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2013年11月

2013年11月26日 (火)

シーズン最後は後藤黛(横須賀)に注目!

 ついに、今年の高校野球シーズンが終わりを迎えます。僕が2013年最後に選んだゲームは、横須賀対浜松南。西部地区屈指の右腕・後藤黛(横須賀)と長身左腕・中川雄太(浜松南)の投げ合いを楽しみにしました。

 残念ながら、中川は左肩痛の影響で大事をとって欠場しましたが、その分、後藤の素晴らしい投球を堪能できました。
 一週間前の三島との練習試合では7回を投げて12三振(被安打2、失点1)を奪ったという後藤。絶好調で迎えたシーズン最後の試合。この日も立ち上がりからエンジン全開でした。

1311231  まず、後藤の良さは立ち上がり。スタートから気持ちが前面に出て、いきなりMAXの力を出し切る能力に長けています。実際の身長174センチ以上にマウンドに立っていると大きく見え、全身にバネを感じる躍動感溢れるフォーム。低めの内外角にビシバシ決まってきます。そこにクッと滑るスライダーが挟まり、もう打者は対応に苦しみます。球速数字も初回に138キロをマーク。捕手の手前でホップするような回転の良さ。ボール自体だけ見れば、中日ドラフト1位の鈴木翔太(聖隷クリストファー)と比べてもそん色ないなと感じたほどした。

 ただ、味方が2点を取って、少しエンジンを緩めたのか、5回に振り逃げやエラーも重なり、2点を失います。ところが、ここからギアチェンジ。6回~8回は相手打者を完ぺきに封じ、3者凡退。そして、終盤でも球速が落ちず、コンスタントに130キロ中盤から後半をマークします。9回に137キロをたたき出すと、死球を与えてピンチの場面で、今度は右打者の内角にフォークを落として空振り三振に。練習試合とはいえ、3対2という緊迫した場面をものにできたことは大きいでしょう。

 試合後、本人は「今日は右足に力が入らなかったこともあり、90パーセントくらいの出来です。このオフは体重を5キロアップ(現在66キロ)し、来夏には145キロをマークしたいです」と抱負を語ってくれました。

 この寒い時期の130キロ台後半は十分に価値ある数字。まず、このオフ、とにかく順調に故障なく過ごし、来春はもうひと暴れして欲しいです。願わくば、今度こそ万全の中川との勝負も見たいですね。(編集部・栗山)

<写真/足腰も逞しくなった後藤黛(横須賀)>

 

 

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2013年11月23日 (土)

三菱重工横浜・野村亮介の取材に行きました!

 先日、静清出身の野村亮介を取材しに、三菱重工横浜の金沢グランドにお邪魔してきました。いよいよ来年、高卒3年目となり、ドラフト解禁年を迎える野村。ただ、今年は故障もあり、本人も、大きな期待を寄せていた周囲にとっても満足いくものではなかったようです。ようやく最近調子が戻ってきたところだと松下安男監督に色々と話を聞いた後、ブルペンを覗かせてもらいました。

Nomura が…「え、これで不調!?」。写真撮影に来たはずが、カメラを構えるのも忘れて見入ってしまう始末でした。187センチの長身から球威あるストレートを低めに投げ込んだかと思えば、地面に突き刺さるようなキレのいいフォーク。高校時代に何度となく見た野村の投球ですが、迫力も球威もキレも記憶の中の野村を断然上回っています。いやいや、野球シーズンラストに非常にいいものを見せてもらいました。
 何やら、この日は調子がよかったようで、受けた先輩捕手も監督に「今日はかなりよかった」と報告。野村本人も「納得とまではいかなくても、いい方だった」とのことで、そんな日に捕手真後ろの特等席から見ることができたのは幸運でした!

 その後、野村本人に社会人に入ってからの話を雑談も交えつつ聞きました。給料をもらうようになったことで、買い物に行っても「ここで使ったらどうなるんだろう、給料日まであと何日だ?」と色々考えるようになったそう。金銭の管理などそれまでには縁のなかったことを学んでいくうちに、「今考えると、普通に親にお金をもらってたってことがすごいなって」と、家族への感謝の気持ちもより強くなったようです。
 会社ではパソコンを使った業務をこなしているそうですが、周囲はほとんど大卒社員。そんな環境で仕事をしていることもあるのか、高校時代の朴訥な印象がずいぶん変わりました。失礼ながら、「しっかりしたね、大人になったね」と年寄りくさいことを本人に言ってしまうほど。チーム内でも一番年下で、真面目に練習や雑務をこなす性格もあり、先輩方にも可愛がられているようです。

 ちなみに、今春には早稲田大とのオープン戦で、中澤彰太(静岡高出)と対戦。高校時代に対戦したことはなかったそうですが、「年下だし、打たれるのはちょっと嫌だな」と、かなり意識したそう。高校時代の女房役・加藤翔も見守る中、気合が入った投球を見せつけたようです。

 この他、色々と話を聞いてきました。何の取材かということは来月まで内緒にさせて下さい。ただ、野村は来年、ケガさえなければ飛躍する! と実感できた取材でした。(編集部H)

<写真/明らかに高校時代より下半身もしっかりしたのが見て取れるのに、「体重は高校時代より減りました…なぜか」という野村亮介(三菱重工横浜)>

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2013年11月10日 (日)

練習試合 磐田東vs横浜高

★11月10日 練習試合 磐田東グランド 

チーム
横浜高 1 1 4 0 6
磐田東 0 1 0 0 1

<4回雨天のためノーゲーム>

 今日は、磐田東のグランドに名門・横浜高がやってきました。何といっても注目は、磐田東・齋藤誠哉VS横浜高打線。今年の横浜高は関東大会こそベスト8で敗退も浅間大基高濱祐仁を擁する打線は全国最強クラス。プロ数球団のスカウトが見守る中、齋藤にとっては絶好の腕試しの場となりました。

 初回から、いきなり横浜高打線が凄さを見せつけます。一死一塁から3番の浅間がセンターバックスクリーン直撃の三塁打。齋藤のストレートを一発で仕留める豪快な一打でした。
 続く4番の高濱は第1打席こそ齋藤のストレートにつまってショートフライに終わるも、圧巻は3回の第2打席。打った瞬間にホームランと分かる打球を放つと、レフト後方にある駐車場も超える、度肝を抜かれる一発。僕も、これまでいろいろな高校生を見てきましたが、ここまで凄い打球は初めてかもしれません。

11101 結局、齋藤は3回でマウンドを降り、被安打8で6失点。ただ、決してボール自体は悪くなかったと思います。4三振を奪い、齋藤独特の内外角低めに決まるストレートには、さすがの横浜高打線も手がでませんでした。プロのスカウトも「ここまで肩・ヒジの柔らかさを持った高校生はなかなかいない」と評価するほどでした。
 実は足首の故障の影響で、ここ2週間ほど走り込みや投げ込みが思うようにできなかったという齋藤。そのせいか、もう一つ、ボールを前で離すことができていなかったように見えました。いいときには、柔らかい下半身が粘って前にグッとくるので、球速以上の伸びがあります。
 今回の貴重な経験を、このオフに本人がどう生かしてくれるのか。
  右ヒジの故障から復帰間近のMAX143キロ右腕・鈴木博志と、いいライバル関係を築き、ぜひプロを狙って欲しいと思います。

 ちなみに、この日、磐田東の打線では、7番・佐藤隆太郎がセンターへの本塁打、9番・古瀬遼が2安打と活躍を見せてくれました。(編集部・栗山)

<写真/強い雨の中、横浜高打線相手に投げ込む齋藤誠哉(磐田東)>

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2013年11月 8日 (金)

新人戦で早稲田大の静岡出身選手をチェック!

 11月4日から3日間、神宮球場で東京六大学の新人戦が行われました。4日の早稲田大vs慶應義塾大のスタメンをチェックすると、1番ライトに中澤彰太(1年・静岡高出)、9番セカンドに川原孝太(2年・掛川西出)と静岡出身選手を2人発見。投手では伊東市出身の内田聖人(2年・早稲田実出)もいます。

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Kawahara2
Kawahara1
Photo

 ということで、5日に早稲田大vs明治大の試合を見てきました。この日も1番ライト・中澤、9番セカンド・川原がスタメン出場。スコアボードに並んだ名前を見るだけで何だか嬉しくなりました。

 試合は0-0で迎えた9回に、マウンドにいた内田が自らのミスなどからピンチを招き、明治大がサヨナラ勝利を決めました。残念ながら敗退した早稲田大ですが、川原が守備でいいところを見せてくれました。左右前後に軽快に動き、一・二塁間が狭い! 捕球して体勢を整えてから素早く正確に送球。掛川西時代は好守好打のショートとして鳴らしましたが、早稲田大では職人肌系選手になってくれそうです。打撃では9回に内野安打で出塁。走塁にもスピード感がありました。
 中澤は残念ながら無安打に終わりましたが、試合後に少し話をしてきました。昨冬の「静岡を巣立つ高校球児」の取材以来だったので、久々でしたが、何やら雰囲気が変わったような…。

――お久しぶりです。ずいぶんスリムになったように見えるんですけど。
「練習がきつくて痩せました。食べる量は減ってないんですけど」
――大学には慣れましたか?
「やっと慣れてきました。早稲田に入ってよかったのは、周りにすごい人たちがいて、その人たちとプレーできること。それが一番ですね」
――10月12日の立教戦では初ホームランも打ちましたね。
「ホームランを打ったのは今秋初スタメンの試合でした。春に初めてスタメンだった日には高梨さん(雄平・3年)が完全試合を達成。持ってるとか言われました(笑)」
――それ以降、1番センターに定着して、コンスタントに打っていますね。今日(11月5日)は無安打でしたけど。
「リーグ戦から4連戦で疲れてました…。来春以降は完全にレギュラーに定着したいですね」
――8月に草薙球場で行われた東京六大学のオールスター戦では2打数2安打の活躍でした。
「六大学のスーパースターの中で、自分だけ1年生だったので、めちゃくちゃ緊張しました。静岡だったので、恥ずかしいところを見せられないっていう気持ちもあって。打ててよかったです」
――LINEなどで交流のある鈴木翔太(聖隷クリストファー)が中日に指名されましたね。
「ドラフト1位はすごいですよね。自分も何だか嬉しいです。頑張って、出てきてほしいですね」

 今秋ベストナインを獲得した立教大の佐藤拓也(1年・浦和学院出)とどっちがいい成績を取れるか競い合っているという中澤。ぜひ当初の目標の三冠王を達成して、3年後にはプロに入ってほしいですね。やっぱり、静岡の野球ファンとしては、プロで鈴木翔太との再戦が見たい!
 ちなみに、新人戦後は数日のオフだそうですが、「授業があるので、帰省はしません」とのこと。学業も頑張っているようです。早慶戦の感想については聞き忘れました…。

 今秋は見に行けなかったのですが、東都大学リーグ1部校でも県出身選手が活躍していて、中央大では羽山弘起(3年・静岡商出)、小川拓真(2年・静岡高出)がレギュラーとして出場し、山田直(1年・静岡高出)も出場経験を重ねています。國學院大では平川真大(1年・静岡高出)も今秋リーグ戦初出場。レギュラーを目指し、頑張っています。
 東都はつい2部ばかり行ってしまうのですが、来年は神宮で活躍する彼らの姿もこのブログなどでお伝えしていきたいと思います。久しぶりにブログ記事を書いたので緊張しました。(編集部H)

<写真/上から内田聖人、川原孝太打撃、川原孝太守備、中澤彰太(全員早稲田大)>

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2013年11月 6日 (水)

磐田農出身・原木大介(平成国際大)に直撃!

 この春から秋にかけ、関甲新大学野球リーグに所属する平成国際大で1年から登板している磐田農出身の投手が気になっていました。名前は原木大介(177cm78kg、右投右打)。正直、高校時代には全くノーマークの選手でした。
 先日、リーグ戦が終わり、一時、出身地の磐田市に帰省しているとの情報があり、本人に直接会ってきました。

 
*           *           *

 中学時代までは外野手だったという原木。高校入学後、地肩の強さを買われ、投手に転向しました。当時のことを磐田農・榑松俊輝監督はこう振り返ります。
「外野からの返球やキャッチボールを見て、これはピッチャーだと。肩肘が柔らかく、リリースの最後まで指にかかる。リリースの際、指を弾いた音がパチンと聞こえるほどでしたから。こんな選手、なかなかいません。私の城西大学時代の後輩5人のピッチャーがプロにいっているのですが、その選手たちと比べてそん色ないくらいでした」
 榑松監督の下、投手としてのノウハウをじっくりと学び、3年時にはエースへと成長。しかし、夏の大会は悔しい思いも。初戦で静岡市商と対戦し、8回まで5対2とリードしていたものの、9回に5点を失い、無念の逆転負けを喫したのです。
「高校時代は変化球がなく、ストレート一本で押していたピッチャーでしたので」
 まだ、一投手として経験が浅かったが、絶対に上で勝負できる選手だと感じていた榑松監督は、彼をじっくり伸ばしてくれる大学を探しました。そして、最終的に投手育成に定評のある平成国際大を勧めたのです。

 プロ野球選手を4人輩出している強豪大学への入学。最初は戸惑いの連続だったと言います。
「練習の質、行動、プレー、全部レベルが違いました。最初はついていくのが大変でした」
 そんな中でも紅白戦やオープン戦での好投が評価され、1年時からリーグ戦のマウンドに立ちました。春のリーグ戦では、3試合にリリーフで登板し、作新学院戦で勝ち星を挙げます。さらに秋のリーグ戦でも2試合に登板。6月の大学選手権で優勝を果たした上武大戦とも対戦します。
「上武大戦はほとんどの打者に打たれました。特に、三木亮さん(千葉ロッテ・ドラフト3位)は凄かったです。打席に立ったときの雰囲気があって、浮いた球を軽くもっていかれました」
 厳しい現実だったとしても、高校時代は無名の投手が1年時から大学最高レベルのチームに対峙したことは、大きな財産になったはずです。 

0311041 この日、僕は幸運にもブルペンで実際の投球を見ることができました。その素材の良さにビックリ。ここまでの投手を何で高校時代に知らなかったのか? もっと早く見ておきたかった。めちゃくちゃ、後悔しました。
 「こんなに肩・ヒジの柔らかいピッチャーがいるのか」というほどに、テークバックで腕がきれいに巻きつき、そこから体重移動し、ボールを打者寄りで離すことができます。そして、重量感たっぷりのボール。変化球も、ドロップ気味のカーブとスライダーに加え、決め球に使うフォークがキレます。
 イメージ的にはフォームはフェリペ・ナテル(ヤマハ)、投げるボールは則本昂大(楽天)といったところでしょうか。投手経験も浅いだけに、今後、まだまだ伸びていくことが期待されるタイプ。現在、最速140キロのストレートも、鍛え方次第では150キロ近くは出ると可能があるでしょう。
 そんな原木に対し、高校時代の恩師・榑松監督はあえて課題を挙げてくれました。
「確かに、いいものを持っているだけに、あとは投手としての経験を積んでいくだけの選手だと思います。ただ、大学にいってからスピードを求め、上体で投げるようになっているのだけは気をつけてほしい。下半身を使い、体の開きを我慢して投げてくれれば、上も目指せると思っています」
 最後に本人から今後の抱負を聞きました。
「あと5キロ球速を伸ばして、もっと登板したい。やっぱり神宮で投げてみたいです」
 1球1球のボールのバラツキがなくなってくれば、もっともっと登板機会が増えてくるはず。ぜひ、来年は全国の舞台で名前を売って欲しいと思います。(編集部・栗山) 

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