静岡を巣立つ球児たち2019~鈴木颯人編・下
オフシーズン企画「静岡を巣立つ球児たち」。今年も「静岡高校野球」編集部が、卒業後も野球を続けることが決まっている高校3年生たちに会いに行きます。
前回に引き続き、鈴木颯人(掛川東)編です。 「静岡を巣立つ球児たち2019~鈴木颯人編・上」はコチラ!
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静岡を巣立つ球児たち2019~鈴木颯人編・下
★3イニングで終わった夏…
エースの座を目指し、2年の冬場は鴨藤忠博監督のアドバイスでフォームの修正に励んだ。
「もともと投げ方に癖があったのですが、体全体を使えるフォームになったと思います」
上半身と下半身のバランスが良くなり、腕の振りも速くなった。
しかし、3年春にヒジを痛める。夏の大会前に復帰し、練習試合では最速となる135キロをマークしたものの、一度もエースナンバーをつけることはできなかった。
背番号10で挑んだ3年夏は、わずか3イニングで終わる。初戦の城南静岡戦は7回途中からマウンドに上がって1安打無失点。2回戦の掛川西戦も2番手で3分の2イニングを無失点に抑えた。
「もっと投げたかったというのはありますが、自分の力不足でした…」
不完全燃焼に終わった夏をこう振り返る。
★4年後のプロを目指して
大学で野球を続けたいと考え始めたのは2年の秋頃だった。「やるからにはレベルの高いところでプレーしたい」と、冬に創価大の練習に参加した。
「創価大は、田中正義さん(現ソフトバンク)、池田隆英さん(現楽天)が、同学年でドラフト1位とか2位で指名されて、どんなチームなんだろうと興味がありました。そういうチームで自分も成長できればと思いました」
東京新大学リーグに所属する創価大はリーグ通算45回の優勝を誇る強豪。近年は全国大会でも上位に進出している。
鈴木は練習参加した際、雰囲気の良さにも惹かれた。
「大学って、自由にやっているイメージを持っていたのですが、創価大は全員の意識がすごく高くて。コーチの方も丁寧に教えてくれて、どうしてもココでやりたいと考えるようになっていきました」
3年夏の大会が終わると、すぐに創価大のセレクションに向けた準備を進めた。
8月のセレクションには、東邦(愛知)、遊学館(石川)、敦賀気比(福井)など、甲子園常連校の選手もいて緊張感もあったが、練習の成果を発揮。自信のあるコントロールをアピールした。
「すごい高校から来た選手ばかりなので自信はなかったのですが、受かってくれって思っていました」
見事合格が決まると、創価大の佐藤康弘コーチからはこんなアドバイスを受けた。
「ウチには鈴木君よりすごいピッチャーがたくさんいるから下級生で活躍するのは難しいかもしれない。でも、焦ることなく、体を大きくしていけば、3年生、4年生でチャンスがある。そこに向けて頑張ってほしい」
3年生の秋から冬にかけて鈴木は、その佐藤コーチの言葉を胸に、体力作りに励んだ。今は「4年後にプロ入りしたい」とはっきりと口にする。
「創価大のチーム目標は日本一なので、それに貢献できるピッチャーになりたいです。その上で、4年生になったら、140キロ台の後半を投げたいです」
最後に現役球児へのメッセージを聞いた。
「結果が出なくて、落ち込むときにもあると思います。でも、クヨクヨしていたら前に進まないので、努力を続けて下さい」
小学、中学と決して目立った存在ではなかった。高校でも故障に苦しんだ。決してエリートコースを歩んできたわけではないが、コツコツと努力を重ねる心の強さは誰にも負けない。全国トップレベルの創価大で花を開かせる。
鴨藤忠博監督からの贈る言葉 高校から投手となり、まだまだこれから伸びていく選手です。レベルの高い大学に入学し、苦労も多いと思いますが、ひたむきに努力を続けて下さい。大学で成長して、神宮球場のマウンドを踏んでほしいと思っています。 |
■鈴木颯人[すずき・はやと]投手/掛川東/174cm67kg/右投右打
2001年3月14日生まれ、静岡県掛川市出身。小学2年時に「桜木野球少年団」で野球を始め、6年時に「黒潮旗」で県優勝。桜が丘中では内野手として全国ベスト8進出に貢献する。高校入学後、投手となり、2年春の県大会で公式戦初登板。卒業後は創価大に入学する。
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昨年の4月、掛川東の左腕・野元優作を目当てに見に行った練習試合。その日の2試合目に登板したのが鈴木でした。当時のスコアにはこんなメモが残っていました。「腕がぶっ飛びそうなくらい振れて、ストレートで空振りがとれる。体にバネがあり、大学で伸びるタイプ」。その後、鈴木の進路が気になっていたのですが、創価大で野球を続けると聞いたときにはすごく嬉しく、絶対に「静岡を巣立つ球児たち」で取り上げようと決めていました。3年後、4年後、どんな姿になって驚かせてくれるのか。期待しかありません。次回は加藤学園・大代航太郎編、お楽しみに!
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