球音を待つ静岡人③~工藤祐二朗 (神奈川フューチャードリームス)
編集部が静岡の野球人を応援する企画。第3回は独立リーグでプレーする工藤祐二朗 (神奈川フューチャードリームス)です。
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4月23日の日刊スポーツに衝撃的に見出しが躍った。
「BCリーグ消滅危機」
当初は4月11日開幕予定だったルートインBCリーグ。しかし、新型コロナウイルスの影響で、2度の延期。今後については開幕を模索している状況だ。韮山出身で、「福井ミラクルエレファンツ」から「神奈川フューチャードリームス」に移籍した工藤祐二朗が苦しい胸の内を吐露する。
「今は施設が全く使えないので、家の中でできるトレーニングをこなしているだけ。一度、静岡の実家に帰ることも考えましたが、踏みとどまって。苦しいことは苦しいですね…」
専修大を卒業後、ルートインBCリーグの「福井ミラクルエレファンツ」に入団した工藤。昨年のルーキーイヤーは69試合に出場し、チームトップの打率.332、90安打をマークした。打順は主に2番で、ときには1番、3番もこなした。打撃に定評のある専修大で鍛えた技術を発揮し、「打つことに関しては、力負けすることはなかった」と振り返る。
「大学の3年、4年の頃はなかなか試合に出られなくて。でも、昨年はほぼ全試合フルで使っていただき、試合に出ることが楽しくて、そこで成長できた部分がありました」
同じチームとなった大松尚逸(元ロッテ)との出会いも大きかった。
「大松さんはいろんなことを教えてくださって。技術面でも精神面でも本当にためになることばかりでした」
一方で、NPB入りへの登竜門とされるルートインBCリーグの選抜チームにはあと一歩で選ばれなかった。
「福井の田中(雅彦)監督からも言われましたが、例えばライトへの打球が自分の場合はフェンスのギリギリでアウトになる。フェンスを越えるか、越えないか。わずかですが、NPBに行くにはその差を埋めないとダメだと思っています」
★今年は「欲」を出していく
工藤は独立リーグで1年間過ごし、NPBへの思いがこれまで以上に強くなっている。
オフにはさらなるレベルアップを目指して新球団の「神奈川フューチャードリームス」へ移籍。「わずかな差」を埋めるために、体を一回り大きくした。体重は75キロから82キロに増やし、シーズン開幕に備えていた。
「100安打を打って、打率は3割5分を目標にしていたのですが…」
前述のように、今は限られた環境でトレーニングするのみ。開幕が見えない中で不安が募るばかりだ。それでも工藤は前を向いて進む。
「チューブを使って体を鍛えたり、今できる最大限のことをやっています。開幕が遅れるので、100安打は厳しいですが、1試合最低2安打を目標にしていきたいです。とにかく今年は欲を出していきます」
苦境に立たされても、夢を絶対に諦めない――。
<写真/福井ミラクルエレファンツ時代の工藤>
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■工藤祐二朗[くどう・ゆうじろう]
1996年7月5日生まれ、静岡県駿東郡出身。小学2年からソフトボールを始める。中学は「スルガボーイズ」に所属。韮山入学後、1年夏から出場し、3年夏はエース投手で活躍。専修大では1年春からベンチ入りした。卒業後、独立リーグのルートインBCリーグでプレーする。174cm82kg、右投左打。
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