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2016年1月22日 (金)

静岡を巣立つ球児たち2015~三輪泰征編・下

 オフシーズン企画「静岡を巣立つ球児たち」。今年も「静岡高校野球」編集部が、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
 前回に引き続き、三輪泰征(静岡学園3年)編です。 「静岡を巣立つ球児たち2015~三輪泰征編・上」はコチラ

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01221★この高校選びは間違いかも…                                    三輪が静岡学園に入学すると、誘ってくれた赤塚監督はすでにチームを離れていた。チーム事情から致し方なかったことだが、赤塚監督からは何度も「申し訳なかった」と謝られたという。戸惑ったままでの1年夏。背番号15でベンチ入りしたものの、代打で1打席立ったのみだった。
「高校野球の洗礼を浴びたというか、全然、自分の力を発揮できませんでした」
 三輪は苦しんでいた。こんなはずではなかったと。
 野球以外でも、浜松から静岡への通学は想像していた以上にハードだった。朝5時に起き、約2時間かけて学校に行く。さらに毎朝8時からは学力テストが行われ、そこで、ある一定の点数に辿りつかないと、放課後、補修が待っている。練習が終わり、自宅に帰ってくれば、日付が変わる寸前だった。三輪は心身ともに疲れていた。
 この高校選びは間違っていたのではないか。他の高校に行っていれば良かったのではないか。当時は本気でそう思ったと振り返る。

★「安田理論」で才能が開花
 そんな三輪に転機が訪れる。1年の冬に、創価大、関西創価、京都成章でコーチの経験を持つ、安田龍一監督がやってきた。
 安田監督はトレーニングに関する知識が豊富で、女子プロ野球のトレーナーとして活躍した実績も持っていた。
「安田監督が来てくださって、考え方も変わりましたし、自分自身のプレーも変わりました」
 まず、取り組んだのは、自分の持っている能力を自分自身が知ることだった。どこの筋力が強く、どこに弱点があるのか。その上で、本人にもっとも適したトレーニング方法や練習方法を探った。
「バッティングに関していえば、西尾先生の教えと重なるんですが、どうやったらヘッドが走るのかを突き詰めました」 
 安田監督は筒香嘉智(横浜DeNA)の映像を見せ、「このイメージで打とう」と説明した。
 すると、1年冬の時点で、2本だった本塁打が春になると徐々に増え始めていった。小さくなっていたスイングが大きくなった。
 さらに、安田流のトレーニングを取り入れると、急激に足も速くなった。高校入学時、50メートルが6秒5だったものが、なんと5秒9に。いったい、何かあったのだろうか。
「意識が変わったことが大きいと思います。安田監督から『上のステージに行きたかったら、まず脚力がないとダメだ』と。脚力が一番大事だと語りかけてくれて、それから走力に対する自分自身の意識も変わりました」
 安田監督の指導が見事マッチした三輪は自信を取り戻した。3年春になると、その長打力と俊足に注目を集まり、プロ4球団のスカウトが視察に訪れた。

★村中とのストレート勝負
 迎えた夏、三輪は初戦の科学技術戦で3安打2打点の活躍で勝利に貢献。続く相手は知徳だった。
 相手のエース・村中克晃はスプリットを武器にするという情報は耳に入っていた。
「自分は4番打者なので、そのスプリットをとらえてやろうと思っていました」
 しかし、村中は三輪に対し、あえて気持ちの入ったストレート一本で勝負にきた。
「嬉しかったですね。村中君がそうきたので、自分もそれに応えてやろうと思って、何とか1本打つことができました」
 試合は、2回の8失点が響き、0対10で6回コールド負け。最後は無情にも、相手打者の打球が三輪の頭上を越えて、試合が終わった。
「終わった時は何とも言えなかったですね。頭が真っ白になったというか、野球ってこういうもんだなと思い知らされたというか。でも、今、その悔しさがあるから、こうやって練習を頑張れていますし、いつか有名になった時に、高校時代の負けがあったからこそ、今の自分があるって言えるようにしようって思いました」
 
01222★関西の強豪・京都産業大へ
 大学は安田監督からの勧めもあり、京都産業大に進学することを決めた。
 京都産業大は大学選手権4回、明治神宮大会1回の出場を誇る強豪大学。平野佳寿(オリックス)などプロ野球選手も多数輩出している。
「正直、東京六大学、東都大学への憧れもあったんですけど、4年後がどうあるべきかって考えた時に、やはり自分を必要としてくれているかっていうのが凄く大きいと思ったんです。京都産業大さんは、決して自分を過大評価することなく、なおかつポテンシャルがあると見込んでくれて。環境面も良くて、ここでプロを目指そうと思いました」
 今年の新入生には、三輪の他に、龍谷大平安、福知山成美、鳥羽といった名門校の主力選手も入学予定だという。その中での勝負となる。
「最初は負けていても、最後は勝てるようにやっていきたいです。今までの野球人生も最初はリトルで圧倒されましたし、中学も挫折を経験して、高校でも伸び悩んで…。最初は負けていても、雑草のつもりで最後は絶対に勝ちたいなと思っています」

★三輪泰征からのメッセージ 
 最後に現役球児へのメッセージを聞いた。
「自分は人との出会いで成長できました。リトル、中学、高校といい指導者に恵まれて。野球が苦痛と感じることがあるかもしれませんが、高校まで野球をやるっていうことは、野球が好きだと思います。誰か見ている人は必ずいますので頑張って下さい」
 三輪には大きな夢がある。4年後に上位指名でプロ入りすることだ。それが、これまでお世話になった方への恩返しだと、最後に言い切った。

安田龍一監督からの贈る言葉

飛ばす力、脚力、持っているポテンシャルは高いです。人間的にも真面目で、よく頑張る子です。あとは、いかに大学で勝負強さを身につけることができるかでしょう。「相手を押しのける」くらいの気持ちが出てくれば面白いですね。

■三輪泰征[みわ・やすゆき] 投手/静岡学園3年/180cm80kg/右投左打
6歳で野球を始める。「浜松南リトル」では7番打者として全国3位に輝く。曳馬中では3年春の県選抜大会でベスト4進出。高校入学後、1年秋からレギュラー。高校通算21本塁打の長打力と50m5秒9の俊足でプロも注目した。卒業後は京都産業大に進学する。

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 昨年の夏前、初めて三輪君を取材しました。その時、「中学の時から僕を取り上げてくれて、いつかお礼を言おうと思っていました」と嬉しそうに話してくれた姿が印象的でした。その後、夏の大会が負けた日、進路が決まった日、必ず、連絡がきました。今回の取材前には「最後にもう一度、僕の話を聞いてもらいたかったんです」と言われ、涙が出そうになりました。温かい心を持つ球児でした。関西の大学リーグは見に行く機会が少ないのですが、今年は一度足を運んでみようと思います。
 次回は聖隷クリストファー・河合毅弥編、お楽しみに!

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