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2014年12月29日 (月)

静岡を巣立つ球児たち2014~後藤黛編・下

 オフシーズン企画「静岡を巣立つ球児たち」。今年も編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
 前回に引き続き、後藤黛(横須賀3年)編です。 「静岡を巣立つ球児たち2014~後藤黛編・上」はコチラ

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★悔いが残る最後の夏
 順調な成長曲線を描いていた後藤に異変が起きたのは3年春の県大会の後だった。球速が落ちてきて、出ても135キロ程度に。5月には肩に痛みを感じ始め、さらに球速は落ちてしまった。「夏投げられるのかな」と不安を感じながらの日々を過ごしたという。
 そして痛み止めを打って挑んだ夏。初戦は投球中に腰の痛みも感じたものの、チームの力で勝利を収めた。しかし、2回戦の常葉菊川戦ではコールドで敗退。フォームも、球のキレも後藤黛のものではなかった。
「痛みの原因はわからなかったんですけど、スピードを意識しすぎたところもあったと思います。その時はいいと思ったフォームだったんですけど、引退してから動画見たらくっしゃくしゃで。全然だめでしたね」
 最後の夏は力を出し切れないまま、後藤の高校野球は幕を閉じた。

★進路は愛知学院大
Img_2307 2年夏の快進撃でプロのスカウトも球場に訪れるようになり、そこからプロを意識するようになっていた後藤。
「そのままプロに行けたらいいなとは思ってたんですけど、さすがにそのレベルにはいってなかったので。大学へって考えてましたね」
 大学を意識し始めた頃、袋井市(浅羽)の出身で浜松工出の浦野博司(現日本ハム)が愛知学院大を出たことを知った。なんとなく「愛知学院大に行きたい」と言っているうちに、練習試合を見てもらう機会があり練習にも参加。強さ、そして全体練習を長めにやっているところなどに惹かれて愛知学院大に進むことを決めた。
 関東の大学に対する憧れもあったという。ただ、2年秋に神宮大会で目撃した明治大に衝撃を受けた。
「レベルが違うなって。部員数も多くて、埋もれちゃう選手もいるので。愛知に行けば、投げられますし、トップの方は神宮も近いので」
 愛知大学リーグはプロや社会人に進む選手も多く、愛知学院大は全国大会でも結果を残している。「すごい選手に守ってもらって投げるのってなんか幸せじゃないですか」と、今からそのマウンドに立つことを楽しみにしている。

★155キロを目指す
 肩の痛みも癒えつつあり、大学ではまず体をしっかり作り、2年生から本格的に投げるという青写真を描いている。一番自信があるというストレートとフォークに磨きをかけ、1年ごとに新しい武器を身に付けていくことが理想だという。
「やっぱり150キロ以上は投げたいですね。目指すは155。スピードなんか言ったらキリがないんですけど、一度田中正義さん(創価大)のピッチングを動画サイトで見て。153、154バンバン投げて、こんなピッチャーになれたらいいなって思いましたね」
 自分と同じように、上背はそれほどないものの、スピードがあり前面に気迫を出していく則本昂大(楽天)にも憧れを抱く。

★後藤黛からのメッセージ
Dscn5182_2 「最後、あんな形で終わっちゃったんで言えることないですけど…」と苦笑しながら、現役球児へ伝えたいことを教えてくれた。
「正直、もっとやっておけばよかったなと。トレーニングにしても、投げ込みにしても。手を抜きたくなるのはわかるんですけど、そこをどれだけ頑張るかで夏の結果が変わってくると思うので、悔いが残らないように頑張ってほしいですね」
 思い残すこともあるものの、横須賀で出会った人々、過ごした日々は後藤を一回りも二回りも育ててくれた。
「横須賀に来てよかったっていうのは本当に思います。監督さんも『これからお前の目標が後輩の目標になるから頑張れ』って言ってくれたり」
 1年夏からマウンドに立った後藤をグランドで引っ張っていってくれたのは先輩たちだ。中でも富山の存在は大きかった。
「初めてあんなにいいキャッチャーに会いました。肩もいいし、自分を引っ張っていってくれた。相談に乗ってくれて、自分も色々言いやすくて。富山さんとバッテリーを組めたから、自分もここまで成長できました」
 家族の協力もあった。父・博道さんは後藤が小学生の時から大量に野球の技術書を買い込み、職場の片隅で自分で試しては、いいと思ったものを自宅で後藤に教えていたという。その姿は「自分より練習してたんじゃないですかね」と後藤が笑うほどだった。
「毎試合ビデオに撮って、家に帰ると見させられたり。喧嘩したことも一回や二回じゃないです。今思うとためになることもあって、よかったなって思いますけど」
 多くの人に応援され、横須賀の記録をいくつも塗り替えた後藤。「プロに入るだけじゃなく、プロで活躍する」という夢を抱き、4年後には横須賀初のプロ野球選手を目指す。

鈴木彰洋監督からの贈る言葉
 なんといってもうちの学校を引き上げてくれた立役者です。1年夏に注目されて、その注目の中で成長できたのはよかったし、注目されていたからこそ「俺がチームを勝たせるんだ」と後藤も伸びたのかもしれません。大学では揉まれながら心身共に成長してほしいですね。卒業後はプロになってくれたら嬉しいです。

■後藤黛[ごとう・だい]
投手/横須賀3年/176cm70kg/右投左打
小学4年時に野球を始め、福田中時代では磐周選抜に選ばれる。高校入学後、1年夏から登板し、2年夏はチームを初のベスト8進出に導く。3年夏は2回戦敗退。最速142キロのストレートとキレ味抜群のフォークを武器に大学での活躍が期待される。

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 後藤黛を初めて見たのは、2年夏の藤枝明誠戦でした。噂の投手でしたが、立ち上がりからキレのいいストレート、変化球を際どいコースにビシビシ投げ込む姿に、すごい投手がいた!と驚いたことを昨日のことのように覚えています。その感動を本人に伝えたところ、「あの試合はたまたまですね」なんて言いながらニコニコ。マウンドでの自信に満ちた気迫溢れる姿と、普段の人懐っこい姿のギャップも魅力でした!
 次回は年明けになってしまいそうです。焼津水産・河守光王編、お楽しみに!(編集部H)

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