準硬式で覚醒した男、杉浦浩介(掛川西出身)・下
前回に引き続き、日本大準硬式で活躍する掛川西出身・杉浦の記事です。上はこちらからご覧ください。http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/blog/2016/01/post-4a8e.html
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★1年秋に8勝をマーク!
杉浦は準硬式のボールを握ると、水を得た魚のように投げまくった。
「ちょっと硬式よりも軽いかもしれないんですけど、自分には硬式よりも、準硬のボールの方がフィットしました」
準硬式のボールは、中身は硬式球とほぼ変わらないが、軟式球と同じように天然ゴムで覆われている。もともと、中学時代は軟式球で活躍した杉浦。大学入学後、準硬の球を握ると、あの頃の感覚が戻ってきたという。
1年春からマウンドに上がった。リリーフで2勝を挙げると、秋に大ブレイク。1年生ながら主に1戦目に先発し、8勝3敗という好成績を収めた。高校時代は満足に投げることができなかった杉浦の覚醒。その要因を本人はこう説明する。
「自分のことを知っている大学が少なくて、急に出てきたから、研究されていなかったんだと思います。あと自分が10点取られても20点取ってくれるチームだったので、打撃に助けられた面もありました」
それにしても、8勝は凄い。甲子園経験者もいるし、かつてはドラフトで指名されてプロ入りした選手もいる準硬式の世界。その中でチームの9勝のうち、8勝をマークする大活躍だった。
★全国大会で優勝
準硬式の環境は決して恵まれているとは言えない。日本大の場合、専用球場を持っていない。しかも、全員が集まることができるのは朝のみ。調布市のグランドを借りて早朝6時から9時まで全体練習を行う。夕方は各自で軽いキャッチボールやトレーニングで体を動かす程度。朝の練習も、グランドを借りることができない時はキャンパス内の空いている場所で行う。ただ、杉浦の場合、このやり過ぎない感がいい方向に出ているとも言える。
「大学に入って、自分でストップをかけるところはストップをかけるとか、考えながらできるようになったことが大きいです。ほぼケガが無くなりましたし…」
故障が減った上に、フォークを習得したことで投球の幅が大きく広がった。さらに杉浦の大きな武器は牽制とフィールディングだ。
「そこは自信があります。掛西の時に佐藤先生から、そのあたりのことをみっちりと教わって、それが今生きています。フィールディングとか牽制でピンチをしのいで救われていることが多いです」
2年夏の全日本大学準硬式野球選手権大会でも存在感を見せる。2回戦と準決勝は先発としてチームの勝利に貢献。そして決勝戦は6対4のリードで迎えた7回、ピンチの場面でマウンドに上がる。2点を失い、同点とされるも、その後は粘りの投球を見せた。すると、延長11回、味方打線が3点を勝ち越し。その裏は杉浦がきっちりと締めた。
「優勝の瞬間ですか? もう、すっごい嬉しかったです。やばかったです」
日本大の全国優勝は12年ぶり。しかも昨年、敗れた中央大へのリベンジを果たした。杉浦はマウンド上で最高の瞬間を味わった。
その後、昨年は11月に全関東選抜に選ばれ、9ブロック大会の準決勝でノーヒットノーランを達成。そして、12月には中国遠征を経験し、中国のプロチームに相手に快投を演じた。
★杉浦vs鶴田に注目!
リーグ屈指の右腕へと成長を遂げた杉浦。今年は「全国2連覇」に照準を合わせる。その一方で対戦が楽しみな投手がいる。最速149キロを誇る本格派左腕・帝京大の鶴田圭祐。プロのスカウトも注目する逸材だ。昨秋の対戦では杉浦が投げ勝っているものの、「普通に投げられたら準硬のレベルでは打てない」と舌を巻く。
「ストレートは速くて。たまたまウチとやった時とスライダーでストライクを取れていなかったんですが、あれが決まりだしたら、手がつけられません。今年も対戦が楽しみです」
準硬式という舞台で、次から次へと驚きのニュースを届けてくれる杉浦。今年はどんな活躍でビックリさせてくれるのだろうか。
◆杉浦浩介(すぎうら・こうすけ)
1995年6月27日、静岡県浜松市出身。小学1年時に野球を始め、「春野ジュニアアトラス」でプレーする。春野中ではエースとして西部大会出場。掛川西入学後、2年秋からベンチ入り。3年春はエースナンバーを背負う。その後、日本大に進学し準硬式でプレー。1年秋には8勝を挙げ、最多勝を獲得。2年夏には全日本大学準硬式野球選手権大会で優勝に貢献する。冬には関東選抜に選出され、海外遠征を経験した。180cm69Kg、右投右打。
<写真上/力強いフォームから最速139キロのストレートを投げ込む杉浦浩介>
<写真下/昨年、関東選抜で一緒にプレーした掛川西出身の大井健都(左)と杉浦(右)>
※写真提供/日本大準硬式野球部
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1月13日発売の『静岡高校野球2016早春号』では、今回、取材に協力していただいた立教大の大井健都を取り上げています。そちらも、一緒に読んでもらえると嬉しいです!(編集部・栗山)
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