静岡を巣立つ球児たち2018~日高純平編・上
6年目を迎えたオフ企画、「静岡を巣立つ球児たち」。「静岡高校野球」編集部が卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。第2回は豪快なスイングで長打を連発する日高純平(天竜)。卒業後は上武大に進学する日高のインタビューを2回にわたってお届けします。
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静岡を巣立つ球児たち2018~日高純平編・上
★「ありがとう」の始まり
日高が野球を始めたのは小学4年生の時。幼い頃から水泳、サッカー、空手といった様々なスポーツを経験したが、友人の父親とキャッチボールしたことがきっかけで野球の道に進んだ。友人とは、その後、高校まで一緒プレーすることになる永田一成。父の宗広氏は黄金時代の浜松商で活躍した人物だった。
「一成のお父さんに褒められたことが単純に嬉しくて。そこから、野球ぞっこんになりました」
その後、北浜中では3年春に1番打者として県ベスト8入りに貢献する。身体能力の高さを買われて、3年間で全ポジションを周り、最終的にはセンターで落ち着いた。
そんな中学時代、日高にとって大きな出会いがあった。2年生の時、「株式会社ありがとう」の代表を務める黒柳誠氏の講和を聞く機会があり、その内容に日高は感銘を受けたという。
「黒柳さんは『プラス言葉を言っていれば、人生はいい方向にいくよ』という話をされていました。黒柳さんと直接話す機会もあり、自分はバッターボックスに入った時に、『ありがとう』と叫ぶことに決めたんです」
日高の「ありがとう」の叫びは高校まで続いていく。最初は周囲から笑われることもあったが気にしなかった。日高には一度決めたらやり通す、芯の強さがある。いつしか、名前は知らなくても、浜松市内の野球関係者の間で「ありがとうの子ね」と有名になる。それほどインパクトが強かった。
★腰痛を乗り越えて
日高の特徴は何といっても、飛び抜けたスイングスピード、そして猛烈にバットが振れることだ。天竜の中道誠監督は日高が入学すると、すぐにA戦で起用した。最初の試合で、度肝を抜く一発を放つ。ライト方向への本塁打だった。
「正直、高校野球のレベルはこんなものかって、その時は思ってしまいました」
しかし、その後、県外の強豪との練習試合で出場すると、キレのあるボールを前に、三振の山を築く。まったくバットにあたらない。6月、7月と試合を重ねても変化はなかった。日高は打てない原因が分からず、一人で悶々とした期間を過ごす。
「あの頃はいくら練習をやってもダメで。なにかしら、毎日手を伸ばしてつかみたい状態でした」
救ったのは外山淳嗣部長(現浜松工部長)だった。来たボールに対して、単純にスイングしていた日高に対し、外山部長は「間の大切さ」を説いた。
「それまでの自分は、力任せにオリャーみたいな感じで振っていたんです。でも、外山先生からタイミングをとる中で『間』を作れって言われました。足の上げるタイミングやトップの位置もマンツーマンで細かく見てもらって、少しずつあたるようになっていきました」
1年秋からレギュラーをつかむと、2年夏は2試合で4安打をマークする。ところが、秋の西部大会が始まると、腰に痛みが走る。敗者復活戦の菊川南陵との試合前には杖がないと歩けない状態となり、先発出場を回避した。「キャプテンの自分がやらなきゃ」と、気合いだけで代打出場するも、サードフライに終わる。
病院で診察を受けると、「腰椎分離症」を患っていることが判明した。医者からは「なんでここまで放っておいたんだ」と叱られ、秋から冬にかけてはリハビリに費やした。
日高は、それまで軽く考えていたストレッチの大切さを知り、練習前には入念に行うようになった。季節は冬から春に移り変わり、少しずつ暖かくなると、自然と痛みは和らいでいった。
状態を上げて、いよいよ夏の大会を迎える。
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「静岡を巣立つ球児たち2018~日高純平編・下」は近日中に更新します!
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