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2013年1月17日 (木)

静岡を巣立つ高校球児~今本茂雄編・上

 好評連載中(のはず!)の「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。(第1回中澤彰太編第2回藤山知明編第3回大友伸久編第4回小林弘郁編番外編渡邉隆太郎
 第5回は、今夏、ピッチングでもバットでも活躍し、静岡商準優勝の立役者となった快速左腕・今本茂雄(静岡商3年)。卒業後は日本大に進学する今本のインタビューを2回にわたってお届けします。

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静岡を巣立つ高校球児~今本茂雄編・上

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★甲子園を目指して静岡商へ
 今本茂雄は3兄弟の末っ子として藤枝で生まれ、「長嶋茂雄のようにビッグになるように」と、茂雄と命名された。兄2人がサッカーに夢中になる中、今本は野球に興味を持ち、小学3年の時に始めた。本来右利きの今本だが、左利きの父の影響で野球では左投げを選んだ。
 中学に入学する頃から身長が高く、卒業時には182センチ。長身左腕ということもあり、近隣の高校からも誘いは多かったが、「甲子園に出られる可能性が高いし、元から入りたかった」という静岡商に進学した。
 入学すると、まず、同学年の投手たちに圧倒された。裾野シニアを全国3位に導き、鳴り物入りで入学した中本聖エリヤや、豪腕・有賀純など中学時代から名前の売れた選手たちは入学当時からすごかった。「最初にピッチングをやった時に、最初なんでそんなに出てないんですけど、みんな125,6は出てたんです。自分は118とか120キロ出てないかんじだったので、やっていけるのか心配になりましたね」と、不安の中、今本の高校野球が始まった。

★故障に苦しんだ半年間
 今本が初めてベンチ入りを果たしたのは、1年秋の静岡市内大会だった。大会で登板機会はなかったものの、来春に向けて好調を維持していた。今本が故障に襲われたのは、そんなタイミングだった。11月の後半から、肘がおかしいとは感じていたが、そのまま投げ続けていたという。「冬の練習に入って、綱登りをしてたんですけど、その登った時にビキっていうかそんなかんじがして、握力が入らなくなっちゃって。そのまま降りて、先生のところに行って、病院に行ったら“手術”ってことで」。神経が圧迫されていて、手術は避けられないところにまで来ていた。そして、2月に手術が行われた。
「不安でしたね。手術が終わった後、何もできなくて、“また投げれるのかな”とか言ってましたね。トレーニングもできなくて」。術後はすぐに曲がると聞いていたのに、肘が30度しか曲がらない。リハビリもなかなか進まないまま、悶々と2カ月を過ごした。「キャッチボールができたのは、5月でした。テーピングでグルグル巻きにして、とりあえず投げられるから投げてみろみたいなかんじで、近い距離で投げました。最初は怖かったですね…。でも、嬉しかったです」。ようやくブルペンに入ることができたのは5月の後半。そこからは順調に回復し、6月の中旬には実戦に復帰することができた。

★冬の努力の成果01
 2年の秋季大会では中部地区大会で登板したが、エース・中本が好調で、県大会、東海大会では出番が回ってこなかった。
 故障が治ってからは、ブランクを取り返そうと筋トレや走り込みを黙々と続けた。秋には135,6キロが出るまでになっていたが、その冬にはさらに練習に打ち込んだ。「前の冬より数段キツかったですね。1日20キロぐらいは走ってたんじゃないですかね。久能山の階段登ったり、400メートル20本とかそういうのをやったりして」。食事も多く取るように心掛け、入学時には68キロほどだったという体重も、10キロ増えた。
 2月にボールを投げ始めると、大きな変化があった。「全っ然、全然、違いましたね。キャッチャーの吉永(祐太郎)も捕ったらビックリしてました。チームで一番速いんじゃないかって」。投げていても、実感はあったという。ボールに力が伝わり、今までにない感覚を得ていた。

★勝利を引き寄せた左腕
 その実感は、春季大会で活躍したことで、自信に変わった。最後の夏に、憧れていた「静商の1」を手にすることはできなかったが、9番をつけた。しかし、外野と投手の練習をすることになり、頑張りすぎたのか、今本はわき腹の肉離れを起こす。テーピングで固定された状態で迎えた初戦、スタメンに今本の名はなかった。登板することもないのではないかと思っていたという。
 しかし、静岡商の初戦はとてつもない試合になった。東部の強豪・御殿場西を相手に、序盤得点を重ねて、ベンチから見守っていた今本もコールド勝ちが頭をよぎったという。しかし、先発の中本の負傷をきっかけに、チームに焦りが生まれ、同点に追い付かれてしまう。5-5のまま延長に突入した10回、今本は代打として送られ、その裏からマウンドに立った。「息を吸うだけで痛い」わき腹は気になって、好調とは決して言えない状態だったが、14回途中までを無失点に抑えて、國松歩にマウンドを譲った。その後に、静岡商が勝ち越し点を奪い、長い試合に決着がつく。エースの負傷で、御殿場西にいきかけた流れをガッチリ引き寄せた今本の好投だった。

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