球音を待つ静岡人①~稲垣淳之介(大東文化大)
新型コロナウイルスの感染拡大により、野球の開幕が見えない状況が続いています。「今は野球どころではない」というのは百も承知の上で、編集部では静岡の野球人の現状を伺いつつ、応援する企画を作ることにしました。第1回は4年前の夏を沸かせた稲垣淳之介(袋井→大東文化大)です。
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★「袋井旋風」の立役者に
2016年夏、袋井のエース右腕・稲垣淳之介の快投に県民が惹きつけられた。
しなやかなフォームから伸びのあるストレートをコーナーに投げ込む。準々決勝では日大三島相手に延長10回を完封。さらに、浜松商戦でも好投し、創部初の決勝進出を果たした。
決勝戦では常葉菊川と対戦。0対12で敗れたものの、快進撃の立役者として一躍注目を浴びる存在に。とりわけ、袋井市では稲垣のことを知らない人がいないと言ってもいいほど、大フィーバーとなった。
★大学で投球のスキルがアップ
夏前までは大学で野球を続けるのか迷っていたという稲垣。大会で自信を深めたことで大東文化大でプレーすることを決めた。
1年秋からリーグ戦で登板。順調にスタートを切ったが、「ちょっとでも甘くなったら打たれた」と、大学野球のレベルの高さを感じた。球の回転はきれいでも、球威が軽かった。
元プロの寺村友和コーチから「スピードはすぐに上がらないけど、真っすぐの質を高めることはできる」との助言を受け、少しずつ球威を上げていった。3年春には140キロをマーク。チームも7季ぶりとなる1部昇格を果たした。
「ただ投げるだけでなく、高校のときよりも考えて投げられるようになりました」
変化球の使い方、タイミングの外し方など、投球全体のスキルもアップした。しかし、3年の秋はヒジの故障の影響で登板できず。ラストイヤーに、すべてをかけるはずだった。
★待ち受けていた試練
2月下旬から3月上旬にかけて行われた沖縄・石垣島キャンプではヒジの故障も癒え、順調に調整を進めた。その矢先、チームは活動自粛となり、オープン戦もすべて中止に。活動再開のメドは立っていない。
「この3年間、決して満足する結果ではなかったので、今年こそ思い切り投げたいと思っていたのですが…」
現在は近所の公園で軽く体を動かす程度。相手がいなくてキャッチボールすらできないという。「この先も野球を続けるためにリーグ戦でアピールしたい」という稲垣にとっては、我慢の日々が続く。それでも6月21日のリーグ戦の開幕を信じ、待ち続ける。
4年前の輝きをもう一度――。
<写真上/袋井ではエースで県準優勝に導く>
<写真下/大学では1年秋から登板。力強さが増す>
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■稲垣淳之介[いながき・じゅんのすけ]
1998年10月4日生まれ、静岡県袋井市出身。小学2年時に「袋井北少年野球団」で野球を始める。袋井中時代は「掛川シニア」でプレー。高校入学後、2年秋からエースとなり、3年夏はチームを創部初の県準優勝に導いた。179cm75Kg、右投右打。
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