静岡を巣立つ高校球児番外編~渡邉隆太郎(帝京)3
オフシーズン企画として始まった「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
前回、前々回に引き続き、「静岡高校野球」編集部による番外編です。「静岡を巣立つ高校球児番外編~渡邉隆太郎(帝京)1」はコチラ!
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静岡を巣立つ高校球児番外編~渡邉隆太郎(帝京)3
★投手としての今後
左腕のパワーピッチャーという稀有な存在である渡邉。「重たいボールを投げるって言われてて、そういうピッチャーって意外と少ないって。そこを売りにしていきたいなと」。しかし、パワーだけで押せるほど、これからの道が甘くないこともわかっている。「色々な指導者に言われたのは、高校までは力でいけたけど、ここからは技術が必要だぞって。パワーと技術を両立させていけたら」。
課題としては、ウエイトコントロールと柔軟性を挙げた。参考にしている選手は、小学生の時に、野球教室で教わってから好きになったという和田毅(オリオールズ)、「水の意識」という体の使い方に共感する杉内俊哉(巨人)。「自分とタイプは違うと思うんですけど、同じ左投手として見習うところがすごく多い2人です」。
小さい頃にはプロ野球をあまり見なかったという渡邉だが、楽しさがわかり、今はよく見るようになったという。「杉内は今年巨人に入って、見る機会が一気に増えて、嬉しかったです」と話す笑顔は野球少年に戻っていた。
★藤浪・大谷・松井・中村、みんなすごい
高校時代に対戦した中で一番すごかった選手を尋ねると、まず大阪桐蔭・藤浪晋太郎(現阪神)の名前を挙げた。「最初に見た時は、全然知らなくて。でも、144キロとか投げてて、2年生でもすごいピッチャーいるなーぐらいで。3年になって練習試合をした時は、普通に150キロとか出してるし、甲子園で投げてるんで、オーラみたいのもあって。打席に入ると近かったですね」とその脅威を語る。しかし、藤浪が打席に入る時は、「ストライクゾーンが広いんで」、嬉しかったそうだ。
2年夏には甲子園で花巻東と対戦し、大谷翔平(現日本ハム)も目撃した。「ピッチングもすごかったんですけど、打球が他の人よりずば抜けてすごかったです。速さといい、飛距離といい。逆方向にフェンス直撃とか打ったりしてたので。打席には立ってないんですけど、対戦したかったです」。
世代を代表した藤浪、大谷以外にも、帝京は全国の強豪校と練習試合をする機会が多いだけに、すごいと思った選手も数多いという。桐光学園の松井裕樹は「ストレートが速い」と感じ、渡邉自身は全く打つことができなかった。しかし、周りのチームメイトは簡単に打っていて、松井のすごさと同時に、周囲の選手のすごさも感じた。
東東京でしのぎを削った関東一の中村祐太は2年の秋季都大会決勝で対戦するまで存在を知らなかった。「打席に立ったらビックリしちゃって。球が低く見えて、伸びがすごい。低めだと思ったら、ストライクだったり、ど真ん中だと思ったら高めだったり。ほんと、そういうボールでした」。
高いレベルに触れることができた3年間だった。
★個性溢れるチームメイトたち
もちろんチームにもハイレベルな選手たちがいた。1学年上でプロに入った伊藤拓郎(現DeNA)、松本剛(現日本ハム)は言うまでもなく、同学年の投手には左腕の石倉嵩也(東洋大進学予定)や、最速147キロ右腕・木部拓実(筑波大進学予定)らがいた。「ライバル心はあったんですけど、なぜかアドバイスしちゃうんですよね。3人とも。ライバルで、内心はピリピリしてたんですけど、やっぱりチームで勝ちたいっていうのが強かったんだと思います」。お互いを高め合える存在だった。
女房役を務めた、2013年のドラフト候補・石川亮の強心臓にも驚かされた。「甲子園のマウンドで、タイムかけて来たと思ったら、“帰ったらスーパー行きましょう”とか言ってきたり。そういうこと言えるやつなんで、度胸もあって投げやすいですね。石倉にも言ってたし、拓郎さんにもそんなこと言ってたと思います」。
★渡邉隆太郎からのメッセージ
静岡を出て、全国屈指の強豪校で過ごした3年間。「高いレベルでやれて、色々なことを知ることができた。真っすぐにしても、球速自体が出ていなくても、キレとか出所の問題もすごいわかって。打ちづらいピッチャーって速くなくてもすごい打ちづらい。そういうところが勉強になりました」。元から素質を持った者が集まる中、そこから抜きんでるための工夫や、知恵、根性も学べた。「帝京に行ってよかったです」と渡邉は何度も口にした。
最後に現役球児へのメッセージをお願いした。「高校引退してから思うことは、3年間あっという間。2年半しかできなくて、もっともっと高校野球やっていたかったなって、今でも思うんですけど、そういう後悔してほしくない。今を全力で頑張っていってほしいですね。高校野球には未練タラタラなんで」。 2年で甲子園に出場するも、衝撃的な敗戦を経験し、3年では甲子園に行くことができなかった。高校野球の心残りは、社会人野球で晴らしていく。
■渡邉隆太郎[わたなべ・りゅうたろう]
投手/帝京3年/180cm98kg/左投左打
6歳の時に富士根南エコーズで野球を始める。東海大翔洋中2年時に全国準優勝。全国屈指の強豪・帝京に進学後、2年夏に甲子園に出場し、注目を集める。投打にパワーが魅力の静岡の至宝は、今春から富士重工業に入社し、3年後のプロ入りを目指す。
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県内では、竹安大知(伊東商)が熊本ゴールデンラークスに入社し、都市対抗出場を目指します。
帝京には、2年生に東海大翔洋中出身の山崎康誠がいて、来年は4番を打つのではという期待をされています。今後も帝京は要注目ですね。また、長らく板橋区に住み、母校も帝京の近所だという編集部Hは渡邉との板橋トークを心待ちにしていたようで、渡邉御用達の弁当屋の話で盛り上がっていました。
「静岡を巣立つ高校球児」はまだまだ続きます。次回は、県内選手に戻って、静岡商の大型左腕・今本茂雄。お楽しみに!(「静岡高校野球」編集部)
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