ドラフト直前企画② 掛川西・石川大峨/逆境を乗り越えた長距離砲
志望届を提出した静岡関連の注目ドラフト候補を紹介する企画。第2回は掛川西の石川大峨選手です。
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夏の初戦を間近に控えた7月4日。フリーバッティングの最中だった。「インパクトで返した瞬間に『ボキッ』という音がして。これはマズいと思いました」
翌日、病院での検査の結果、左手有鉤骨の骨折が判明。夏の大会出場は厳しくなり、しばらく落ち込んだという。
春から夏にかけての成長ぶりは、目を見張るものがあった。
春の県大会では2試合でヒットなし。その後のゴールデンウイーク中も快音が聞かれず、「自分がなぜ打てないのか、原因が見つからなかった」と振り返る。「練習で試して、いいかなと思っても、試合になるとダメ。その繰り返しでした」
知らず知らずのうちに、引っ張って大きい打球を打ちたいという思いが強くなり、目とボールの距離が遠くなっていた。
大会まで残り2か月。石川は思い切って原点に立ち戻った。
大石監督から教わった打撃ドリルを繰り返し、一方で「形も大事だけど、自分の体で反応できないとダメだ」と、アーム式のバッティングマシーンでストレートをひたすら打ち込んだ。
すると、6月だけで4本塁打を記録。面白いように打てるようになった。「今までは力で何とかしようと思って差し込まれることが多かったのですが、下半身が使えるようになったことで前のポイントで打てるようになり、ボールの見え方が変わりました」
そんな矢先のケガ。絶望感に苛まれ、目標を見失いかけた。救ったのは大石監督の一言だった。「ガッカリしている場合じゃないぞ。今できる最善のことを尽くそう」
この瞬間、プロで活躍するんだという自覚が大きく芽生えた。
夏は代打で1打席に立ったのみ。それでも、この時間は決して無駄ではなかった。「骨折してサポートに回ってから、出ていない人の気持ちが理解できました。チームが一つになるためには、全員が理解し合える関係が大事なんだと。掛川西高校はそういうチームだったので、ここで野球ができて良かったです」
8月27日には県内トップを切ってプロ志望届を提出。「自分の武器は、大きな体を生かして長打で試合を変えられるところ。チームが苦しい場面で一本を出せる選手になりたいです」
2年夏の甲子園ではタイムリー。大舞台にも強い大型スラッガーが、指名の瞬間を待つ。
■石川大峨[いしかわ・たいが]
2007年8月1日生まれ、静岡県掛川市出身。小学2年時に「東山口野球少年団」で野球を始める。栄川中では主に遊撃を守り、2年時に全国大会に出場した。高校入学後、1年秋からレギュラー。2年夏の甲子園で2安打2打点の活躍を見せた。高校通算19本塁打。187センチ91キロ、右投右打。
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