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2013年12月25日 (水)

静岡を巣立つ球児たち2013~藤本大輝編・上

 昨年の人気連載(自称)が今年も帰ってきました! 微妙に改題して、「静岡を巣立つ球児たち」となりましたが、内容は変わりません。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
 今回登場してもらうのは浜名の本格派右腕・藤本大輝。卒業後は亜細亜大に進学する藤本のインタビューを2回にわたってお届けします。

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静岡を巣立つ球児たち2013~藤本大輝編・上

★主に遊撃手だった少年時代
 藤本大輝には幼稚園の頃からキャッチボールをしていた記憶がある。それもそのはず、藤本の父・豊樹さんはヤマハで内野手としてプレーした選手で、長男として生まれた藤本には小さな頃からボールを握らせていたという。しかし、藤本の自宅の近所には少年野球チームがなく、最初はソフトボールのチームに入団。豊樹さんはほぼ毎試合藤本の試合に足を運び、家に帰れば庭でティーバッティングに付き合ったり、色々指導してくれた。
Fujmoto2 小学6年の時に、近所に少年野球チームができ、藤本は1年間野球を経験してから新津中に入学した。その頃のポジションは主に遊撃手。「少年野球でもショートをやって、2試合目に投げるというかんじでした。中学でも1試合目にショートやって、2試合目にピッチャーというのが何回かあって、本格的にピッチャーをやったっていうのは、自分たちの代になってから。中2の秋からかと思います」。中3で浜松市選抜のエースを張った好投手にしては、ずいぶん遅いスタートだった。ただ、「自分たちの上の代に根木さん(琢也・浜松南→大阪体育大)がいて、ずっとエースだったので」と藤本が言うように、当時の新津中はタレントが揃っていた。浜松南でも好投手として鳴らした根木はもちろん、藤本の下の代には、服部航平(浜松西2年)、中川雄太(浜松南2年)ら、高校で2年生からエースを務めるほどの選手たちがいた。

★縁がつないだ浜名進学
 藤本の高校選びはあっさり決まったという。「浜名の西川公紹コーチもヤマハの方で、父が親しくさせてもらってたり、よく喋ったりもさせてもらっていて、そういう信頼関係があったのと、浜松市選抜のメンバーがみんな浜名に行くっていうのも聞いて、それなら僕もっていうのがありました」。浜松市内には元ヤマハ選手が外部コーチとして指導している高校が多い。その中でも、西川コーチと豊樹さんは同郷で同じ高校出身ということもあり、特に親しくしていたそう。
 浜松市選抜のエースとして周囲に期待されて入学した藤本だったが、最初は環境に馴染むことに苦労した。全体練習の後に自主練習があり、1年生たちは当然最後まで残ることになる。学校のすぐ横を走る遠州鉄道の終電に乗ることもしばしばあったという。礼儀正しい藤本にとって、投球練習で3年生捕手に受けてもらうことにも緊張した。「その時、気を遣って投げていたおかげで、制球は良くなりましたね」と今は笑って振り返るが、当時は必死だった。
 それでも、1年夏にはベンチ入りを果たし、1年秋には1番を背負って、秋季西部大会・小笠戦で完封デビュー。180センチを超える本格派右腕として藤本の知名度も少しずつ上がっていった。

★悔しかった常葉菊川戦、納得できた北照戦
 そんな中で注目を集めたのは2年秋の西部大会・常葉菊川戦だった。常葉菊川にとって、負ければ県大会出場がなくなる5位決定戦。浜名も後がないのはもちろんだったが、1年前にも西部大会で常葉菊川に2-1で負けていた藤本はそのリベンジをしたいという気持ちが強かった。
Fujimoto 先発した藤本はダイナミックなフォームから力のあるストレートを投げ込み、好投を見せた。試合は3ー3のまま延長に突入し、浜名は何度となくサヨナラのチャンスを迎えながら、延長15回引き分けで終了。翌日行われた再試合では藤本が打ち込まれ、浜名は敗退した。「1試合目は動けてたんですけど、やっぱり15回200球近く投げて、次の日は足も肩もパンパンで、ピッチングするのがすごい辛かったです。今でも監督さんがミーティングであの試合のことを例にして言うぐらい、チーム全体で悔しい思いをしました」。
 その悔しさを糧にトレーニングに励んだ冬は充実していた。そして迎えた3月、藤本が楽しみにしていた練習試合があった。相手はセンバツ出場を控えていた北照。吉田雄人(オリックス5位)、小畑尋規、土門愛大らプロからも注目されていた好打者たちを抑えることを目標に、調整に取り組んでいたという。強豪に挑んだ結果は9回2失点。打たれた安打は5、6本で長打はなかった。チームも3-2で勝利を収め、「あの時は自分でも納得するピッチングで勝てました」と藤本自身満足できたベストピッチだった。
 この2試合が藤本が高校時代に最も印象に残った試合だという。万全の状態で3年春、夏を投げきれれば、もしかしたら、さらに印象に残る試合もあったのかもしれない。しかし、3年生になった藤本を待っていたのはケガとの戦いだった。

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「静岡を巣立つ球児たち2013~藤本大輝編・下」は近日公開予定です。(編集部H) 

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