« 中学選抜大会レポート<1日目> | トップページ | 中学選抜大会レポート<2日目> »

2016年2月24日 (水)

静岡を巣立つ球児たち2015~佐藤大揮編・上

 4年目を迎えたオフ企画、「静岡を巣立つ球児たち」。「静岡高校野球」編集部が卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。最終回は強肩強打の捕手、佐藤大揮(清水東)。卒業後は立教大に進学する佐藤のインタビューを2回にわたってお届けします。

---------------------------------------------------

★小学生時代から練習の虫
  佐藤は6歳の時、兄の影響で野球を始める。それまでは、サッカーと水泳に夢中だったが、兄についていく形で「西益津小野球スポーツ少年団」に入ると徐々に野球の楽しさにはまっていった。
 とにかく小学生の頃から練習の虫だった。
 母が自宅でピアノ教室を開いていたため、夕食を食べるのはいつも20時を過ぎてから。遊びに行っても必ず17時に帰宅していた佐藤はそこから3時間、一人で黙々とバットを振り込んだ。素振りはもちろん、自宅の中に作っもらったバッティングゲージを使用して打ち込む毎日。気づけばいつも、手の平は豆だらけだった。
 西益津中では県大会出場こそ叶わなかったが、主にピッチャーとして活躍した。3年時に長田三郎監督が赴任し、野球に対する考え方が一変したという。
「それまでは、目いっぱい投げて、目いっぱい打てばいいと、ただそれだけで野球をやっていました。でも、長田先生は『速い球を投げたかったら力を抜け』『打球を飛ばしたかったら力を抜け』という教えで。自分にとってはすごく新鮮で、高校に入ってからも生きました」

02241_3★台湾遠征で高打率をマーク
 高校は迷わず、清水東に進学を決めた。2歳上の兄も清水東でプレーし、八木道政監督の話を自宅でよく耳にしていた。
「厳しい先生とは兄から聞いていたのですが、その中に愛情があると。楽しそうな兄を見て、自然に清水東に惹かれていきました」
 入学後、1年秋からキャッチャーのレギュラーを掴む。2年夏は初戦敗退も、秋には「4番キャッチャー」としてチームを3年ぶりの県大会出場に導いた。
 県大会は、その後、東海大会でベスト8に進出する浜松修学舎にサヨナラ負けを喫したものの、佐藤は二塁打を放つ活躍を見せ、12月の台湾遠征の県選抜に選出された。
 この台湾遠征で佐藤は大きな自信を掴む。主に「3番レフト」で出場して、打率.706をマーク。シャープなスイングから広角に打ち分けた。
「それまで、自分の力がどの程度なのか半信半疑だったのですが、県のトップレベルの選手が集まる中で、十分に戦えるということが分かりました」
 佐藤の後を打つ、4番・堀内謙伍(静岡高→楽天)の存在も大きかった。自チームではどうしても長打を狙おうと大振りになっていたが、県選抜では次の堀内に回そうと出塁だけを考えてコンパクトなスイングに徹した。すると、自然に安打が量産された。
「堀内みたいなバッターが後ろにいるだけで、自分のプレーがこんなにも変わるんだと驚きました。自分のチームでは、『自分がやらなきゃ』って視野が狭くなっていた部分もあったんですが、県選抜では周りが見えていたし、本当にいい経験になりました」

★「監督さん」からの褒め言葉
 迎えた3年夏、それは定年を迎える八木道政監督が指揮をとる最後の年でもあった。当然、選手達の中には「八木先生のために」という思いが強くなっていった。
「僕も含めて、みんな、その気持ちだけで夏に向かっていったと思います。でも、変なプレッシャーになるというよりも、逆に注目が集まるからいいなって。けっこうポジティブにとらえていました」
02243_2 初戦はいきなり強豪・御殿場西と激突した。
 佐藤は初回、一死2塁から打席に立つも、敬遠の四球。さらに、2打席目、3打席目、4打席目もすべて四球で歩いた。御殿場西は、強打者として名前が知れ渡っていた佐藤を徹底的に警戒した。
「ここまで勝負してもらえないとは正直、思っていなかったです…」
 それでも、佐藤は堂々と一塁ベースに向かった。
 試合は清水東が序盤にリードを奪い、2年生エースの杉山達哉が7回まで1失点に抑えていた。しかし、8回につかまる。打者9人の猛攻を浴び、一挙4点を失った。
 4対5。清水東は1点を追う形で、9回裏を迎えた。
 一死後、佐藤に打席が回ってきた。
<過去4打席目はすべて走者がいた時。今度は勝負してくれる――>
 佐藤は4打球目をとらえると、打球はサードへの強烈な打球に。これが相手のエラーを誘った。その後、打線がつながり、最後は途中出場の窪田朝希のサヨナラ安打で勝利を飾った。佐藤は初戦を突破し、ホッと胸を撫で下ろした。
<これで何とか、地に足をつけて試合ができる>
 そして試合後、八木監督からこんな言葉をかけられた。
「お前が、いくら敬遠されても、打席で『勝負しろ』とか、そういう感情を表に出さず打席に立っていたのは立派だった。嬉しかったよ」
 サヨナラ勝ちに嬉し涙を流していた「監督さん」からの最高の褒め言葉だった――。

---------------------------------------------------

 「静岡を巣立つ球児たち2015~佐藤大揮編・下」は近日中に更新します!

|

« 中学選抜大会レポート<1日目> | トップページ | 中学選抜大会レポート<2日目> »

静岡を巣立つ球児たち」カテゴリの記事

静岡県の高校野球」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/534314/63256091

この記事へのトラックバック一覧です: 静岡を巣立つ球児たち2015~佐藤大揮編・上:

« 中学選抜大会レポート<1日目> | トップページ | 中学選抜大会レポート<2日目> »