静岡を巣立つ球児たち2016~叺田本気編・上
5年目を迎えたオフ企画、「静岡を巣立つ球児たち」。「静岡高校野球」編集部が卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。第4回は強肩捕手としてプロもマークした叺田本気(菊川南陵)。卒業後は中京学院大に進学する叺田のインタビューを2回にわたってお届けします。
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★中学2年で受けた衝撃
「なんやコイツら、上手すぎるわ」
そこには、寺島成輝(履正社→東京ヤクルト)、井町大生(履正社)、納大地(智辯学園)、高垣鋭次(智辯和歌山)、松井永吉(尽誠学園)など、関西のボーイズを代表する逸材が揃っていた。
中学2年時、ボーイズリーグの関西選抜チームに選ばれた叺田は「その後の自分の人生を変えたと言ってもいいくらい」の衝撃を受けた。
場所は京セラドーム大阪。関西を北と南に分けて交流試合を行った。叺田は途中出場ながら、ソツなくプレーをこなした。今でも当時のことを鮮明に覚えている。
「とにかく周りのヤツらが凄くて、自分も負けないように、もっと上を目指したいという気持ちになりました」 叺田が野球を始めたのは小学4年時。それまでは子供会のソフトボールチームに所属していた。どうしても「野球」をプレーしたいという思いが強く、小学4年時にチームを求めて家族で隣町まで引っ越した。
中学は「和泉ボーイズ」(大阪)に所属。そこで今でも尊敬する吉井裕介監督と出会った。厳しくも、愛情のある指揮官。「吉井監督の方針が自分にはまって成長できた」と振り返る。
その頃、主に「1番セカンド」で試合に出場。2年秋の全国大会の予選で活躍し、前述の選抜メンバーに選出された。同世代のトップレベルのプレーを間近で見て、次第に「上には上がいる。高校は強豪校で甲子園を狙ってみたい」と考えるようになった。叺田は日本航空(山梨)に進学する。
★転校して捕手に挑戦
しかし、入学早々、部内のトラブルに巻き込まれて7月に退学。菊川南陵に転校した。「静岡の地でもう一度甲子園へ目指す」と決意する。
ここで叺田は本格的にキャッチャーに挑戦する。じつは中学3年夏に一度だけ、レギュラーのキャッチャーが故障し、急遽、大会でマスクをかぶったことがあった。菊川南陵には肩の強さを知っていた「和泉ボーイズ」の仲間もいて、「ウチはキャッチャーが少ないから、やってみろよ」と勧められた。
ただ、高校野球の規定で転校生は1年間、公式戦に出場できない。その間、練習試合に出場しながら腕を磨いた。走者が盗塁を試みれば、二塁ベース手前でホップするような強肩を披露。相手チームを驚かせたことは一度や二度ではない。
ようやく1年が過ぎたが、2年秋は部内の不祥事で出場は叶わず。公式戦デビューは3年春までお預けとなった。
★田中監督から基本を学ぶ
その間、元プロの田中幸雄氏(現和歌山南陵コーチ)が監督に就任。キャッチャーとしてのイロハを学んだ。
「プロ野球って派手なプレーのイメージがあったんですけど、それよりも、田中監督は基本を大事にされている方で。捕る動作、投げる動作、配球などを一から丁寧に教えてもらいました」
チームは本格派右腕・杉浦一平と叺田のバッテリーを中心に、いい形に仕上がっていった。
「秋から冬の練習試合での勝率が良くて、冬も高いモチベーションで練習ができました」
迎えた春季大会、西部大会の準々決勝で常葉菊川に敗れたものの、県大会出場を決める。4番に座った叺田は6打席連続安打を含む、3試合で打率・703をマーク。能力をいかんなく発揮した。
しかし、県大会では島田商相手に0対4で完敗。好左腕・北川裕登の緩急を使った投球の前に、チームは14奪三振を喫した。
「この試合の後からですね。チームが噛み合わず、勝てなくなったんです…」
叺田は俯きながら、そう呟いた。
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「静岡を巣立つ球児たち2016~叺田本気編・下」は近日中に更新します!
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