静岡を巣立つ球児たち2014~青島秀一郎編・下
オフシーズン企画「静岡を巣立つ球児たち」。今年も編集部Hが、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
前回に引き続き、青島秀一郎(島田商3年)編です。 「静岡を巣立つ球児たち2014~青島秀一郎編・上」はコチラ!
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★絶対的エースゆえの悔い
3年春は県大会に出場し、最後の夏に臨んだ。ノーシードながら静岡北、静岡農を破ると、シード校の桐陽に9-2でコールド勝ち。沼津商にも4-2で快勝した。そして、青島が「高校時代、一番印象に残っている」という準々決勝・掛川西戦を迎える。
3回に島田商が1点を先制。7回まで先発・青島が掛川西打線を封じ込め、1点のリードを守り続けた。しかし、8回に同点に追いつかれると、延長に突入した11回に2点の勝ち越しを許し、勝敗は決した。
「7回ぐらいから球が全然伸びないし、コントロールも全然つきませんでした。その時に、もうちょっと早くピッチャー交代を頭に入れてやれたなら、全員で野球することができたなら、勝ちという結果もあったかもしれなかったです。でも、自分がマウンド守りたいっていうのもあったし、みんな頼ってくれていたので言い出せなくて」
青島で負けたらしょうがないとナインの誰もが思っていても、青島本人にはそんな悔いが残っていた。
★悩んで悩んで朝日大へ
島田商に夏ベスト8の戦績を残し、青島の高校野球は終わった。その時、青島は本格的な野球も終わりすることを考えていた。
「夏大終わって、まだ就職希望だったんです。野球は草野球とかでやれればいいかなって。だけどやっぱり周りからの期待とかもあったし、父も大学でやることをすごく勧めてくれました。それで悩んで…」
大学進学か、就職か。池田監督とも面談を重ね、就職指導課にいた増田前監督とも話をした。色々な人に支えてもらった時期だったという。「最後は自分で決めること」という池田監督の言葉を受け、青島は悩みに悩んだ。夏の大会が終わってから大学の練習会やセレクションが始まるまでには間がない。それでも青島は悩み続け、池田監督が「いつまで悩むんだろう」と心配をするほど悩んでいた。
そんな時に、青島は池田監督に勧められ、岐阜リーグの朝日大の練習に参加した。
「行ってからすぐにここって決めました。林卓史監督の指導がすごくいいかんじで、施設も良かった。やっぱり、大学でこそは上にいってやろうって」
朝日大に行くと決めてからは、他の大学にセレクションに行くこともなかった。すぐに青島の気持ちは大学野球へ切り替わった。
★理想はマエケンとポーカーフェイス
日本代表も輩出し、高いレベルで競っている岐阜リーグ。中でも朝日大は昨秋リーグ優勝し、4年生の投手は3人が社会人に進んだ。青島も激しい競争は覚悟している。
「レベルの高い大学なので1年からっていうのは難しいと思うんですけど、練習試合とかでちょっとでも投げられたら、自分を売って、3年、4年にはエースの座をつかみたいと思っています」
そんな青島が「負けない自信がある」とセールスポイントとして挙げたのがスライダー。そのスライダーを生かすために、最速142キロのストレートにさらなる磨きをかけていく。
そして青島の理想形が前田健太(広島)だ。
「変化球でも幅が広いし、テンポが良くて三振も取れる。そういう投手になりたいです」
総合的に優れた投手を目指す青島に課題を尋ねたところ、「メンタルです」という答えが返ってきた。
「喜怒哀楽が顔に出やすいタイプなんです。マウンドでは常にポーカーフェイスを目指して、何があっても動じないメンタルを身に付けたいです。いらっとするのも出ちゃうし、笑顔が出ちゃうのもある。笑顔だけならいいんですけど…」
とちょっとはにかんだ表情も今後マウンドでは封印し、クレバーなピッチングを目指す。
★青島秀一郎からのメッセージ
最後に現役球児へのメッセージを聞いた。
「夏の大会が本番だと思うんで、とにかく頑張ってほしいです。後輩たちには自分たちができなかったベスト8以上の結果を出してもらいたいですね」
青島自身は本番に全ての力を出し切ることができた。ただ甲子園までのあと3勝が近くて遠かった。全国への憧れは、大学でこそ叶えるつもりだ。
「将来は社会人なり、プロでやれることを目指していきたいです。最近ちょっと考え出してるのが、高校の先生。商業科の先生になって教えられたらなと」
就職ではなく、大学進学を選んだ時点で青島の未来は大きく変わった。新しい夢を描いて、大学4年間は野球漬けになる。
在学中に150キロを目指していきたいという青島が楽しみにしていることがある。それは投手出身の指導者に教えてもらうことだ。今まで、投手として本格的な指導は受けたことがなかった。
「そういう指導に頼るのもあれなんですけど、教えてもらってない分、まだまだ磨けるところがある。伸びしろはあると自分でも思っています」
朝日大の林監督は慶應義塾大、日本生命で投手として活躍した指導者だ。自分の伸びしろをどこまで実力として身に付けることができるか。自分自身への期待と共に来月、岐阜に向かう。
池田新之介監督からの贈る言葉 意外と器用な選手です。高校では全国を経験できなかったので、今後は全国を目指せるチームの力になれるよう、野球に集中してほしいです。あとは自立心を養うこと。精神的にも成長してくれれば、大学で活躍する力は十分にあると思います。 |
■青島秀一郎[あおしま・しゅういちろう]
投手/島田商3年/175cm85kg/右投右打
小学3年で野球を始める。六合中では主に一塁手を務め、3年夏に投手を兼任。島田商進学後、2年春からエース。3年夏には準々決勝まで勝ち進むも、掛川西を相手に涙を飲む。キレ味抜群のスライダーを武器に、朝日大で上を目指す。
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寮がない朝日大で、初めての一人暮らしに挑む青島。高校時代も池田監督からダイエット指令を出され、苦労していたなんて話を聞くと、少し心配です。ただ、池田監督曰く、「スリムになりすぎても、スピードが出るわけでもなく、馬力が減っただけ」だそうなので、いっぱい食べていっぱい動くという大原則で頑張って下さい!
最終回は御殿場西・佐藤圭生編です。お楽しみに!(編集部H)
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