2024年この選手を見逃すな!~稲垣喜紀(静岡理工科大→大阪ゼロロクブルズ)
2024年、編集部注目の県内関連選手を紹介していく特集。第3回は今春より独立リーグの「大阪ゼロロクブルズ」でプレーすることが決まった強打の捕手・稲垣喜紀(静岡理工科大)です。
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かつてリーグ戦で172連敗を喫した静岡理工科大。15年間に渡りチームの指揮をとり、苦しい時期を知る坂田義之監督は「NPBではないが、プロ選手を出すことが私の一つの目標でもあった」としみじみと語る。
同大学、初のプロ選手となる稲垣。小学1年時から野球をスタートし、磐田東中では齋藤來音 (慶應義塾大→明治安田生命入社予定)とともにプレーした。同じ左の強打者として、齋藤が静岡高へ進むと、稲垣は地元の袋井高へ。中学3年時、県準優勝した先輩たちの姿に憧れた。
高校では一塁や外野を守り、1年秋からレギュラーとして出場。成績的には県ベスト16が最高も、鋭いスイングを武器に中心選手として活躍した。高校通算8本塁打とパンチ力も秘めていた。その後、大学でも野球を続けようと思い、最終的に選んだのが静岡理工科大だった。正直、稲垣ほどの実力があれば、他の強豪チームでもやっていけたはず。それでも、自宅から通いやすく、「坂田さんがいい指導をしてくれる」という評判を聞いて静岡理工科大に進学した。
入学して第一印象は「思っていたより、しっかり練習している」。「人数もいなし、勝てないと聞いていたので、最初はどうなんだろと思っていましたが、みんな勝ちたいと一生懸命にやっていました」。
静岡理工科大は授業の関係で、朝の6時30分から8時30分まで全体練習を行い、あとは個々で時間を見つけて補っていく。そんな中、稲垣は1年時のオープン戦でマスクを被ったことで、捕手の面白さに目覚めた。扇の要としてチームを引っ張り、稲垣が在籍した4年間で通算22勝。坂田監督は「稲垣の力で勝った試合が何試合もあった。練習も私が監督になってから一番やった選手」と目を細める。
大学3年春には打率.386をマークして捕手部門のベストナインを獲得。この時期を境に、「もっと上のレベルで勝負したい」、「やるならNPBを目指したい」と強い気持ちを持つようになった。「理工科大に来て、こういう環境でやらせてもらえたからそういう気持ちになれたと思う」と感謝の言葉を口にする。「中学の齋藤(和久)監督、高校の鈴木(彰洋)監督から学んだことを土台に、大学では自由な発想ができるようになり、本当の野球の面白さを知ることができました」。
今年1月27日に、関西独立リーグの「大阪ゼロロクブルズ」と契約を結んだ。稲垣には、頑張ることのできるモチベーションがある。中学3年時に「1型糖尿病」を発症。当時、1カ月ほど入院し、今でも食事と就寝前の1日4回、インスリン投与を続けている。「同じ病気で苦しんでいる人に勇気を与えたい」と稲垣。昨年は左の上腕に見つかった良性の腫瘍が痛みが増して手術したが、リハビリは順調に進んでいる。「その全てを理解して契約してくださった球団に恩返ししたいです」。1年目から持ち味の打撃をアピールし、NPBへの扉を開く。(編集部・栗山)
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◆稲垣喜紀(いながき・よしのり)
2001年12 月1日生まれ、静岡県袋井市出身。小学1年時に「笠原スポーツ少年団」で野球を始める。磐田東中から袋井高に進学。1年秋からレギュラーとなり、2年夏と3年春に県ベスト16入り。大学入学後、1年時から出場し、3年春にベストナインを獲得した。172cm80kg、右投左打。
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