静岡を巣立つ球児たち2019~菊地涼・上
「静岡高校野球2019春号」の作業が佳境に入っていますが、編集部では卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちにも会いに行っています!
第1回はアクロバティックな守備と勝負強い打撃で、昨夏の大会を沸かせた菊地涼(島田商)です。卒業後は社会人野球の「鮮ど市場ゴールデンラークス」でプレーする菊地のインタビューを2回にわたってお届けします。
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静岡を巣立つ球児たち2019~菊地涼編・上
★吉田中で基礎を学ぶ
菊地涼はとにかく明るい。初対面の相手でもすぐに打ち解け、仲良くなってしまう。
その原点は幼少期にある。菊地は母の実家のあるフィリピン・ダバオ市で生まれた。3歳まではそのフィリピンで過ごした。
「さすがに小さかったので、よく覚えていませんが、フィリピンの方って、大人数で住んでいて、みんなものすごくハイテンションなんです。しかも、周りに振り回されず、自分を持っている人が多い。父は、そういう環境で育てば、『人見知りしない性格になる』って考えたみたいで、あえて、3歳までフィリピンで過ごさせたらしいんです」
フィリピンから日本に移った菊地は、小学4年生から野球を始めた。友達の中村冠太(現清水桜が丘)から誘われたことがきっかけだった。「自彊スポーツ少年団」に入団すると、選手数が少なかったこともあり、すぐに外野手として試合に出場。徐々に「プロ野球選手になる」という夢を抱くようになる。
中学は吉田中でプレー。硬式チームも選択肢にあったが、6年時に吉田中の練習を見学し、大きな衝撃を受けた。
「やっぱり、澤入(信也)先生の存在が大きかったです。厳しさもあり、自分が成長するならここしかないと感じました」
吉田中といえば、無安打で1点奪う細かい野球を武器に、毎年県上位に顔を出す強豪だ。入学すると、菊地は澤入監督から基礎を叩き込まれた。
「まず、一番は足が速くなりました。守備もセカンドになり、確実にアウトにする堅実さが身につきました」
一方で、澤入監督は他の選手とは違う独特の野球勘を持っている菊地のスタイルも尊重してくれた。
「僕は吉田中の野球には全然あっていなかったかもしれません。でも、それを理解してくれたのも澤入先生でした。バッティングも、レベルで入る打ち方だけ教えてもらい、あとは自分の打ちやすい方法でやらせてもらいました」
菊地の個性と澤入監督の緻密な野球がマッチング。小柄の菊地に対し、「上のレベルで絶対に役立つから」と、小技のテクニックを教えてくれたのも澤入監督だった。
3年春の選抜大会、夏の中体連で県優勝。菊地は1番打者として、核弾頭の役割を担った。春の決勝戦では漢人友也(現常葉大菊川)を擁する桜が丘中と対戦し、7回裏にサヨナラ安打を放つ活躍。夏の決勝戦ではマウンドに上がり、5回を無失点に抑え、エースの遠藤龍成(現清水桜が丘)につないだ。
技術とともに、澤入監督の下でメンタル面も鍛えられた菊地。高校につながる勝負強さも、この時期に養われた。
★硬式の壁を乗り越えて
高校は「公立で地元の選手だけで勝ったら、かっこいいな」と、島田商へ進学する。
1年秋から三塁手のレギュラーとして出場。だが、順調なスタートではなかった。菊地は野球人生で初めてと言ってもいい、壁にぶち当たる。
打撃では凡退の山を築き、守備でもエラーの連続。「このままどうなってしまうんだろう」と苦悩したという。
「打球が飛ばないし、守っていてもバウンドの合わせ方が分からないし…。監督さんが、『何でレギュラーで使ってくれているんだろう』って、自分でも不思議に思うくらいに本当にひどかったと思います」
1年の冬が過ぎた頃、ようやく一筋の光が見えた。バットを振り込んでいく中で、硬式ボールに対する怖さや痛さを払拭していった。菊地本来のフルスイングができるようになると、守備でのミスも減っていく。
「技術云々じゃなく、気持ち的にプラス思考になって自信を持てたことが大きかったです。僕、昔から何かを一回掴むと、一気にボ~ンっていけるタイプなんです。そのときは、まさにそんな感じでした」
2年春からは二塁へ。池田新之介監督と当時二塁を守っていた海野英一に相談し、守備位置を変更した。
「サードは一瞬の動きを求められるのですが、僕はセカンドの方が守備範囲が広くて守りやすかったです」
そして、2年秋からは不動の1番打者に。3年春には県ベスト4入りに貢献し、県屈指の二塁手としてあの夏を迎える。
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「静岡を巣立つ球児たち2019~菊地涼編・下」は近日中に更新します!
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