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2013年2月

2013年2月24日 (日)

島田金谷中が注目カードを制す!

 今日の浜岡球場は立っているのもつらいほどの強風でした。そんな中、静岡県中学選抜大会は1回戦3試合が行われました。

<浜岡球場>
牧之原榛原中7-3掛川大須賀中
島田金谷中4-0三島南中
静岡高松中4-0磐田竜洋中

 第2試合では、島田金谷中と三島南中が激突。両チームとも、好投手を擁しているだけに注目のカードでした。実はこの2チーム、昨秋の静岡県中学新人野球大会1回戦でも対戦。その際は、三島南中が1対0で勝利。エースの中川真杉(2年・173cm57kg、右投右打)がノーヒットノーランを達成しました。

1302241 ところが今日は初回、島田金谷中が1番・中村蒼(2年・167cm54kg、右投左打)のセンターへのフライが強風の影響で安打となると、その後も相手のミスから満塁のチャンスを作ります。ここで4番・羽田佳貴(2年・177cm65kg、右投右打)の右中間を破るタイムリー三塁打で3点を先制。さらに1点を追加し、初回に一挙4点。県屈指の好投手、中川が大量失点という予想外の展開で試合が始まりました。
 先日、島田金谷中の練習を覗いた際、バッティングマシーンで打ち込みを行っていましたが、その成果が実ったようでした。

 一方、島田金谷中の好左腕・仲田英亮(2年・175cm78kg、左投左打)は序盤から快調に飛ばします。体全体を使うダイナミックなフォーム。ゆったりとしたテークバックから、リリースにかけて、腕をしなやかに豪快に振ってきます。昨年12月に全日本少年軟式野球大会の選抜選考会で一度見ているのですが、そのときはコントロールに苦しんでいました。しかし、今日の仲田は低めにきっちりに集めることができていました。しかも、真上から投げ下ろす感じなので、球に角度があります。悪条件の中、投げにくい時にはマウンドは外すなど、最後まで自分の投球に集中。見事、三島南中相手に完封しました。

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 中川も2回以降はストレートと変化球のコンビネーションが小気味よく、7回二死までノーヒットに抑えます。特に、最後の7回は腕を全開に振っているようで、相手打者を圧倒。大器の片りんを感じました。
 試合後、中川は「普段はエラーがほとんど無いチームですので、初回のエラーで気持ちが動揺してしまいました」とコメント。ただ、来月には静岡中央クラブの一員として、全国大会に出場するだけに、「今日の投球を反省して、気持ちを切り替えて頑張ります」と前を向いていました。

1302243 上記の2投手の以上にインパクトを残したが3試合目に登場した磐田竜洋中の大橋建斗(2年・175cm67kg、右投右打)。右の本格派タイプの大橋は上半身主導のフォームですが、打者の手元でピュッと伸びるストレートが武器。そのストレートで空振りを奪うことができます。緩い変化球と上手く緩急を使うなど、完成度もなかなか高いです。
 試合は5回に4点を失って敗戦したものの、今後が楽しみな好素材です。(編集部・栗山)

★静岡新聞(アットエス)
http://www.at-s.com/sports/detail/474569458.html
その他の試合の結果は静岡新聞のサイトでご覧下さい!

<写真上/投げるだけでなく打っても将来性の高い仲田英亮(島田金谷中>
<写真中/来月の全国大会で悔しさを晴らしてほしい中川真杉(三島南中)>
<写真下/マウンドの雰囲気から大物感が漂う大橋建斗(磐田竜洋中)>

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2013年2月23日 (土)

県中学選抜大会が開幕!~浜岡球場レポート~

 本日から静岡県中学選抜大会が始まりました。各地区を代表する32チームが静岡の頂点を目指し、激闘を繰り広げます。

<浜岡球場>
東海大翔洋中5-1掛川原野谷中
浜松北浜中8-0富士宮四中(5回コールド)

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 初日の浜岡球場には、毎年注目を集める東海大翔洋中が登場。掛川原野谷中との初戦、先発マウンドに上がったのは注目右腕の久保山優(2年・174cm60kg、右投左打)。鋭い腕の振りから球威あるストレートを投げ込みます。受ける戸崎慶(2年・173cm68kg、右投右打)は強肩が魅力。打撃では思い切りのいい大きなスイングが目を引き、この日2盗塁を決めるなどアグレッシブな姿勢も好印象です。今年の東海大翔洋中はこのバッテリーを中心としたチームですが、キャプテンシー溢れるセカンド・中田海斗(2年・166cm55kg、右投右打)やきれいな打球を打つサード・久保田拳太(2年・167cm60kg、右投右打)などその他の役者も粒ぞろい。
 東海大翔洋中は初回に3点を奪うと、2回、3回にも1点ずつ追加。投げては久保山が6回までを2安打1失点6奪三振に抑え、5-1で初戦突破を果たしました。
 東海大翔洋中は弓桁義雄前監督(現東海大翔洋高監督)の時代から、足を使った攻撃が突出していましたが、今年もガンガン動いてきます。塁上に走者がいることが多かったせいもありますが、この日も盗塁を何度も試みていました。しかし、その盗塁を3度阻止したの掛川原野谷中の捕手・松井祐紀(2年・173cm72kg、右投右打)。下半身がしっかりした捕手らしい体型の選手で、肩が良く、送球のコントロールもばらついていませんでした。

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 2試合目は浜松北浜中の左腕・井内駿佑(2年・165cm58kg、左投左打)に注目していました。キレのいい変化球が武器とのことでしたが、低めに決まるストレートも良かったです。上背はありませんが、体全体を使った躍動感のあるフォームで、腕の振りもいいので、生きのいいストレートを投げます。カーブはちょっと浮いていることもありましたが、4回には変化球で3者連続空振り三振。5回を1安打無失点の好投でチームを勝利に導きました。
 この井内、コンパクトなスイングで器用な打撃も面白く、5番を打っています。塁に出ると、初球で盗塁を決め、ボールから目を切らずに1つでも先の塁を狙うところにセンスを感じましたね。
 浜松北浜中では送球が正確で安定感のある守備を見せるショート・中安凌一(1年・162cm47kg、右投左打)も楽しみな1年生です。
 コールド負けとなってしまった富士宮四中ですが、1番センターの大森凱斗(2年・177cm60kg、右投右打)は長身で足もあり、雰囲気が良かったです。2打席しか見られませんでしたが、もう1打席見てみたかったですね。

 浜岡球場、ものすごく風が強かったので、明日観戦される方は気をつけて下さい! 私は木の枝が飛んできて当たりました。(編集部H)

★静岡新聞(アットエス)
http://www.at-s.com/sports/detail/474569248.html
その他の試合の結果は静岡新聞のサイトでご覧下さい!

<写真上/全日本少年春季軟式野球大会に出場する静岡中央クラブでも主戦捕手&主将として期待される戸崎慶(東海大翔洋中)>
<写真下/投打にセンスを見せる井内駿佑(浜松北浜中)>

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2013年2月15日 (金)

聖隷クリストファーの注目投手陣をチェック!

 先日、『静岡高校野球2013』の取材で聖隷クリストファーに伺ってきました。といっても、『静岡高校野球2013』の発売は6月予定ですので、まだ時期的には早いのですが…。それでも、このオフは、ほぼプロ全球団のスカウトが視察に訪れたという鈴木翔太の現状を知りたくて、グランドに伺ってきました。

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 鈴木翔は、3月の練習試合解禁に向け、順調に仕上がっている様子。投手陣を担当する佐野大輔副部長とともに、ストレッチを中心に柔軟性を養うトレーニングに励んでいました。鈴木翔と言えば、お餅で体重を増やしているということが話題になりましたが、2月に入ってからは、なんと、朝から雑煮に17個も入れて食べているという衝撃の事実が…。もともと食べても太りにく体質も、現在は食べた分に比例しながら徐々に体重が増えてきているそうです。
 この日は、全体練習は9時開始ですが、投手陣のみ、1時間早い8時から集まり、じっくりと体を温めてから練習に入ります。このあたり、故障を未然に防ごうという、佐野副部長の心遣いを感じることができました。
 ブルペンでの登板後、紅白戦でもマウンドに上がった鈴木翔。変化球中心の投球ですが、昨秋に比べ、肩甲骨のあたりがさら1302151_2に柔らかくなっているような感じ。しなやかさが増している印象でした。果たしてひと冬越して、どんなボールを投げてくるのか。3月にはセンバツ大会に出場する強豪校との練習試合も組まれているそうなので、すごく楽しみです。

1302153_2 その鈴木翔と練習でコンビを組んでいるのが左腕の大石一樹。「県大会の準々決勝、準決勝を一人で任されるような力をつけさせたい」と、鈴木洋佑監督、佐野副部長が成長を期待している投手です。
 体全体を使って投げ込まれるストレートは130キロ前半も、打者の手元でのキレが武器。変化球も新しい球種を習得し、レベルアップしています。実際、鈴木翔を見にきたスカウトが「あの左腕もいいね」といって帰るほど。聖隷クリストファーが甲子園出場を果たすには、この投手がカギを握ってくるのではないでしょうか。(編集部・栗山)

<写真上/『静岡高校野球2013』の取材に応えてくれた鈴木翔太>
<写真中/練習後にじっくりとストレッチを行う大石一樹(左)と鈴木翔(右)>
<写真下/新たな球種を覚え、投球の幅が広がりつつある大石>
 

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2013年2月13日 (水)

静岡を巣立つ高校球児~小平倫敬編・下

 オフシーズン企画として始まった「静岡を巣立つ高校球児」もとうとう最終回。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たち10人に会ってきました。
 前回に引き続き、小平倫敬(川根3年)編です。 「静岡を巣立つ高校球児~小平倫敬編・上」はコチラ

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静岡を巣立つ高校球児~小平倫敬編・下

Dsc_8227★ボールをペンに握りかえて
 朝練に行く前に5時起きで勉強するなど、「勉強も好き」だという小平。物理や化学が得意な理系だ。鈴木監督に聞くと学年で1番かそれぐらいの成績だったそう。ただ、野球に夢中だったこともあり、卒業後のことは3年になるまで考えていなかった。
 小平が野球以外に好きだったものが星だった。澄んだ星空全国2位にも選ばれたことがある川根に生まれ育ち、自宅の屋根の上から星空を見たり、図鑑を見て宇宙の広大さに思いを馳せることが趣味だった。そして「好きなことなら続けられるかなって」宇宙について大学で学びたいという希望を持ち始めた。野球で誘われた大学もあったが、自分の学力で進学することを決めた。
 高校野球が終わってからは、受験勉強に打ち込んだ。それでも、進学先で野球を続けることは決定事項のように頭の中にあった。「野球が好きで、大学行っても、野球やるでしょ、やるべきでしょっていうのが自分の心の中にあって。1回戦で負けちゃって、今も悔いが残ってて。だったら、その悔いを大学で晴らそうかなっていう思いが強かったので」。ボールを握ることはできなくても、野球への思いは尽きることがなかった。

★新天地は国立茨城大
 宇宙関係が学べる大学を探し、昨年末に推薦入試で国立茨城大に合格した。水戸には大学の様子を見に行った時に初めて訪れたというが、その時に早速グランドで野球部の練習を見学させてもらったそう。
 関甲新学生リーグに所属している茨城大は、昨秋、2部に昇格した。その原動力となった竹井大貴という2年生左腕が小平は気になったという。「練習見てても、周りの動きとちょっと違って、一人だけ映えて見えたなっていう印象でしたね」。竹井は日大鶴ケ丘出身で、2年時には甲子園に出場。3部では昨秋、2回もノーヒットノーランを達成している。今春もエースとして活躍が期待される左腕に、小平も同じ左腕として、色々なことを学ばせてもらうことを楽しみにしている。
 川根高と同じく、茨城大も部員数が比較的少ない。チャンスは多く、左腕の優位性も生きるのではないかと考えている。「行ってからすぐレギュラーは取ってみたいと思いますし、あわよくばピッチャーもやってみたいなって。やっぱり試合出るのが好きなので」。

★川根のドクターK?
 アピールしたいところは、三振の取れる投球。それは自分の売りとして、今後も続けていきたいそう。掛川西との練習試合の8回13奪三振は「ナイターっていうのもあったんですけど…」というが、毎試合のように8、9三振は奪う。空振りの取れる高めのストレートには自信を持っている。
 課題としては受験勉強で鈍った足の筋肉を戻すことと、左打者への投球を挙げる。今までは抜ける球が多く、左打者の内角を攻めきれなかった。ストレートをしっかり左打者の内角に投げ込めるようになることはもちろん、新たな変化球の習得も目指す。「フォークボールに挑戦したいなと。チェンジアップもちょっと考えてます。左バッターにもうちょっと見せるボールが欲しいなと思って」。現状、スライダーとカーブしかない持ち球に、落ちる球を加えて、投球の幅を広げることを目論む。
 現在は野球部の練習に参加して、走り込みなどを行っているが、「勉強してる間、そんな体型変わらなかったから、大丈夫なんじゃないかなと思って練習やったら、全然、体動かなくて…」と苦笑い。現役の体を取り戻し、2月下旬からは投げ込みも始める予定だ。

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★小平倫敬からのメッセージ
 現役球児へのメッセージを聞くと、少し考えこんだ。「2年半って本当短いって思ったんですよ。あっという間だったなって。それは自分が終わってみないとわからないことだったので、そういう実感をする前に時間が短いってことを自覚して、練習に励んでもらいたいですね。時間の大切さっていうのは自分自身感じたので」。野球に勉強に全力で取り組んだ高校生活だったが、走り込みはもっとしておけばよかったという。「自分の限界を知らない分、期待も大きくなっちゃって。そう言う面ではもっと走ってたらいいピッチャーになれたんじゃないかなっていうのはありましたね」。
 将来の夢を尋ねると、「夢、ですか。夢…はそんな決まってないですね。宇宙の研究を続けながら、野球も続けていきたいなって。やっぱりその2つが自分の今好きなことのツートップなので、将来ずっと携わっていければいいなって思いますね。どっちもできるか、どっちか。宇宙の関係になって草野球やったり、それか社会人とかの誘いも、もし受けられれば…」。何度か話を聞いて、宇宙関係の仕事に就くことを志していると思い込んでいたこっちが面喰うようなことを何気なく言った。「野球も考えてますよ。もし、社会人とかにアピールできて、評価とかしていただけたら、社会人でもやってみたいなっていうのはありますね」。
 この日は曇りで星は見えなかったが、晴れた夜には空が星で埋め尽くされるという。「野球中心で考えているので、あまり帰ってこれないと思います」。川根の星空の下で過ごせる残りわずかな時間を大切にしながら、練習に励んでいる。

鈴木亮監督からの贈る言葉
言われなくてもやる男でチームも全部まとめてくれました。今、茨城大は関甲新学生リーグの2部なので、1部に昇格させられるような選手になってほしいですね。左腕ですし、チャンスもあると思うので頑張ってほしいです。

■小平倫敬[こだいら・みちたか]
投手/川根3年/175cm70kg/左投左打
小学4年で野球を始める。小学5年から投手となり、川根高では2年夏からエース。しなる肘から空振りの取れるストレートを投げ込む左腕は、茨城大で野球と勉強に打ち込む。
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 何度か話をした小平が茨城大に合格したと知った時には、ぜひ「巣立つ」をお願いしたい! と思いました。しかし、それまで紹介してきた選手は全員野球に力を入れる私学や社会人に進み、将来はプロか社会人を希望する選手。国立大に進む小平が野球で取り上げられることをどう思うかわからなかったので、鈴木監督にお伺いをたて、本人に意向を聞いてもらうことに。そこで快諾をしてくれて実現しました。実際に話を聞くと、想像以上に大学野球に向けて張り切っていました。「バイトするんですか?」と聞いて、「野球中心で考えてるので」なんて返されてしまったりして申し訳なかったです。「野球も考えてますよ」の流れの時には「巣立つ」史上一番の驚きが。野球で取り上げられることを嫌がらないかなと悩んでいたのは、杞憂でした…という編集部Hの取材裏話でした。

 「巣立つ」はブログ内連載という微妙な立場でありながら、取材をお願いした全チームが協力して下さったので、大変ありがたかったです。一人一人にじっくり話を聞かせてもらったので、びっくりするような話や笑ってしまう話を色々教えてもらいました。それぞれの進路での活躍を大いに期待したいです。もちろん追跡レポートもしますのでお楽しみに!
 現在、受験勉強に励んでいる高校3年生も多いと思いますが、進学先等が決まって、野球を続ける予定がある選手はぜひ教えてください。最終回と言いつつ、編集部Hが押し掛けるかもしれません。(編集部H) 

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2013年2月12日 (火)

静岡を巣立つ高校球児~小平倫敬編・上

 最終回を前に、突然、「あの企画面白いですね」と言われることが増えた「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会ってきました。(第1回中澤彰太編第2回藤山知明編第3回大友伸久編第4回小林弘郁編番外編渡邉隆太郎第5回今本茂雄編第6回増田友輔編第7回夏目旭編第8回天野竜編
 10人目となる最終回は、エースで4番、主将として川根を引っ張り、肘のしなりで私、編集部Hを魅了した小平倫敬(川根3年)。卒業後は茨城大に進学する小平のインタビューを2回にわたってお届けします。

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静岡を巣立つ高校球児~小平倫敬編・上

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★全国制覇の空手有望選手が…
 小平倫敬は川根本町の町民にも「山の方」と言われる集落で育った。十数軒が点在し、年の近い者はごくわずか。小学校も中学校も町のバスで通学した。
 小学4年の時に野球を始めるが、小平は小学校に入る前から空手を習っていた。野球を始めてからも並行して空手を続け、小学5年の時には東京で行われた全国大会で優勝。小学6年でも全国準優勝を果たした。しかし、野球に夢中になった小平は中学からは野球一本にすることを決めていた。周囲は空手の有望選手だった小平を当然引き止めたが、小平の決意は固かった。家族も小平の意思を尊重し、見守ってくれたという。
 野球を始めた時には外野を守っていたが、左投げということもあり、小学5年の終わり頃からは投手を始めた。中川根中に入学した当初も外野を守り、ほとんど投手となったのは中学3年の時だった。

★渡邉隆太郎の衝撃
 中学2年の時に、小平はとんでもない投手を目撃した。「渡邉です。帝京に行った渡邉隆太郎。東海大翔洋中と中川根中で練習試合をやらせてもらったんですけど、その時にすごかったですね。あとで同級って聞いて、すごいびっくりしたのを覚えてます。僕の周りとガタイが全然違ったので。球も速かったですね。中学の時からずば抜けてました」。中学2年の時に渡邉といえば、東海大翔洋中のエースとして全国準優勝を果たし、県内では安打すらほとんど許さなかったという別格の存在。小平も1打席だけ打席に立ったが、ストレートにはとても当たらず、スライダーをひっかけてショートゴロだったという。

★野球の楽しさで通学の苦労も乗り越える
 川根高は中川根中と中高一貫として連携している。そのため、小平は中学時代にも川根高のブルペンで練習をすることがあり、川根高の鈴木亮監督に指導や話をしてもらったという。通学できる高校がほとんどなかったこともあるが、川根高に進学することに迷いはなかった。
 小平の住む集落から川根高に行くには、原付で細い山道を下ってきて、自転車に乗り換えるか、大井川鉄道で通う。校則では最寄駅までしか原付で来ることは許されていない。猿や鹿も出没し、冬期には凍結もする山道で、原付で転倒したこともあるという。天気が悪い日には、親の送迎が不可欠だった。
 通学は苦労をしても、野球部にはすぐに馴染めた。「地元の先輩がそのまま上がってたりもして、知り合いも多かったので。不安よりも高校野球の楽しみの方が大きかったですね」。
 1年夏からベンチ入りを果たし、外野と投手を兼任。その頃から腕の振りの良さは人目を引くものがあったと聞く。ただ、「アウトはフライか三振がほとんど。だからリズムが悪い」と鈴木監督が言う通り、要所で三振を取る投球が多かった小平。しかし、2年春の石川遠征では全く違う投球を展開した。「低めに集めて、コントロールよく抑えて、試合が1時間30分とかで終わって。それが、いつもランナーためたけど要所で三振取って抑えてっていう自分の試合の印象と違ってて、こういう試合もあるんだなって」。そういう投球をまたしたいという願望もあるが、その時はたまたま好調だったそうで、それ以降はできなかったという。しかし、自分の新たな可能性を知ることができた試合だった。

★エースで4番、主将の最後の夏
Dsc_6843 初めて1番を背負った2年の夏は、初戦の袋井戦であっけなく終わった。5回まで1失点と好投していたが、6回に打たれ始め、止まらなかった。この回袋井は一挙10点を奪い、コールドで試合終了。それは自分でも驚くほど、突然の乱調だったという。苦い思い出だが、5回終了の整備の後に打たれ始めたことから、それ以降は整備の間の「間(ま)」を大事にするようになった。
 すぐに動き出した新チームでは主将を任された。「3年の人数が少なかったので、自分がやらなきゃ、一人で引っ張ってかなきゃってそういうのもあったんですけど、最終的にはみんな本当支えてくれて、そういう面でキャプテンできてよかったなって思ってます。自分が一番やらなきゃ周りもついてこないなっていうのがあったので、そういう意味でキャプテンとしての威厳というか、雰囲気作りっていうのが一番大変でした」。
 主将としてチームのために奮闘しつつ、冬には体作りにも取り組んだ。投手の基本は下半身と考え、ボールはほとんど持たず、延々と走り込む。元々そう食べる方ではなかったが、食事も増やし、茶碗5杯は白米を食べたそう。体重が増えたことで、3月にボールを握った時には投げた感触も違っていた。ただ、結果にはなかなかつながらず、春の大会は2回戦で敗退した。
 6月には練習試合で掛川西から13三振を奪う力投を見せた小平。抽選会で自らクジを引いた夏の大会の組み合わせを見て、2つ勝って静岡商と対戦したいと意気込んだ。しかし、結果は1回戦敗退。先発マウンドに立った小平は、初回に3点を奪われたことで呆然として、それ以降どんな投球をしたか覚えていないという。結局、公式戦では満足のいくピッチングをできないまま、高校野球を終えることとなった。

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※2012年5月26日撮影

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 続編は近日中にアップします!(編集部H)

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2013年2月11日 (月)

シニア冬季強化試合 静岡裾野リトルシニアvs衣浦リトルシニア

★2月10日 シニア冬季強化試合 静清グランド 晴

 チーム
衣浦 0 0 0 0 0 0 0 0
裾野 0 1 0 0 0 1 × 2

<バッテリー>
衣浦:横尾-斉藤
裾野:三瓶-小林

 2月9、10日、シニア冬季強化試合が静岡県内を中心に開催されました。全国から多数の強豪チームが静岡県内に集結する貴重なイベントです。

1202101_2 10日は第19回日本リトルシニア全国選抜大会に出場が予想される裾野シニアと愛知衣浦シニアが対戦しました。
 試合は静岡裾野リトルシニア・三瓶慎也(2年・右投右打)、衣浦リトルシニア・横尾蓮太(2年・右投右打)の投げ合いでテンポよく進みます。
 裾野シニアは2回、二死二塁から7番・河野三四郎(2年・右投右打)が横尾の失投をとらえ、センター前タイムリー安打で1点を先制。6回にも1点を追加し、2対0で勝利しました。
 
三瓶は大きく振りかぶり、170センチ67キロの体を目いっぱい使って投げる本格派タイプ。序盤は力のあるストレートを低めに集め、1回、2回はそれぞれ2奪三振。3回以降も、安定した投球で、味方の堅守もあり、得点を許しません。6回の一死一二塁のピンチも、ダブルプレーでしのぐと、7回も走者を出したものの後続を抑え、完封勝利を飾りました。
 前日の北摂リトルシニア戦でも5回4安打無失点の好投。今年に入り27イニング無失点(2完封勝利)と好調を維持しているようです。
 打撃でも光るものがある三瓶。バットを高く構え、スイングの鋭さが特徴です。第3打席では、左中間を破る三塁打を放ちました。精度はこれからの課題ですが1202102、ツボに来たときの打球の鋭さは魅力です。
 その三瓶とバッテリーを組んでいる小林規久(2年・右投左打)は「1番キャッチャー」で右投左打の好選手。第1試合の摂津リトルシニア戦で2安打を放つと、衣浦リトルシニア戦では第2打席にカーブをレフト前へ。キャッチャーとして小柄ですが、俊敏な動きに、二塁ベース上へ低い送球。野球センスもありそうで、今後も見逃せない選手です。

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 9日に浜岡球場に小笠浜岡リトルシニアを見に行った編集部Hによると、「2試合目の塩尻リトルシニア戦で先発した古川竣(2年・右投右打)がよかったです。きれいなフォームから力のあるストレートを投げる投手。3回を投げて2安打無失点4奪三振でした。ストレートで空振りを取れるのがいいですね。古川の後を受けて4回を1安打無失点に抑えた左腕の落合生はまだ1年生。小柄ですが、腕の振りがよく成長が楽しみです。また4番を打つ伊藤翼咲(2年・右投左打)も体が大きくて打席で雰囲気がありました」とのことです。(編集部・栗山)

<写真/上から三瓶慎也(静岡裾野リトルシニア)、小林規久(静岡裾野リトルシニア)、古川竣(小笠浜岡シニア)>

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2013年2月 7日 (木)

静岡を巣立つ高校球児~天野竜編・下

 オフシーズン企画として始まった「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
 前回に引き続き、天野竜(春野3年)編です。 「静岡を巣立つ高校球児~天野竜編・上」はコチラ

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静岡を巣立つ高校球児~天野竜編・下

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★日本福祉大の熱心な誘い
 小学生の頃からずっと一緒にやってきたメンバーと3年間高校野球をやって、卒業後は働くという将来を描いていた天野は、前任の部長に大学で野球をやることを勧められるまで、続けるつもりはなかったという。その勧めも最初は受け流していたが、大学野球の映像を見るようになり、「やってみたいなと思うようになりましたね。自分の力がどこまで通用するのかっていうのが、すごい知りたくなりました」と挑戦を決めた。
 どこからも誘われなければ就職しようと決めていたが、3年夏が初戦敗退で終わった後に、いくつかの大学に声をかけられた。その中でも、総監督が春野まで足を運んで誘ってくれた日本福祉大に心が動いた。一番熱心に、自分を必要としてくれるという嬉しさを感じたという。大学を見学に行った時に、周囲に山があり、春野と少し似た雰囲があったことも気に入った。そして、浅尾拓也(中日)の母校として有名な日本福祉大への進学を決めた。

★引退してからの練習試合
 最後の夏が終わってからは木製バットに慣れることに取り組んでいる。フォーム自体は大きく変えていないが、しっかり飛ばすために、スイングの軌道を考えるようになった。体の近くを通し、バットの先を早く出すように心がけている。
 天野の代が抜けてから、部員が9人を割ってしまった春野では、引退した後も貴重な人員として練習試合に参加することができた。木製バットを構える3年生に対しても、試合となれば相手投手は真剣勝負で抑えにくる。「終わってからの実戦っていうのはすごい貴重なことなので、すごいいい経験させてもらいましたね。自分の打ち方っていうか、感触っていうのもすごいわかりましたし、やらなきゃいけないことっていうのもわかった。それをやったからこそ木ではバットの当て方っていうのも考えるようになりましたね。この高校で、人がいないからこそやらせてもらった体験でした」。

★捕手として
 小学6年から捕手一筋の天野にとって、野球といえば防具をつけてするもの。他のポジションで、防具をつけずにグランドに立つことは、不自然に感じるほど落ち着かないという。しかし、大学ではどこを守ることになるかわからない。「いろんな条件があって、大学の考えもあって、ポジション移動っていうのもあるので。引退してからはなるべくキャッチャー以外のポジションでノックを受けるようにして、慣れるようにしてました。そのままキャッチャーがやれればそれは一番いいことなんですけど」。
 捕手として大切にしていることは捕ってから投げるまでのスピード。「そんなに肩が強くないというか、周りの学校の人より筋力的に劣ったりしていたので、低く、早く投げようと言う気持ちで昔から投げていましたね」。練習試合や動画サイトなどで、足の使い方や捕ってからの流れを気にしながら、色々な捕手のスローイングを見るようにしている。それらも参考に、春野で捕手をやっていた兄にアドバイスをもらいながら練習するうちに体の動きも良くなったそう。
 課題として考えているのはコミュニケーション。相手の考え方を理解することが捕手には大切だと考えている天野は、話す能力を磨きたいという。ずっと一緒にやってきた仲間とは言葉に出さなくても、ある程度考え方もわかっていた。しかし、今後、知り合う投手たちとは、最初から阿吽の呼吸というわけにはいかない。相手と話し込み、性格や考え方を理解することで、リード、配球に生かしていく。
 大学野球への準備は進むが、春野で野球をやってきた天野にとって、愛知リーグ2部は未知の世界だ。見たことのないような速球や、キレのある変化球が増えることは覚悟している。レベルの高い野球を、見るだけではなく、参加できることは楽しみでもある。

★天野竜からのメッセージ
Alim1643 最後に、現役球児へのメッセージを聞いた。「一日一日っていうのを無駄にしないでやってほしいし、野球を好きでこれからもやってほしいなと思いますね。入った時は2年半長そうだなって思ってたんですけど、あっという間だったなって。もうちょっとやりたかったなって」。インタビューをする目の前では、簡単に数えられる人数しかいない春野の部員たちが練習をしていた。小学生の時から同じチームだった後輩がほとんどなだけに、天野の思いも強い。「2年生の子らが3年生になった時で、春野高校という名前で野球をやるのが最後になるんで、頑張ってほしいですね。もっと一生懸命やって、上手くなって、勝ってほしいなと思いますね」。平成26年に学校再編で校名が変わる母校の勝利を期待する。
 少人数でも必死に頑張る後輩たちに負けじと、天野も日本福祉大に合流する日に向けて、黙々と走り込んでいる。「ここはめっちゃ走るぞ、よく選んだなって先輩の方に言われたので」と笑う。環境も、レベルも大きく違う場所に飛び込む天野は最初から結果を出せるとは思っていない。1年目は歯を食いしばって、もがいてでもついていこうと決めている。 
 その後には、初めて経験するポジション争いも待つ。困難は多いが、将来は社会人、プロでやりたいという夢もある。気持ちだけは負けないことを誓い、深緑の山林に囲まれた春野から青い海の広がる知多半島に向かう。

杉山暢啓監督からの贈る言葉
後輩との練習でも、段違いの打球を飛ばしています。日本福祉大の練習に参加させてもらったときも、バッティングは評価してもらったようです。ただ、守備は「イチから」だと言われているそうです。苦労も多いと思いますが、ケガには気をつけて頑張って欲しいです。

■天野竜[あまの・りゅう]
捕手/春野3年/180cm85kg/右投右打
小学1年で野球を始め、小学6年で本格的に捕手となる。春野中から、両親・兄も通った春野高に進み、1年夏からレギュラー。恵まれた体格を武器に、日本福祉大で大成を目指す。

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 日本福祉大の新2年には阿部智弘(磐田東出身)や家現恵介(浜松市立出身)がいます。阿部はすでにリーグ戦デビューも果たしているので、今年は大きな期待がかかります。
 『天野竜』という名前を初めて見た時、その見栄えのするかっこよさに惹かれました。ということで、由来を聞いたところ、「聞いたことないですね…。名前もそんなふうに言われたことないです」とのこと。「誕生日の方がよく突っ込まれます」と続いた天野の言葉に、書いてもらったアンケートに目を落とすと、平成6年6月6日生まれ。確かに、忘れられなくなりました。
 最終回は国立大学で文武両道を目指す左腕。最後までどうぞお付き合い下さい。(編集部H)

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2013年2月 5日 (火)

静岡を巣立つ高校球児~天野竜編・上

 好評連載中(のはず!)の「静岡を巣立つ高校球児」。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。(第1回中澤彰太編第2回藤山知明編第3回大友伸久編第4回小林弘郁編番外編渡邉隆太郎第5回今本茂雄編第6回増田友輔編第7回夏目旭編
 第8回は、強打の大型捕手として密かな注目を集めた天野竜(春野3年)。卒業後は日本福祉大に進学する天野のインタビューを2回にわたってお届けします。

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静岡を巣立つ高校球児~天野竜編・上

★激ヤセから始まった高校生活
 天野竜は北遠の山間部に位置する春野に生まれた。小学校1年の時に、春野ジュニアアトラスで野球を始め、6年生の時に本格的にキャッチャーとなった。春野中でも同じメンバーと野球をやり、そのほとんどが春野高でもチームメイトになった。
 その頃は体が大きいというよりは、太っていたという天野。しかし、高校に入ると、急激にやせ始めた。「入学した時と、2年の最初の時で17キロぐらい体重落ちて。60キロ台になってました。食べる方も減ってはないんですよね、前より食べてるぐらいで」。高校の練習はしんどさも感じたが、理由として思い当たるほどではなかった。普段から顔を合わせている家族や同級生は気付かないほど緩やかな変化だったが、制服はもちろん買い直すことになった。
「走れるようになったなっていうかんじが一番ありましたね。軽くなったっていうか」。 そんな高校生活の始まりだったが、野球部では入学して6月頃には捕手を守り始め、夏も出場した。人数の少ない春野ではすぐに主力選手となった。

Dsc_6309_2★忘れられない敗戦
 天野が一番印象に残っている試合は、2年夏に静岡市立商を相手に、2対20の5回コールドで敗北した試合だという。「この試合だけは全然手も足も出なくて。今まではもうちょい点は取られなかったんですけど、20点も取られて。全然通用しないんだなと思って」。
 静岡市立商の強さというよりは、100校以上がひしめく、静岡県の中心である静岡市のチームのレベルの高さに打ちのめされた。捕手として、打者の一番近くで見ていた天野は自分たちの野球との違いを痛感した。「すごい悔しかったですね。1回、2回は0点だったんですよ。その時は意外にいけるのかなって気がしたんですけど、3回、4回の2イニングで20点ですよね。何もできなかったですね。なんかしなきゃって気持ちはあったんですけど」。打たれてからリズムが悪くなり、四球や守備の乱れでチームが崩れていく様子に、なすすべもなかった。
 春野は練習試合でも負けることが多く、天野は公式戦で勝利を経験することはできなかった。天竜区の4校の学校で行われる準公式戦で勝ったことがあるぐらいだという。その数少ない勝ち星よりも、この敗戦の悔しさが天野の頭の中に残った。

★トレーニングでパワーアップ
 その悔しさもきっかけとなり、夏が終わってからはそれまでやっていなかったという筋力トレーニングに取り組んだ。もともと、天野に期待をかけていた前任の部長に勧められていたという。校内のトレーニング室には新しい器具こそないが、最低限のものは揃っていた。それからは後輩2人と一緒にトレーニングに打ち込んだ。
「やっぱりバッティングが一番変わりましたね。送球もすごい良くなりました。今までトレーニングよりも細かい動きというか技術の方が野球じゃ大事だなって考えてたんですけど、その技術に対応できるような体も作らないといけないなって感じました」。トレーニングをするうちに、どうしたら筋肉が増えるのかということを考えて食事も取るようになった。今まで食べることが少なかったという野菜も食べ始め、そのうち、高校に入ってから落ちた体重が戻り始めた。
 トレーニングをしてからは、ホームランが打てるようになり、打席で長打を狙えるようにもなった。春野野球部OBでもある兄が大会を見に来て、「当たった時の音が他の人と違う、打球も違う」と驚いたこともあった。

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★怪我によって得たもの
 手ごたえを感じていた天野が手を骨折したのは10月頃だった。土曜の練習試合でファウルチップが当たり、腫れて痛みもあったというが、日曜の練習試合にも出場。月曜に病院に行ったところ、即手術が決まった。部員が少ない春野で、不動の捕手だった天野が抜けることは練習試合でも大変なことだった。骨折がわかった時も、天野は自分の心配よりも、「みんなに迷惑をかけちゃうな」という気持ちが先に立った。
 トレーニングも順調に進み、冬に向けて、体を大きくしていこうと力が入っている時期だった。2カ月間は走ることぐらいしかできなくなり、最初はどうしたらいいんだろうと悩んだという。「でも、この抜けている期間を大事にしなきゃいけないなって。キャプテンとしてみんなに声をかけなきゃいけないな、自分の思ってることを知ってもらわないといけないなって。自分としてもここで体を大きくしないとする時はないだろうなって思いましたね」。バランスを考えながら食事も増やし、学校には弁当の他におにぎりを持ってきて、授業の合間に食べるようにした。元から横に大きかった天野は太りやすい方なのか、そこまで苦労はせずに体重を増やせた。
「ホームランがポンポンって出てた時期だったから、骨折しなければもう少し打ててたのかなとは思うんですけど、今考えてみると、あそこでずっといってても体重は全然増えてないと思うので。そういうふうに考えると、骨折してよかったということはないんですけど、いい経験というか、時間を過ごせたような気がしますね」。体を動かせるようになってからは増やした体重をキープすることを心がけ、3年の夏前には80キロとなった。入学当時の体とは違い、筋肉のついた重みとなった。

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 続編は近日中にアップします!(編集部H)

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2013年2月 4日 (月)

練習試合 伊豆市リトルシニアvs静岡ジュニアユースベースボールクラブ

★2月3日 練習試合 天城ふるさと広場球場 晴

 チーム
伊豆市 0 0 0 1 5 4 0 10
静岡 1 0 0 0 0 0 0 1

 昨日、天城ふるさと広場球場で、静岡ジュニアユースベースボールクラブと伊豆市リトルシニアの練習試合が行われました。先月、お伝えした通り(「静岡ジュニアユースベースボールクラブ」で逸材発見!)、静岡ジュニアユースベースボールクラブは昨年発足したばかりの硬式野球チームでヤングリーグに所属。現在のメンバーは1年生だけですが、積極的に練習試合を行い、力を養っています。この日も伊豆市リトルシニアとメンバーを変えながら、何と3試合も対戦しました。(スコアボード、スタメンは1試合目)

Inadumi

 試合前に、静岡ジュニアユースベースボールクラブのノックを見ていると、僕の目はショートの選手に釘づけになりました。左右の動きにキレがあり、打球をうまくさばいて、なかなか強い送球を放ります。何より、何十人もいるグラウンドで、ぱっと目を引く華を持っていました。その選手こそ稲角塁。常葉学園橘でショートとして活躍し、現在は専修大でプレーする稲角航平の弟です。
 1試合目で、1番ショートとして出場した稲角は、注目の第1打席からカーブをしっかりとらえて、鋭くセンター前へ運びます。そして、次打者がライト方向へ安打を放つと、処理が遅れる様子を見て一気に本塁へ。3打席目もセカンドライナーに終わったものの、タイミングは合っていました。驚いたのは2試合目。代打で出てきた7回に、変化球をとらえてセンターオーバーの二塁打。体はまだ大きくありませんが、しっかりと長打を打てるパワーを見せてくれました。すかさず三盗を決めるセンスもやはり魅力です。
 守備にはまだ粗さが残り、打席ではストレートに対応できていない様子もありましたが、そこは体もまだまだ成長中の中学1年生。むしろのびしろと考えたいところです。打席での雰囲気や、ライナー性の鋭い打球、勢いのあるプレースタイルは兄によく似ていると思いましたが、存在感や華やかさは兄以上にも感じました。今後どんな成長を見せるのか、見守っていきたい選手をまた一人見つけました。

1

2

3

 対戦相手だった伊豆市リトルシニアではやはり、1試合目に出場した2年生の水口弥が目立っていました。(伊豆に怪物中学生現る!
 結果は、四球、ランニング本塁打、四球、犠飛。打席での雰囲気が尋常ではなく、投手もストライクを投げづらい中、軽々と右中間の一番深いところに運び、俊足であっという間に本塁に戻ってきたかと思うと、捕手のタッチをかいくぐってセーフにした2打席目は圧巻でした。水口を初めて見た編集部Hも夢中で、「チャンスで回してくれと思える選手ですね。中学生とは思えない太もものせいか、体勢を崩しても振り切ってすごいスイングをする。守備では、笑ってしまうほどの肩の強さが魅力。174センチとまだ成長中のようですが、体の大きさ以上にスケールを感じました」と、ずっと目で追っていました。
 2試合目の1年生同士での試合で先発した大川琢海など、伊豆市リトルシニアの1年生にも面白そうな選手がゴロゴロ。高校生をちょっと見ないでいるとその成長に驚かされたりしますが、中学生の下級生となると、そこに急激な体の成長も加わってくるので、どんな選手が出てくるか、読めないところがあります。そのあたりも含めた、中学野球の魅力を堪能できた一日でした。(編集部・栗山)

<写真上/攻守にキレのある動きを見せた稲角塁(静岡ジュニアユースベースボールクラブ)>
<写真下/ド迫力かつ野性的な回避能力でランニング本塁打を決めた水口弥(伊豆市リトルシニア)>

■伊豆市リトルシニア

■静岡ジュニアユースベースボールクラブ

1番 投手 渡邉
2番 捕手 中井
3番 左翼 江本
4番 三塁 水口
5番 一塁 山田
6番 中堅 川田
7番 二塁 池田
8番 遊撃 井出
9番 右翼 塩谷文
1番 遊撃 稲角
2番 三塁 石村
3番 投手 深澤
4番 捕手 矢野
5番 左翼 村岡
6番 中堅 鈴木聖
7番 一塁 鈴木魁
8番 二塁 堀池
9番 右翼 丸田
投手:渡邉-石川 投手:深澤-野村-藤原

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