« 2024年6月 | トップページ | 2024年8月 »

2024年7月

2024年7月29日 (月)

【夏の静岡大会】掛川西が26年ぶりの優勝!

★7月29日 第106回全国高等学校野球選手権静岡大会 草薙球場

チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9
掛川西 0 2 0 3 0 0 0 1 1 7
聖隷クリストファー 1 0 1 0 0 0 0 0 0 2

(掛)高橋-堀口
(聖)袴田、高部、袴田-井上
▽本塁打=鈴木(掛)
▽三塁打=杉山(掛)
▽二塁打=杉山、堀口(掛)

07291_20240729184801

07292_20240729190501  掛川西が26年ぶり6度目の優勝を飾りました。1点を追いかける2回、2死二三塁から8番・杉山侑生の左中間への二塁打で逆転。さらに同点の4回には3番・堀口泰徳の二塁打から1死満塁のチャンスを作り、再び杉山が「自分が何とかしようと思って打席に立った」と走者一掃のタイムリー三塁打を放ちます。投げてはエースの高橋郁真が好投。4回以降は無失点に抑えました。「毎日、選手たちが汗を流した結果だと思う」と大石卓哉監督。夏の甲子園は大石監督が主将を務めた1998年以来。山下陸人主将は「泥臭い野球を甲子園でもやっていきたい」と掛川西の大応援団に向けて宣言しました。
 この日随所で光ったのは桑原拓海の足。4回1死一二塁へ送りバントすると、小さい頃から武器だったという50m走5秒97の快足でセーフをもぎ取り、杉山のタイムリーに繋げます。攻撃面だけでなく、守備でもチームに貢献。「プロ野球選手を目指している」と目をギラつかせる韋駄天の甲子園デビューが楽しみです!  
 一方、ノーシードから勝ち上がってきた聖隷クリストファーの上村敏正監督は「力を出し切ってくれた」と選手を労っていました。最速137キロを誇る1年生左腕の高部陸、2年生で4番を務めた渡部哉斗らが残る新チームも注目です。(編集部・栗山)

<写真上/甲子園出場を決め、喜びを爆発させる掛川西の選手たち>
<写真下/2安打5打点の活躍を見せた杉山侑生(掛川西)>

| | コメント (0)

2024年7月27日 (土)

【夏の静岡大会】掛川西と聖隷クリストファーが決勝進出!

 夏の静岡大会、決勝進出2校が決まりました。掛川西は10年ぶり、聖隷クリストファーは初(2020年代替大会を除く)となります。

<準決勝>
掛川西 6-3 加藤学園
聖隷クリストファー 3-2 静岡

07271_20240727185001  まず準決勝の第1試合、掛川西は2対2の同点で迎えた5回、5番・山下陸人のタイムリー二塁打で勝ち越し。さらに山下は8回にもタイムリーを放ち、2安打2打点の活躍を見せました。準々決勝の駿河総合戦前から、大石卓哉監督が自ら打撃投手を務め、その球を選手たちは打ち込んできたとのこと。「気持ちを伝えたかった」という思いに応えました。投げては2回途中からマウンドに上がった2番手の増井俊介が好投します。重量感のあるストレートを軸に、7回まで無失点。最後はエースの高橋郁真が締めました。「ピッチャー陣が複数失点しないことが今日のテーマだった」と振り返る大石卓哉監督。加藤学園の強力打線を3点に抑えたことを勝因に挙げていました。大石監督が主将を務めた1998年以来の夏甲子園へ。投打ががっちりと噛み合っています。
07272_20240727185001 続く第2試合は聖隷クリストファーが逆転勝ちを飾りました。1点を追いかける9回。上村敏正監督からの「失敗を怖がらずにいきなさい」の言葉に選手が奮い立ちます。先頭の3番・ジャコブソン・レイがセンター前安打で出塁。1死二塁から5番・稲岡輝太のレフトオーバーで同点とすると、6番・伊藤玲泉が「気持ちで打った」とライトオーバーの二塁打。土壇場で試合をひっくり返しました。「一生懸命にやってきた結果が結びついてきたと思う」と上村監督。悲願の甲子園出場にあと1勝としました。(編集部・栗山)

<写真上/リリーフで好投を見せた増井俊介(掛川西)>
<写真下/9回に勝ち越し打を放った伊藤玲泉(聖隷クリストファー)>

| | コメント (0)

2024年7月25日 (木)

【夏の静岡大会】ベスト4が決まる!

 夏の静岡大会はベスト4が決まり、準決勝は以下にカードになりました。
 
 静岡VS聖隷クリストファー/掛川西VS加藤学園

 -----------------------------------------

07251_20240725184901  第1シードの加藤学園が浜松工を下しました。初回に先制を許すも、3回に7番・小室太陽のタイムリーで同点とすると、なおも1死二三塁から8番・屋海州がスクイズを成功。打球が転々とする間に、一気に二塁走者も生還します。さらに4回にも2点を追加。投げては森虎大朗鈴木日陽がスキを与えない投球で相手打線を抑え込みました。「秋に負けている相手。チャレンジャーの気持ちで向かっていった」と米山学監督。加藤学園らしく、全力プレーを貫いて、夏は21年ぶりとなるベスト4入りを決めました。
07252_20240725190301  一方、浜松工は注目の左腕・村松幸河が今大会初先発。「調子は良かった」と本人が話すように、立ち上がりからストレートが走っていました。しかし、2回に3失点。スクイズで2点を奪われた場面を悔やんでいました。「自分が捕っていれば…。(ピンチになって)アップアップになってしまいました」。今後については大学で野球を続けていくと明言。さらに、その先のプロや社会人という世界を目指していきたいとのこと。「チームを勝たせられるピッチャーを目指していきます」と、視線を上げていました。(編集部・栗山)

<写真上/2回にスクイズを決めた屋海州(加藤学園)>
<写真下/大学で活躍を期待したい村松幸河(浜松工)>

| | コメント (0)

2024年7月23日 (火)

【夏の静岡大会】プロ注目・小船翼(知徳)が6回2失点の力投!

 夏の静岡大会、ベスト8が出揃いました。25日の準々決勝は以下のカードになります。
 静岡VS静岡商/知徳VS聖隷クリストファー/駿河総合VS掛川西/浜松工VS加藤学園

 -----------------------------------------

07231_20240723183001  今日の草薙球場の第2試合、最速152キロ右腕の小船翼(知徳)が登場しました。過去2試合は本調子ではなかったものの、左腕・原田勇磨の好リリーフに助けられました。どこまで状態が上がってきているのか、注目される中で迎えた4回戦でした。
 相手は昨秋東海大会ベスト4の藤枝明誠。立ち上がりは変化球を使いながら丁寧に投げて、3回まで無安打で5奪三振。ストレートは草薙球場のスピードガンで144キロ止まりも、「勝つ投球」で抑えていきます。3回裏に味方打線が3点を奪うと、5回と6回はともに1失点。その後は原田に託します。2度伝令役を務め、勝利の瞬間はベンチから嬉しそうな表情も。スタンドではプロのスカウトが見守る中、「今日はコントロールを意識するところと、ストレートで押していく場面があった」と状況を見ながら投げ切れたのは成長の証。確実にゲームメーク能力は上がっています。準々決勝の投球も楽しみです!
07232_20240723183001  一方、優勝候補の一角に挙げられていた藤枝明誠は粘りを見せたものの、あと一歩及びませんでした。
 試合後、主将の一瀬友希は涙が止まりませんでした。応援してくれる仲間、スタンドの声援に応えようとした9回二死から回ってきた打席。「どんな球がこようとも気持ちで打ってやろうと思っていた」と内角を振り切りましたが、センターフライに終わり、ゲームセット。甲子園出場を手にすることは叶いませんでした。「後輩たちには気持ちの部分も突き詰めて、ここで力を出せるチームになってほしいです」。走攻守の三拍子が揃った内野手。次のステージでも輝いてほしいです。(編集部・栗山)

<写真上/打者を抑えて雄叫びを上げる小船翼(知徳)>
<写真下/試合後、お互いの健闘を称える両主将。左から松本陣(知徳)と一瀬友希(藤枝明誠)>

| | コメント (0)

2024年7月22日 (月)

【訃報】船川誠監督が旅立つ

 夏の大会直前まで城南静岡の監督を務めた船川誠氏が今月20日に亡くなりました。74歳でした。

07221_20240722171501 船川氏は大学卒業後に浜松商の部長となり、磯部修三監督とのタッグで1978年のセンバツで優勝。その後は静岡高の監督で2度甲子園に導き、清水東、静岡市立で監督を歴任。2012年に中学生の「静岡ジュニアベースボール」を立ち上げ、16年からは城南静岡を強化していました。
 取材に伺うと、いつも元気。「お~、よく来たな」と笑顔で出迎えてくれました。かつて癌に4度侵されて「余命3ヶ月」の宣告まであったと聞きましたが、そんな素振りは微塵も見せずに許せないプレーがあれば甲高い声で本気で叱り、良いプレーは本気で褒める。そこにはいつも愛情がありました。
 昭和、平成、令和と、静岡の野球を支えて下さった船川氏ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

★今回は『静岡高校野球2013』で掲載した船川氏のインタビュー記事のPDFをアップします。「理屈なんてない、ただ野球が好きなだけ」。この言葉は忘れることができません。

船川誠氏インタビュー「理屈なんてない、ただ野球が好きなだけ」

pdf

| | コメント (0)

2024年7月21日 (日)

【夏の静岡大会】東海大静岡翔洋がサヨナラ勝利!&沼津東・近藤秀太の夏が終わる

07211_20240721195201  草薙球場の第1試合は3時間24分に及ぶ、大熱戦の末に東海大静岡翔洋がサヨナラ勝ちを飾りました。
 2点を追いかける9回裏、4番・齊藤雅暢の犠飛などで同点に。そしてタイブレークとなった延長10回、最後に決めたのは主将の岸川和広でした。2死二三塁のチャンスで回ってきた打席。森下倫明監督から「ここで決めて来い」と送り出されると、2球目の内角のスライダーをきれいにさばきます。打球はライトの頭上を越えていき、三塁走者が生還。「何度も心が折れそうになった試合でしたが、思い切り振っていけました。ここから流れに乗っていきたいです」。この日、143キロを計測した甘田圭澄も戻ってきた東海大静岡翔洋。勢いがつく勝ち方でベスト16入りを決めました。
07212_20240721195201  一方、あと一歩で勝利を逃した沼津東。エースの近藤秀太は6回まで投げて2失点に抑えました。スタンドには評判を聞きつけ、「どんなピッチャーか一度見ておきたかった」とNPB3球団のスカウトの姿も。試合後は「悔しいですけど、自分のピッチングのできることはやりました。笑って胸を張って帰りたいです」と涙はありませんでした。今後について、大学に進学してレベルアップしていきたいとのこと。まずは、しっかりと体をケアし、4年後はドラフト候補に挙がる投手になってほしいです。
07213_20240721195201  続く第2試合はプロ注目の曽布川ザイレン(浜松商)が登場。1打席目と2打席目は軟投派の左腕相手にタイミングが合っていない感じでしたが、3打席目は「上手くタイミングを取ることができた」と左中間を破る二塁打を放ちました。印象に残ったのは最後の5打席目。アウトになりましたが、滞空時間がものすごく長いセンターフライ。曽布川のパワーをあらためて知ることができました。次戦はライバルの浜松工と対戦。「イメージはできています」と気持ちを入れ直していました。(編集部・栗山)

 <写真上/サヨナラタイムリーで試合を決めた岸川和広(東海大静岡翔洋)>
<写真中/気持ちのこもった投球を見せた近藤秀太(沼津東)>
<写真下/タイムリー二塁打を放ち、両手をガッツポーズを作る曽布川ザイレン(浜松商)>

| | コメント (0)

2024年7月20日 (土)

【夏の静岡大会】静岡商が打撃戦を制してベスト16入り!

 ちゅ~るスタジアム清水の第1試合、御殿場西対静岡商は壮絶な打ち合いとなりました。
07201_20240720185401  「県外の強豪とも練習試合をしてきたが、ここまですごい打線は初めてだった」と静岡商の曲田雄三監督。そう話すように初回から御殿場西のフルスイング打線が爆発。失策も絡んで4点を先制します。一方の静岡商も2回に3点を取り返すと、3回に同点とします。さらに4回にビックイニング。打者一巡の猛攻で一挙7点を奪います。これで試合が決まったかと思いましたが、御殿場西も諦めません。すぐに1点差まで詰め寄り、5回が終わって12対11というスコア(静岡商が1点リード)。ところが、クーリングタイムを挟み、6回に入ると、試合が落ち着きます。
 迎えた9回表、静岡商は1死二塁から2番・栗田輝空(3年)が二塁打。この試合、5本目の安打が貴重なタイムリーとなりました。栗田は打つだけでなく、固い守備でもチームに貢献。「自分がチームを引っ張る気持ちでいました。全球集中することができていました」。終盤は足をつりながら、「静商野球」を体現する泥臭いプレーが印象に残りました。
 敗れはしましたが、御殿場西も静岡商と同じ計17安打。目の覚めるような鋭い打球を連発して、「らしさ」を存分に発揮しました。「森下(知幸)先生の野球を引き継ぎ、最後までウチにしかできない野球ができたと思います」(竹内健人監督)。3番手でマウンドに上がり、力強いストレートを武器に5回1/3を1失点に抑えた金原武嗣ら有望2年生も多いチーム。秋に一回り成長した姿を見たいです。

07202_20240720185401  続く第2試合は聖隷クリストファーが15対5(6回コールド)で勝利。注目したのは「3番センター」のジャコブソン・レイ(3年)です。初回にセンター前安打を放つと、4回の第3打席は左中間を破るタイムリー三塁打。驚いたのはその脚力。二塁を回ったあたりから一気に加速。大きなストライドで走れば走るほどスピードがグングンと上がっていきます。5打席目もレフト前安打。この夏をきっかけにどんな選手に化けるのか。身体能力が高く、楽しみな素材でした。(編集部・栗山)

<写真上/攻守で勝利に貢献した栗田輝空(静岡商)>
<写真下/3安打を放ったジャコブソン・レイ(聖隷クリストファー)>

| | コメント (0)

2024年7月18日 (木)

島田樟誠の遊撃手・児玉がシード撃破へ意気込み!

 夏の静岡大会は20日から3回戦。注目カードは「LOOK静岡朝日テレビ」のコラムで紹介しています。こちらもチェックしていただけると嬉しいです!https://look.satv.co.jp/content_column/column_cat/hightschool_baseball

-----------------------------------------

07181_20240718153001
「スピードを生かして攻めの守りがしたい」と話す児玉

 3回戦、楽しみな選手の一人が島田樟誠誠の児玉合玄です。初戦で3安打を放つと、2回戦は1打席目に先制点につながるレフトへの二塁打。ここまでの2戦で出塁率7割を誇っています。1番打者としての働きに、「自分が泥臭くても塁に出れば、チームにいい流れができると思っている」と話します。
 1年前の悔しさを噛みしめながら臨んでいる大会です。昨年は3回戦で島田商と対戦。3回の守りの場面でした。1死一二塁からショートに飛んだ打球を失策。二塁走者の生還を許して先制点を献上します。結局、試合は1対2で敗退。先輩への申し訳なさと、自分の不甲斐なさに、試合後は涙が止まらなかったそうです。
 「もうこんな負けはしたくない」と、この試合を境に心のスイッチが入り、この1年は主将として必死にチームをまとめながら、自らの技術も上げてきたそうです。本人が成長点に挙げるのが守備。練習試合が終わったあと、疲労感がある中でも生駒基樹監督からのノックを受け続けてきました。
 魅力は50メートル走を6秒2で駆け抜けるスピード。二遊間や三遊間の厳しい打球に素早く追いついて、打者走者を刺します。遊び心があって、柔らかいハンドリングを生かしながらトリッキーなプレーができるところも児玉の才能の一つ。
 今夏のチーム目標は甲子園で1勝すること。3回戦で大きな壁として立ちはだかるのがシード校の浜松工です。「倒さなければならない相手」と児玉。強豪相手にも怯むことなく立ち向かっていきます。(編集部・栗山)

◆児玉合玄(こだま・がく)
2007年1月16日生まれ、愛知県名古屋市出身。年中からサッカーをプレー。小学5年時に姉の勧めで野球を始める。大曽根中時代は名古屋O&Kベースボールクラブ(旧名東野球道場)に所属。高校入学後、1年秋からレギュラーとなり、2年秋から主将を務める。172cm68kg、右投右打

07182_20240718153501

<写真/甲子園1勝を目標に掲げる島田樟誠の選手たち>

| | コメント (0)

2024年7月14日 (日)

【夏の静岡大会】常葉大橘が逆転勝利&駿河総合が先発全員安打で好発進

 ちゅ~るスタジアム清水の第1試合は常葉大橘が逆転勝利で3回戦進出を決めました。
07141_20240714161201  エースの木下瑞貴が2回に2点を許し、前半を1点ビハインドで折り返す苦しい展開。それでも7回に相手のミスからチャンスを作り、7番・山内涼雅の左中間を破るタイムリー三塁打で同点に追いつきます。
 再び同点となった9回にも山内が犠飛を放って勝ち越し。難しい初戦をものにしました。
 この日、2打点を挙げた山内は高校入学後、腰の故障で苦しみ、ようやく今年の春から不安なくプレーができるようになったそうです。身長162センチと決して体は大きくありませんが、「あの体でも長打を打てるんです」と期待し続けてきた片平恭介監督。本人は試合後、「夏大は初めてで緊張しましたが、勝ってホッとしています」と率直な思いを口にしていました。
 一方、常葉大橘をあと一歩まで追い詰めた桐陽の戦いぶりも印象に残りました。2年生右腕の望月佑哉がキレのあるストレートと鋭い変化球を武器に9回を投げ切り、「3番サード」に抜擢された1年生の鈴木陸翔温が2安打を放ちました。新チームも注目していきたいです。

07142_20240714161201  続く第2試合は駿河総合が先発全員安打で13得点。5回コールドで試合を決めました。先発の出井空大は「点差が開いたので落ち着いて投げることができました」と5回1失点の好投。ストレートが走っていました。打っては4回に満塁で打席が回ってくると、左中間を破る3点タイムリー三塁打の活躍を見せました。
  昨夏は悔しい初戦負けを喫した駿河総合。今年は上位進出に向け、好スタートを切りました。(編集部・栗山)

<写真上/タイムリー三塁打を放ち、ガッツポーズの山内涼雅(常葉大橘)>
<写真下/投打で勝利に貢献した出井空大(駿河総合)>

| | コメント (0)

2024年7月13日 (土)

【夏の静岡大会】常葉大菊川は1年生が活躍&磐田東の寺田光は初戦で散る

 浜松球場の第1試合は優勝候補同士の対決。常葉大菊川が浜松開誠館を下して(11対3)、3回戦に駒を進めました。
07131  常葉大菊川は主将の山下結風が体調不良のため欠場。ピンチを救ったのは1年生の小川優人でした。「7番センター」でスタメン出場すると、2回の1死二三塁のチャンスで高めに浮いたスライダーをライトに打ち返します。これが相手守備の失策を誘って1点を先制。さらに8回と9回にもタイムリーを放ち、勝利に貢献しました。「大好きな先輩の山下さんの夏を不完全燃焼で終わらせるわけにはいかなかった」と小川。中盤から両足がつっていたそうですが、「最後は気持ちで打ちました」と胸を張っていました。投げては2年生左腕の大村昴輝が強打の浜松開誠館相手に6回まで1失点に抑える好投。キレのあるストレートと70キロ台のスローカーブをテンポ良く投げ込んでいました。

07133  続く第2試合はプロ注目の磐田東・寺田光が先発。NPB2球団のスカウトがスタンドで見守る中、初回は簡単に3人で抑えます。本人が悔やむのは2回。「入りが良くなかった」と味方の2つの失策が絡んで失点。3回には3本の長打を浴びて逆転を許します。その後は無失点に抑えたものの、1点差で敗れて寺田の夏が終わりました。この日、浜松球場のスピードガンで141キロを計測。今後については「プロか社会人でやりたい」と話し、「エラーで出塁を許しても、そこでしっかりと0点で抑えて悪い流れを断ち切れるピッチャーになりたい」と前を向いていました。
07132  一方、静岡市立は小林夕真が投打で活躍。緩急自在の投球で9安打を浴びながらも2回の2点のみに抑え、打っては3回にライト線にタイムリー三塁打。あわや本塁打の大飛球がファウルになり、打ち直しての一打。懐が深くてスイングスピードが速い! 打撃センスがズバ抜けていました。
 3対2で勝利した静岡市立。ワンチャンスをものにして、粘り強く守り切りました。「勝つとしたらこういう展開しかないと思っていました」(安井信太郎監督)。シード校を破り、勢いに乗りそうな雰囲気が漂っていました。(編集部・栗山)

<写真上/塁上でガッツポーズを作る小川優人(常葉大菊川)>
<写真中/初戦敗退も、堂々とした投球を見せた寺田光(磐田東)>
<写真下/完投&タイムリーの活躍を見せた小林夕真(静岡市立)>

| | コメント (0)

2024年7月11日 (木)

伊豆総合の好投手・髙村玲央麻が静商に挑む!

 夏の静岡大会は13日から2回戦。シード校が登場します。注目カードは「LOOK静岡朝日テレビ」のコラムで紹介しています。こちらもチェックしていただけると嬉しいです!https://look.satv.co.jp/content_column/column_cat/hightschool_baseball

-----------------------------------------

 2回戦、個人的に気になっているのは静岡商と伊豆総合のカード。初戦で4安打完封を飾った伊豆総合の好投手・髙村玲央麻がシード校の静岡商にどんな投球を見せるのか。今週、伊豆総合のグランドに足を運び、調整具合を取材してきました。 

07111_20240711183701
グランドに髙橋三朗先生が記した石碑が立つ

 伊豆総合のグランドに着き、まず目に入ってきたのは一塁側に立つ五訓の石碑。伊豆総合の前身、修善寺工を強化した高橋三朗先生による「闘志無きものは去れ」という文字が記されています。
 そんな石碑に見つめられながら、練習をこなしていく選手たち。昨年の秋、今年の春は部員8人ながら(他部からの助っ人を借りて)、勝利を挙げています。その中心にいるのがエースの髙村です。

07112
高校卒業後は企業チーム(軟式)でプレーを続ける予定の髙村

 中学時代は主に三塁手。高校入学後に本格的に投手となり、球速を136キロまで上げています。
 技術と精神面、両方で成長ができた2年半だったそうです。「軟式出身ということがあり、元々はヒジを押し出して投げるフォームでした。杉山先生(隆俊/監督)から投げ方を細かく教えてもらって、腕の振りと下半身のリズムが合うようになりました。あと、自分は周りがミスしてしまうとイライラしてしまう部分があって。でも、今は自分が抑えればいいんだと思うようになりました」
 以前の髙村はとにかく体をフルに使い、全力で腕を振っている印象でしたが、今夏の初戦は力感がなくても球が伸びていました。杉山監督も「そこは一つ、目指してきたところ」と話します。ただ、本人は完封しても投球内容には決して満足していない様子。「変化球がもっと決まっていれば」と精度を上げる練習に取り組んでいました。
 この夏、チームの目標は3勝を挙げること。「次も挑戦者の気持ちでぶつかって、しっかり勝ち切ります。3点以内に抑えることが目標です」と髙村。闘志をメラメラと燃やす右腕に注目です。(編集部・栗山)

◆髙村玲央麻[たかむら・れおま]
2007年2月1日生まれ、静岡県伊豆の国市出身。兄の影響で野球を始め、「伊豆長岡ウイングス」で県大会出場。長岡中では田方選抜に選ばれる。伊豆総合入学後、1年夏から登板。今夏は初戦の静岡東戦で4安打完封を飾る。最速は136キロを計測。50m走は6秒0で駆け抜ける。171cm64kg、右投右打。

07113

<写真/3回戦進出を目標にする伊豆総合の選手たち>

| | コメント (0)

2024年7月10日 (水)

二刀流マネージャーを取材!~掛川東・松下裕紀

 先日、練習試合では主審を務め、試合前ノッカーも行うという掛川東の二刀流マネージャーに会ってきました。

 松下裕紀マネージャーの存在を知ったのは今年5月。静岡市立と掛川東の練習試合のときでした。第1試合の試合前には元気よくノックを打ち、第2試合は審判着に身を包みキビキビと三塁審判を務める姿が印象に残りました。そこからすごく気になり、今回、あらためて本人を話を聞いてきました。

07101_20240710170001 小学3年から野球を始め、菊川西中では「2番レフト」でプレーした松下マネージャー。高校はマネージャーとして入部すると、すぐに審判に興味を持ち、2年に上がる直前に全日本軟式野球連盟の3級審判員となり、今年6月には高野連主催の審判講習会にも参加したそうです。
 一方で1年時から日々、ノックを打ってきたことが認められ、今年の春の大会後の練習試合からシートノックを任されるようになったとのこと。意識しているのは「試合に近い打球」だと言い、テンポの良さと正確性が目を引きます。
「世古(雄馬/監督)先生のノックを真似して、低めから救い上げるイメージで打っています。最初は(ノック時間の)7分以内に終わるのが難しかったのですが、夏大に近くなって収まるようになりました」
07102_20240710170001 高校卒業後は教員を目指して大学に進学する予定。その傍ら、来年の夏は高野連の審判員としてデビューを目指しているとのこと。
「選手、監督、スタンドのお客さんの誰からも信頼されて、納得のジャッジができるようになりたいです」
 今夏はノッカーとして、来夏は審判として。純粋に野球と向かっている姿勢が眩しかったです。(編集部・栗山)

| | コメント (0)

2024年7月 7日 (日)

【夏の静岡大会】吉原が今大会初のタイブレークを制して2回戦へ!

 今日も夏の静岡大会の1回戦が県内各地で行われました。

07071_20240707191801

 富士球場の第2試合、沼津城北対吉原は延長タイブレークにもつれ込む大熱戦となりました。
07072 吉原は7回に1点を返して1点差に詰め寄ると、8回からマウンドに上がった山橋拓真が流れを変えます。8回は「6割から8割の力でコントロールを意識した」と120キロ台も、9回にギアチェンジして130キロ前半に上げてきます。2死からは低めいっぱいのコースに132キロのストレートを投げ込んで見逃し三振を奪います。この日一番のベストボールだったと思います。
 すると吉原はその裏、同点に追いついてタイブレークに突入。10回表は続投の山橋が「気持ちで投げた」と無失点に抑えると、最後は1年生・横山皇のレフト前タイムリー。吉原がサヨナラで2年ぶりとなる夏勝利を飾りました(6対5)。
 次戦の相手は小山。山橋は試合後、「1つ勝てて一安心です。次も落ち着いて投げて、チームに貢献したいです」と冷静に話してくれました。

07073  延長10回を一人で投げ抜いた沼津城北の好左腕・石川幹太も印象に残りました。初回に3点を失ったものの、2回以降はキレのあるストレートを武器に6回まで無失点に抑えます。疲れが見えてきた終盤に失点しましたが、最後まで全力で腕を振っていました。下半身主導のバランスの良いフォームで内角のクロスファイヤーは分かっていても手が出ないボール。今日の最速は122キロも、大学で体をじっくりと作っていけば可能性が広がる素材です。この悔しさを次のステージへのモチベーションにしてほしいです。(編集部・栗山)

<写真上/サヨナラ勝ちを飾って喜ぶ吉原の選手たち>
<写真中/タイブレークの10回を無失点に抑えてガッツポーズを作る山橋拓真(吉原)>
<写真下/猛暑の中、10回を一人で投げ抜いた石川幹太(沼津城北)>
 

| | コメント (1)

2024年7月 6日 (土)

【夏の静岡大会】焼津水産が劇的サヨナラ弾で「焼津ダービー」を制す!

 夏の静岡大会の1回戦が行われました。
07061_20240706181801  焼津球場の第1試合は焼津水産と焼津中央の焼津同士の対戦となりました。試合を決めたのは焼津水産の主砲・鈴木琉生の一振りでした。
 4対4で迎えた9回裏。走者を2人置いた場面でストレートをジャストミート。打球がレフト方向に飛ぶと、すぐに確信して、大きなガッツポーズを高々と上げました。9回表の守備でミスしていた鈴木は「ここで打てなきゃ4番じゃないと思っていた。自分の振りができて、やったぞという気持ちだった」と打席を振り返ってくれました。
 春の県予選でも1試合2本塁打を放っている強打者。昨年11月のアグリカップでは同じ焼津球場で場外弾を打っていたそうです。自らの打撃の長所を「しなやかさ」だと話します。確かに、本塁打を打った際は体のバネを存分に生かしながら、柔らかく振れていました。
 試合後は同じ中学出身で仲の良い焼津中央のエース・紫垣壮太郎から「頑張れよ」とエールを贈られ、2回戦に向けて気持ちを切り替えていました。

07062_20240706181901

07063  続く第2試合は『静岡高校野球2024夏直前号』で特集した藤枝東の大石高志郎が先発で登板。初回に先制点を許したものの、2回以降は走者を出しながらも気持ちのこもった投球で浜松修学舎打線を抑えていきます。
 「だんだんボールが指にかかるようになった」と、6回の満塁のピンチでは右打者の内角低めにビシッと決めて見逃し三振に。今日一番のベストボールでした!
 本人の中では「今日は70点くらい」と厳しい評価も4失点で完投勝利。気温が上昇する暑い中で最後まで投げ切ったのは立派です。次戦はシード校の飛龍と対戦。大石は「今のままでは勝てない。自分のベストを出せるように、この1週間でコンディションを上げていきます」と力強く宣言してくれました。
 4月に取材した際、球速のマックスは136キロと聞いていましたが、その後、140キロを計測していたとのこと。飛龍打線との真っ向勝負が楽しみです。(編集部・栗山)

<写真上/サヨナラ3ラン本塁打を放った鈴木琉生(焼津水産)>
<写真中/試合後、お互いの健闘を称え合った鈴木琉生(焼津水産/左)と紫垣壮太郎(焼津中央/右)>
<写真下/最後の打者を併殺に打ち取り、喜びの雄たけびを上げた大石高志郎(藤枝東)>

| | コメント (0)

2024年7月 5日 (金)

ギターからグラブに持ち替えて~沼津高専・鈴木怜音

 第106回全国高等学校野球選手権静岡大会の試合が明日6日よりスタートします。1回戦の注目ゲーム、注目選手など、「LOOK静岡朝日テレビ」のコラムで紹介しています。こちらもチェックしていただけると嬉しいです!https://look.satv.co.jp/content_column/column_cat/hightschool_baseball
 
07051_20240705103201  上のコラムで書ききれなかったのですが、明日からの1回戦で注目したい選手がもう一人。沼津高専の2年生左腕・鈴木怜音です。
 山梨県出身で甲府北中時代は軟式野球部に所属し、甲府選抜にも選ばれた選手。ただ、高専に入学して半年は軽音楽部に所属していたそうです。(得意な楽器はギター。秦基博の「ひまわりの約束」を引き語りで演奏し、チームメートからは「上手い」という声も!)
 「どうしても運動不足になってしまって」と昨年度の後期に野球部に転部。すると、当初は90キロ台だった球速が、一冬を越えて春になると110キロ台に。春の県予選は先発としてマウンドに上がり、韮山相手に5回まで無失点に抑えて、「いい経験になった」と登り調子で高校初の夏の大会を迎えます。現在の身長体重は182センチ体重62キロ。「まず体を大きくして球速を上げて注目されるピッチャーになりたいです」。
 ギターからグラブに持ち替えてまだ数カ月足らず。可能性を秘めた長身左腕の投球が楽しみです。(編集部・栗山)

<写真/沼津高専のエースナンバーを背負う鈴木怜音>

| | コメント (0)

2024年7月 4日 (木)

浜松の噂の中学生投手を見てきた!

 現在、静岡県中学校総合体育大会の地区大会が県内各地で行われています。先週の土曜日(6月29日)はどうしても見ておきたいピッチャーがいて湖西球場に足を運びました。

07043  引佐南部中の見原稜真。春先から「引佐南部中に良いピッチャーがいる」とあちこちから情報が入っていました。この日は、2試合目に登場するということで、1試合目の終盤からブルペンで投球。その佇まいに一発で惚れ込みました。まず右足一本で立っている姿が美しい。テークバックからリリースまでバランスが良く、本格派らしい本格派という印象を持ちました。
 しかし、立ち上がりに一挙5点を失ってしまう苦しい展開。それでも、2回以降は回転の良いストレートで空振りを奪っていきました。あとは高校で体を作って出力を上げるだけ。最終的には1対6で敗れたものの、 噂通りの原石でした。

07042_20240704182601  相手の蜆塚中にも気になった選手がいました。「4番セカンド」で出場した荒井遥樹です。試合前のサイドノックのときから捕る、投げるの動作の形の良さが目につき、1試合に渡って動きを追いかけたくなりました。打撃はパンチ力があって、先制の二塁打を放つ活躍。力強いスイングでセンター方向に持っていきました。将来的には安打量産型の選手になってもらいたいです。


07041_20240704182601  この日は春の県選抜大会ベスト4の三ヶ日中も見ることができました。中学生は少しの間に一気に伸びていることがあるのですが、捕手の加藤謙吾の成長ぶりには目を丸くしました。柔らかいキャッチングに、肩も抜群。動きに華があって、どこにいても目立つ存在でした。高校でどんな捕手になるのか楽しみです!(編集部・栗山)

<写真/上から見原稜真(引佐南部中)、荒井遥樹(蜆塚中)、加藤謙吾(三ヶ日中)>

| | コメント (0)

2024年7月 2日 (火)

後輩に負けない! 東農大出身の藤岡康樹(ヤマハ)がドームでの活躍を誓う

 今日は都市対抗野球大会に出場するヤマハの予選後、最初のオープン戦をヤマハ豊岡グランドで見てきました。ミキハウス(近畿第2代表で都市対抗本大会出場)と対戦して9対5で勝利。序盤から強力打線が爆発すると、先発した右のエース格・清水蓮が4回をきっちりと無失点に抑えました。

07021_20240702195801 3回に先制本塁打を放ったのが「8番・サード」で出場した藤岡康樹。泳ぎ気味でしたが、スライダーを右中間に持っていきました。
 入社8年目となる左の強打者。昨年の都市対抗予選は全5試合に出場して打率・294をマーク。しかし、本大会は補強選手が加入した関係で出場の機会がありませんでした。
 「今年こそは」と挑んだ2024年シーズン。
春先に右太ももの肉離れで出遅れたものの、各JABA大会、都市対抗予選を経て状態を上げてきています。

 本大会を前に、嬉しい報せもありました。母校の東京農業大が東都大学リーグで1部昇格! 入替戦はネット中継に張り付いて応援していたとのこと。決まったときは、同じく東京農業大出身の九谷青孝と喜び合ったそうです。「めちゃくちゃ刺激を受けました。自分たちのときは、ずっと2部で3年秋の2位が最高成績。あとは3部に落ちないようにするのが必死だったので、まさかという感じで。本大会ではこの波に乗っていきたいですし、後輩たちの目標の存在になれたらと思っています」。
 パワフルな打撃に目がいきがちですが、柔らかいグラブさばきを見せる三塁の守備も魅力。「農大旋風」を東京ドームに持ち込み、攻守で躍動してほしいです。(編集部・栗山)

<写真/都市対抗の本大会に向けて「強く振る」ことを意識しているという藤岡康樹(ヤマハ) 。今日のオープン戦では本塁打を放った>

| | コメント (0)

« 2024年6月 | トップページ | 2024年8月 »