静岡を巣立つ球児たち2015~村中克晃編・上
年が明け、いよいよ高校3年生が巣立つ季節となりました。そこで今年も、「静岡高校野球」編集部が、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。第1回は、前々からこの選手に行こうと決めていました。昨夏、「熱きエース」として一躍県内の注目を集めた知徳・村中克晃です。卒業後は道都大に進学する村中のインタビューを2回にわたってお届けします。
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静岡を巣立つ球児たち2015~村中克晃編・上
★小学・中学時代はキャッチャー
村中が野球を始めたのは7歳の時。「何かしらのスポーツをやらせた方が将来につながる」という母・浜路さんの考えで「海老名サンダース」に入団した。
低学年の頃はいろいろなポジションを経験し、5年時に定着したのがキャッチャーだった。柏ヶ谷中では「海老名シニア」に所属。そこでも主にキャッチャーを務めた。
当時の「海老名シニア」は、2年秋にクラストカップ優勝。3年夏にはジャイアンツカップでベスト4進出。神奈川シニア界の中でも指折りの強豪チームだった。メンバーには、のちに東海大相模の三塁コーチャーとして全国優勝メンバーとなった石川和樹もいた。
しかし、村中はキャッチャーの控え。公式戦には1試合も出場することがなかった。村中はキャッチャーの難しさを痛感したという。
「頭を使わないといけないポジションであり、視野も広くなければならない。正直、自分にはあまり向いてなかったのかなと思います」
★名将・初鹿勇氏との出会い
高校はシニア時代の監督の勧めで知徳へ。そこで、すぐに転機が訪れる。八木智哉(現中日)、久保亮輔(現Honda鈴鹿)、三木昴(現日本新薬)といった投手を育てた名将・初鹿勇氏(前監督)の目に留まった。初鹿氏は全く投手経験のなかった村中をいきなりブルペンで投げさせた。村中が当時を振り返る。
「不安と緊張でいっぱいでしたね。多少、コントロールは自信がありましたけど、球は遅いし。全然、いいボールを投げられなかったです」
それでも、村中に投手としての可能性を感じていた初鹿氏は、来る日も来る日もブルペンで指導。秋からは宝刀・スプリットの握り、投げ方を徹底的を伝授した。
「ブルペンではスプリットを全体の半分くらい投げていました。落とすっていうことだけをイメージして。でも、最初は全然…」
初鹿氏からだけでなく、同じくスプリットを武器に、夏の大会で県ベスト8進出を果たした2学年上の柴崎哲治(現道都大)からもアドバイスをもらった。
ようやく少し落ち始めたのは、1週間が経過した頃だった。
「落ちた時は嬉しかったです。続けていけば、落ちるだろうと思ったら、本当に落ちてくれました」
その後、村中は3種類のスプリットをマスターする。一般的なスプリット、シンカー気味に変化するスプリット、空振りを奪うためのスプリット。状況に応じて使い分けた。
スプリットという武器を手に、練習試合でマウンドに上がる回数が増えると、本人の中で「投手として勝負できる」という自信が徐々に芽生えていった。
そして一冬を越えた2年春、球速も130キロ台をマークするようになり、エースへと成長を遂げる。本格的にピッチャーとなって、まだ1年。キャッチャーからピッチャーに転向させた初鹿氏の目に狂いはなかった。
★2年夏、秋の敗戦
迎えた2年夏、初戦の相手は掛川東だった。小雨が降る中、初回のピンチは無失点で切り抜けたものの、3回に自らのパスボールなどで逆転を許す。その後、味方打線が同点に追いついたが、6回に勝ち越しタイムリーを浴びる。結局、その1点が響き、2対4で敗戦。試合後、村中は悔しさで泣き崩れ、顔を上げることができなかった。
「先輩達に申し訳ないっていう後悔がたくさんある試合でした。グランド状況と天候に左右されすぎて。いつも通りの投球ができませんでした」
大会後、村中は初鹿氏の指導でフォームの修正とともに、縦のスライダーという新たな変化球の習得にとりかかった。
「もう一つ、縦変化のボールがあれば、もっと角度をつけることができるということで覚えました」
秋、知徳は順調に県大会に駒を進めた。ところが、今度は初戦で常葉菊川相手に9四死球を与えてしまう。チームは強打の常葉菊川打線よりも多い11安打を放ったが、村中の不調が響き、4対7で敗れた。
「ほぼ自滅という感じでした。全然、安定感がなかったです」
その後、練習試合を重ねていくうちに、ヒジに痛みが走るようになってきた。村中の苦悩は続く。
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「静岡を巣立つ球児たち2015~村中克晃編・下」は近日中に更新します!
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