静岡を巣立つ球児たち2013~小豆澤誠編・上
昨年の人気連載(自称)が帰ってきました! 微妙に改題して、「静岡を巣立つ球児たち」となりましたが、内容は変わりません。編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
今回はファンが多い、飛龍の二塁手・小豆澤誠に会ってきました。卒業後は上武大に進学する小豆澤のインタビューを2回にわたってお届けします。
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静岡を巣立つ球児たち2013~小豆澤誠編・上
★寮生活に憧れ、大阪から静岡へ
大阪府に生まれた小豆澤誠は小学4年の時にソフトボールを始めた。姉が子供会でバレーボールをやっていたため、母に「何かやりなさい」と勧められて選んだのがソフトボールだった。当時のポジションは遊撃手。そして、中学に入り、母の知り合いに「高校でも野球をやるならおいで」と誘われて、入団したのが福島シニアだった。当初は遊撃を守ったが、すぐに二塁に移った。「ソフトボール上がりで長い距離が投げられなかったんです。ソフトは鷲掴みなので、硬式じゃふんわりしか投げられなくて」。同級生でソフトボール上がりは小豆澤を含め2人だけ。苦労はあったが、チームにはすぐに馴染んだ。
高校進学に関して、特に憧れの高校などはなく、「とりあえず大阪を出たかった」という小豆澤。甲子園に出たいという気持ちも当然あったが、寮生活への憧れもあった。飛龍から声がかかった時、静岡の高校は甲子園に出ていた静清、常葉菊川、常葉橘ぐらいしか知らなかったという。当然、飛龍の校名も聞いたことがなかったが、小豆澤はためらわずに入学を決めた。その年、福島シニアから4人が飛龍に入学することになっていたのも心強かった。
★バント練習の日々
高校に入学すると、最初は3年生の体つきに驚いた。当時の3年生には名手・辻本一磨(現東北福祉大)やスラッガー・奥村拓史(現中部学院大)など県内でも名の知れた選手がいた。部員も多く、関西弁、静岡弁、神奈川弁が飛び交う。最初は、「レギュラーを取れるイメージはあまりなかったです」と少し気弱になったが、それでも小豆澤の一番の売りの元気を前面に押し出して、練習に励んでいた。
今は168センチ65キロで、「自分、服着たら細いんですけど、脱いだらけっこうあるんですよ」と茶目っ気たっぷりに言う小豆澤だが、入学時は55キロ。ベンチ入りしてからも濱野洋監督に「お前のスイングは中学生」と評され、打撃練習の際にはひたすらバント練習を課された。福島シニア時代には長打も打っていた小豆澤は途中、濱野監督に「打ちたい」と訴え、何でこんなにバント練習をしなければいけないのかを尋ねたという。「バント練習をすればポイントがつかめる」と教えられたが、それが本当なのかもわからずに、愚痴を言いながらもバント練習を続けた。
冬にはウエートに打ち込み、打ってもいいとGOサインが出たのは2年の夏前。いざ打ち始めると、今までとは感覚が変わっていた。「逆方向も引っ張りもできるようになったし、バントもやっぱり上手くなりました」。打撃のレベルアップはもちろん、不調時はバントで安打を狙うという選択肢も増え、攻撃のバリエーションが広がった。そして、ついに表舞台に登場することになる。
★「和諸壱」で一つに
2年秋には1番セカンドに定着、感覚を掴んだ打撃で打ちまくった。塁に出れば、得意の走塁でチャンスを拡大。守備でも大本聖也との二遊間は県内屈指のレベルを誇った。小柄なのにとにかくエネルギッシュで存在感抜群。「嫌な打者」として県内のバッテリーたちにもその存在を周知させた。
切り込み隊長・小豆澤の活躍もあり、飛龍はその秋、県大会3位で18年ぶりに東海大会進出。東海大会では初戦突破を果たした。続く菰野戦では敗退するも、スタンドの部員たちや父兄とベンチのメンバーが一緒になって「ワッショイ!」と言い合って士気を高める光景は印象に残った。その後、春の大会や夏にもよく目にした「ワッショイ」。父兄の着ているTシャツの背中にも「和諸壱(わっしょい)」とプリントされていた。「毎年、チームのスローガンがあるんですよ。自分らの代が『和諸壱』。漢字も自分たちで考えて。A班B班関係なく、みんなで一緒に背負うって」。県内でも部員数で1,2を争う大所帯の飛龍だからこそ大切にしている思いが「和緒壱」には込められていた。
★台湾遠征で大活躍!
小豆澤の名前が県内で知られるようになったのは秋の大会の活躍もあるが、その冬の台湾遠征代表としての活躍にもあった。代表チームのコーチを務めた韮山の小雀浩一郎監督や、浜北西の高林良洋監督が口を揃えて「小豆澤はすごかった」と証言する。実際に練習を見に行った時にも、目を引くプレーは全部小豆澤というぐらいの目立ち方だった。「でも練習会の時に、飛龍は守備練習なしでティーで1000本打つっていう期間だったんですよ。だからノックでエラーしまくって、これヤバイって思ったんです」と笑うが、結成されて間もないチームで、エラーを恐れずにあれだけ思い切ったプレーができるのは小豆澤の魅力の一つだろう。
県大会出場チームから選ばれた代表メンバーたちとは仲良くなって今も交流があるという。「あの時の高橋遥人(常葉橘)はめっちゃよかったです。めちゃくちゃ速かった。あれは打てない、勝てないと思いました。柴崎(哲治・三島)のフォークもすごかった。鈴木大地(磐田東)はめっちゃ飛ばしますね。岩間(勇平・御殿場西)も飛ばすし、足速いし」。そんな中で少し残念だったのは常葉菊川勢が修学旅行のため代表に入らなかったこと。「遠藤康平と二遊間組んでみたかったです。でも自分が驚いたのは大西優輝。遠藤もさすがだなって思ったんですけど、大西は本当にめちゃめちゃ守備上手い。あのデカさであのスナップスローとかすごいっすよ!」。チームメートの澤田祥太と共に近畿大に進学する大西の存在はインパクトが強かった。
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「静岡を巣立つ球児たち2013~小豆澤誠編・下」はこちらをご覧ください。→http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2014/01/2013-775e.html
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