静岡を巣立つ高校球児~今本茂雄編・下
オフシーズン企画として始まった「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
前回に引き続き、今本茂雄(静岡商3年)編です。 「静岡を巣立つ高校球児~今本茂雄編・上」はコチラ!
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静岡を巣立つ高校球児~今本茂雄編・下
★決勝戦のマウンドには
「わき腹は気合でだんだん治りました」と笑う今本は,、その後も静岡商を勝利に導く投球を見せた。準々決勝の市立沼津戦では7回途中から登板し、6回1/3を1安打無失点。準決勝の静清戦では9回から登板して、同点にされたものの、その後は延長14回まで得点を与えず投げ抜いた。1点も与えられない厳しい状況での鬼気迫る投球は静岡商のナインを奮起させた。バットも好調で、「もし甲子園に出ていたら、今本を中心に戦っていた」と見城喜哉監督も振り返る。
決勝戦では骨折した相原将輝にかわり4番に座り、3安打を放ったが、投手としての出番はなかった。「自分は前の試合に投げていたので、後ろに回るっていうことで。決勝はエースが投げるのがいいって思ってて、エリヤにお前行けって言ってました」。3年間の集大成となる試合、マウンドに立つ中本を今本は外野から見守った。そして最後の打者として、敗戦の瞬間を迎えた。「決勝で投げたかったな…」という思いはあったが、戦いぶりに悔いはなかった。
★東都の名門・日本大へ「3年夏の、ああいう場面でゼロに抑えられたっていうのは、自分でも成長したなって思いますね」。高校3年で心身ともに大きく伸びた今本。静岡商に入った頃は、野球を続けることはあまり考えていなかったという。しかし、就職希望を周囲に伝えると、見城監督どころか、他の先生にまで「大学で野球をやれ」と言われた。それから野球を続けることを考え始めたそうだ。
そして選んだのは日本大。東都の名門だが、現在は2部に沈んでいる。静岡からは常葉学園橘の宮崎悟、西川賢弥、裾野シニア出身で山梨学院大付の坂上泰斗らも進む。東都には静岡商出身の選手も多く、先輩たちと対戦することも楽しみにしている。
大学でアピールしていきたいのは、チェンジアップ。3年に入ってから覚えたチェンジアップは、シンカー気味に落ち、よくフォークと見間違えられるというスピードを持つ。右打者に有効で、投球の幅も広がり、そこから楽に抑えられるようになった。
★左腕にとっての左打者
多くの高校生左腕がそうであるように、今本も左打者の内角を投げづらく感じている。夏の準決勝・静清戦で若松良に同点打を浴びた時も、捕手の吉永がインコース寄りに構えていたものが中に入ってしまったボールだという。すごいと思った投手として名前を挙げた渡邉義(静岡高)は、「すごいコントロール良くて、対戦する時、内角突いてきて、自分打てなかったんで」と、左打者の内角に投げ分けられる制球力に感心したそう。
ただ、市立沼津の小林弘郁に話を聞いた際に「今本は球の出所が見づらく、左打者にとってはかなり打ちづらい」という言葉も聞いた。「出所は意識してないんですけど、練習でバッティングピッチャーやる時に“打ちにくい”って言われたりしますね。1年生の時から、左打者の人に言われてて、そういう自覚はあったんですけど。3年生に“お前、打ちにくいからいい”って言われちゃったり」。本人は少し不思議そうな顔をして言うが、今後は大きな武器になってきそうだ。
★今本茂雄からのメッセージ
「みんなが見てないところでどれだけ努力するか、ですかね。自分も残って筋トレしたり、走ったり、そんなかんじだったので」。故障で数カ月のブランクができながらも、黙々と練習を重ねて、3年夏に輝いて見せた今本。努力を見てくれている人、認めてくれる人がいるということが今本を支えた。
将来の夢は「ここまで来たらプロ野球選手」。今後の課題としては、もう一つ使える変化球を身につけることと、スピードを挙げた。現在の最速は142キロだが、「145とか、140後半を投げたいですね。バンバンいきたいです」と意気込む。
大学に合流するまであとわずかだが、現在は、藤枝市内の自宅から自転車で静岡商に通う。山もあるその長距離コースを走ることで、体つきは現役時代と変化がない。「自分、我慢強いんで」。自分の描く理想に向かって、今本は努力し続ける。
見城喜哉監督からの贈る言葉 今本はこの冬、一番練習しているんじゃないかと思うほど、真面目でコツコツやるタイプ。のびしろも十分にあるし、あれだけの身長がある左腕なので、プロを目指して頑張ってほしいですね。 |
■今本茂雄[いまもと・しげお]
投手/静岡商3年/184cm78kg/左投左打
小学3年で野球を始め、岡部中では藤枝市長旗杯優勝。静岡商に入学後、故障を乗り越えて最速142キロを記録した。大きなノビシロを、日本大でコツコツ開花させ、プロを目指す。
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今本の最近の趣味はパズル。「最近、500ピースをやって。これから1000ピースに手を出そうかなと」という言葉通り、携帯などではなく、昔ながらのジグソーパズル。角を集めて、枠を作って…と王道の組み立て方で頑張っているようです。黙々と、努力をひけらかすことなく、練習をこなしてきた今本らしい(?)趣味でした。
今本と互いに刺激しあってきたエースの中本聖エリヤは日本体育大に進学し、将来はプロを目指すそう。注目を浴びて入学し、重圧の中で「静商のエース」として戦ってきた中本。「路上で弾き語りをしようかと思っていた」というほど楽器や歌が得意で、文化祭の前夜祭ではドラムを叩いていたとか。今本曰く、「めっちゃかっこよかったです! いつも見ない姿でした」とのこと。
努力家の今本と、多方面にセンス溢れる中本に、「静岡高校野球」編集部は今後も注目していきます!(編集部H)
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