「2年の春にインコースに投げられなくて、打たれて負けてしまって。インコース投げる練習しろって一つ上のキャッチャーの方に言われて、練習して、夏頃に投げられるようになったんです」。それからはどんどん投げるようになった。今は、一番自信のあるボールを尋ねても、「インコース低めのストレート」と即答する。
「だから、右打者には自信があります。チェンジアップも右打者のアウトコース低めにシンカー気味に逃げていくので」。逆に、左打者は投げづらさを感じている。3年夏に静岡商の大型左腕・今本茂雄と対戦した時には、「球の出所が見にくくて、気づいたらボールが近くにあるなって感覚を持って。ちょっと左打者が打つのは大変かなと。左に強いのは羨ましいな、見習いたいなと」思ったそうだ。
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