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2016年2月 5日 (金)

静岡を巣立つ球児たち2015~中川怜士編・下

 オフシーズン企画「静岡を巣立つ球児たち」。今年も「静岡高校野球」編集部が、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
 前回に引き続き、中川怜士(静岡市立3年)編です。 「静岡を巣立つ球児たち2015~中川怜士・上」はコチラ

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★小澤の復活!
 バッテリーがそのまま残り、期待された秋。しかし、エース・小澤大義が左肩を痛め、戦線を離脱する。
 秋は中部大会を勝ちあがったものの、県大会2回戦で磐田東にコールド負け。新チーム結成当初は東海大会も見据えていただけに落胆は大きかった。
02051 1学年下の寺田敬太がピッチャーとして成長してきたが、冬を越えて春になっても小澤が復活する気配はなかった。
「正直、もしかしてこのまま夏も(小澤)大義が無理なのかっていう不安がありました」
 その間、中川は自分のできることに集中した。磐田東戦で打ち込まれた配球面の見直し、キャッチングの精度を高める練習に取り組んだ。
 ようやく小澤の肩痛が癒え、試合で投げることができたのが、春が過ぎたゴールデンウイークの頃。小澤は2年夏と比べてもそん色のないキレ味鋭いボールを投げ込んだ。持ち味の鋭い腕の振りも健在だった。
「2年夏までの大義って、投げてみないと分からない怖さがあったんですけど、復帰してからは変化球を混ぜたり、安定感が出てきました。ピッチャーとして一回り成長したなって思いました」
  <これで夏はいける>
 中川はそう実感したという。
 
★まさかの初戦敗退
 夏の初戦、相手は聖隷クリストファーだった。初回、小澤・中川のバッテリーはいきなり2点を献上する。高めに浮いた球を狙われた。
「これは言い訳になってしまいますが、前の試合が伸びて、すごい待機していたんです。そのせいか、チーム全体、立ち上がりが変なふうに入ってしまって…」
 それでも2回以降、小澤は立ち直る。完ぺきに相手打線を抑えると、静岡市立は5回に2点を挙げて同点とする。その後、両チームともに得点を奪えず、2対2のまま、9回裏を迎えた。
 そして、静岡市立は2死満塁というピンチを作る。カウント3-1からの5球目。小澤の投じたストレートは無情にも外角にわずかに外れた。押し出し四球…。一瞬の夏だった。
「周りはストライクだと思ったようですが、自分は『あっ、ボールだ』って。もう頭の中が真っ白になってしまいました…」
 それから数秒、中川の記憶はない。気づいたら、泣きじゃくる小澤を「お前のせいじゃないよ」と抱きしめていた。その後、聖隷クリストファーは3回戦で清水東相手に10点、4回戦では常葉橘相手に9点を挙げている。この結果を見ると、いかに小澤が素晴らしい投球をしていたのかが分かる。
 だからこそ、「もっと自分達が先に打ってあげて大義を援護できていれば」と中川は悔やんだ。

Photo

左から望月理玖(東京経済大進学)、
中川、小澤大義(同志社大進学)

★関甲新の強豪・白鴎大へ 
 中川は白鴎大に進学を決めた。練習会に参加し、「ここでプレーしたい」と強く感じたという。充実した施設、選手のキビキビとした動き、レベルの高さ。すべてに圧倒された。
「最初は聞いたことのない大学で、全然分からなかったんです。でも調べると、上武大もいる凄いリーグの1部のチームだと知って。プロにも何人も出ているし。練習会にいって、自分もここならレベルアップできるなと思いました」
 中川には大学で活躍してどうしても4年後にプロ入りしたい理由がある。プロに行って、自分をここまで育ててくれた母・郁子さんに恩返ししたいと打ち明けてくれた。
「大学でお金もかかってしまうし、そこはもう絶対に半端なことはできないなって。この4年間、必死に打ち込みます」

★中川怜士からのメッセージ
 最後に現役球児へのメッセージを聞いた。
「自分は高校野球で勝つことの難しさを痛感しました。小学校、中学校と、どちらかというと勝ってきた方なので、余計に『なんで勝てないんだろう』って悩みました。だから、皆さんには勝つことに必死になってほしいです」 
 このメッセージは、これからの自分にもあてはまるという。中川が目指すのは、チームを勝たせるキャッチャーだ。
「キャッチャーっていうのは勝つことで認めてもらえるポジションだと思うんです。だから、自分も大学で一日も早く勝っているチームの原動力になりたいです」
 そう強く誓った中川。明日6日、大きな夢を抱き、白鴎大白水寮に入寮する。

森崇監督からの贈る言葉

2年春からキャッチャーをやり始め、イキイキとしていました。大学で経験を積んでいけば、まだまだ伸びる選手だと思います。レベルの高いチームですが、まずはレギュラーを掴んで欲しいですね。

■中川怜士[なかがわ・れいじ] 捕手/静岡市立3年/183cm83kg/右投右打
小学生時代は「伊宮ドジャース」でソフトボールをプレーする。籠上中では3年春の県選抜大会で主将としてチームを県準優勝に導く。静岡市立では1年秋からショートでレギュラー。2年春からキャッチャーを務め、夏は県ベスト16進出。3年夏は初戦敗退。卒業後は白鴎大でプレーする。

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 ボーリングが趣味だという中川。「投げ放題」を使い、20ゲームほど投じる日もあるとか。「前にテレビで前田健太(ドジャース)さんがボーリングで前腕が鍛えられるって話していて。それを理由に遊んでいます(笑)」。この成果が大学で発揮されるのか…。今後も追いかけていきたいと思います。
 次回は韮山・情家康平編、お楽しみに!

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