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2016年1月16日 (土)

静岡を巣立つ球児たち2015~村中克晃編・下

 オフシーズン企画「静岡を巣立つ球児たち」。今年も「静岡高校野球」編集部が、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
 前回に引き続き、村中克晃(知徳3年)編です。 「静岡を巣立つ球児たち2015~村中克晃編・上」はコチラ

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静岡を巣立つ球児たち2015~村中克晃編・下

★絶不調から復活へ
 村中の状態は一冬が過ぎ、春になっても上がってこなかった。むしろ下降線を辿っていた。
 ヒジの状態は回復してきたものの、思うようなボールを投げることができない。追い打ちをかけるように、ピッチャーとしてのイロハを教えてくれた初鹿勇氏(前監督)が年明けから体調を崩し、グランドから離れていた。
 春の県大会初戦ではオイスカと対戦した。先発した村中は3回までに3点を失い、降板。その後、チームは逆転したが、2年夏のような躍動感溢れるフォームは影を潜めていた。続く3回戦の相手はセンバツ帰りの静岡高。村中は0対6となった7回からマウンドに上がるも、8回に満塁のピンチを作り、堀内謙伍にタイムリーを浴びてコールド負けを喫した。
 さらに、ゴールデンウィーク中の相洋(神奈川)との練習試合では5回を投げて、なんと13失点。ついに村中はメンバーを外れ、Bチームに降格することになった。どん底の状態だった。
 だが、そんな中でも村中は決して腐ることはなかった。地道に練習に取り組む姿があった。迎えたBチームとしての最初の練習試合。日大三島相手に好投を見せる。
「何かを変えなきゃっていう思いを持って投げたらいい結果が出せました。周りで8人の仲間が守ってくれるんだと思って、視野を広く持つことを意識しました。後から振り返れば、この試合がターニングポイントだったと思います」
 ようやくきっかけを掴んだ村中は、ここから夏に向けてグングンと調子を上げていく。

011501_5★「ガッツポーズ」の始まり
 
夏の大会はエースとして戻ってきた村中。春とは見違えるような勢いのあるフォームと球のキレ。初戦から飛ばした。
 静岡学園相手に5回1安打無失点。続く3回戦は磐田東と対戦。序盤に3点を失うも、中盤からスプリットを多投し、気持ちを前面に押し出すスタイルに。味方打線が9回に2点を勝ち越すと、その裏、最後の打者から三振を奪い、右腕を激しく高く突き上げた。
 これが村中のガッツポーズの始まりだった。
「何かを考えながらやったというわけではなく、無意識に出てしまったものなんです」
 そして、4回戦は2年秋に打ち込まれた常葉菊川と対峙。「3年間の中でベストピッチングの部類に入る」という完璧な投球を披露する。ストレートは140キロ台に迫り、スプリットがキレた。
「相手はフルスイング打線。3点くらいは覚悟していました。なので先に1点を失っても、焦ることがありませんでした」
 打っても6回に同点タイムリーを放ち、7回には3者連続三振。そして9回にはストレートで押して逃げ切った。ガッツポーズと雄叫びは激しさを増していた。
「(常葉)菊川の時は磐田東の最後より、もっとダイナミックになっていたと思います。でも、ほんと、自然に出た感じなんです」
 優勝候補の一つ、常葉菊川を破り、甲子園がちらつき始めた準々決勝。相手は快進撃を続けている磐田南だった。

★再試合の末に
 連投となった村中は粘りの投球を展開する。3対3のまま、試合は延長へ。14回に自らの失策で得点を許すも、その裏、同点に追いつく。試合は延長15回引き分け再試合となった。
「(常葉)菊川戦の疲れもあったんですけど、その疲れを踏まえて最小失点に抑えることが目標でした」
01152_5 翌日の再試合、村中はベンチからのスタートとなった。それでも、すぐに出番はやってきた。磐田南に2点の先制を許し、3回からマウンドに立つ。「自分が流れを作るんだ」と、球速は130キロ止まりだったが、前日の疲れを感じさせない気迫の投球。3回から9回を2安打無失点に抑えた。そして1点差に迫った9回裏、2死一塁の場面で村中に打席が回ってきた。しかし、打球はセカンドゴロ。村中の夏は終わった。
 終わってみれば、再試合でもほぼ完ぺきに抑えた。自分が先発したかったという思いはあったのだろうか。
「正直、再試合が終わって、次の日も行こうと思っていました。自分がもっと強い思いを監督さんに伝えていれば良かったのかなと…。ただ、監督さんは自分の将来のことを考えて決断してくれたんだと思います」
 村中は、柴崎哲治を始め、知徳の先輩が多く活躍する道都大への進学を決めた。近年、全国大会の常連となりつつあるチームだ。
「野球ができる環境としては最高の場所だと思います。専用グランドもあって。自分が気持ちよく野球ができるという印象があります」 
 11月には道都大も出場した明治神宮大会を観戦。大学野球のレベルの高さを感じ、「不安の方が大きい」と口にしつつも、狙うは4年後のプロだ。
「高校でピッチャーとして成長させてもらって、初鹿監督のおかげで道都大にも行かせてもらって。コツコツと毎日の練習を頑張って、チャンスをものにして、恩返しができれば。プロというものも狙っていければいいと思います」

01153_2★村中克晃からのメッセージ
 最後に現役球児へのメッセージを聞いた。
「自分を追い込むための練習をしておいた方がいいです。土壇場で接戦になっても負けない気持ちを作るためにも、日ごろから、自分がきついと思う練習でメンタルを強くして欲しいと思います」
 村中の3年夏の活躍は、まさしく厳しい練習で自分を追い込んできた成果だった。4回戦から3日間で合計434球を投じ、しかも延長15回を一人で投げ切った。この精神力の強さは並大抵のものではない。
 舞台は高校野球から大学野球へ。次は東京ドームや神宮球場で、村中のガッツポーズが見たい。

 

初鹿文彦監督からの贈る言葉
苦しんだ時期もありましたが、常日頃の姿を見ていれば、間違いなく、最後に花が開くと思っていました。真面目で一生懸命に練習に取り組む。まさに高校球児の鑑です。この誠実さを忘れないで、大学でも頑張ってほしいと思います。

■村中克晃[むらなか・かつあき] 投手/知徳3年/178cm73kg/右投右打
7歳で野球を始める。「海老名シニア」では捕手。高校入学後、投手に転向し、2年春からエース。3年夏は磐田東、常葉菊川などの強豪を下してベスト8進出。準々決勝では再試合の末に敗れるも、2日間にわたる熱投で静岡の夏を沸かせた。卒業後は道都大に進学する。

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 村中は現在、大学に進んでからの生活費を稼ぐために「引っ越し」のアルバイトを行っているそうです。学校の授業や練習があるので、毎日というわけにはいきませんが、土日を中心にシフトを入れているとか。「テレビとか家具とか重たいものもありますが、これもいいトレーニングなのかなと思って」。くれぐれもケガだけは気をつけて頑張って下さい。
 次回は静岡学園・三輪泰征編、お楽しみに!

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